ベイマックスを支える技術

僕は『ベイマックス』が好きだ。ストーリーや演出はもちろん、映像の美しさに心を奪われた。どのシーン、どのカットも光の表現が豊かで今までに見たことない映像体験だった。主人公のヒロがベイマックスと共に街を飛ぶシーンは、気づくと涙が出ていた。

調べてみると、前作『アナと雪の女王』から『ベイマックス』の間に、3DCGアニメーション制作における大きな技術革新があった。「ハイペリオン」と呼ばれるその技術には、監督とエンジニアの情熱が詰まっていた。ただ、このことは、あまり紹介されておらずもったいないと思ったので簡単にまとめてみた。

監督が描いた理想と現実

監督のドン・ホールは、企画当初「これまでに見たことのない映像をこの映画で作りたい。現実と見間違えるようなリアルなCGと、ディズニーのアニメーションを融合した映画を作りたい」と考えていた。その可能性を追求した結果、3DCGにおける光の表現を1から作り直す決断をした。これは3DCGの根幹技術を作り直さならければならず、技術的に難しい挑戦で、噂を聞きつけた業界の誰もが空想話で実現はできないと思っていた。

2年かけて作り上げた「ハイペリオン」

ドン・ホールとプロジェクトチームは、大きなリスクを背負いながら、2年の歳月をかけて光の表現について研究を続けた。そして、「ハイペリオン」という名前のレンダリングソフトウェアを開発した。

レンダリングソフトウェアとは、キャラクターの形や表面の情報、材質の情報、光の情報、視点の情報、立体感を出すための明暗の情報など様々な情報をとりまとめ、映像を生成するソフトウェアのこと。

通常のレンダリングソフトウェアは光の位置や強さから画面の明るさや色を計算して表現するが、「ハイペリオン」は光が物体に反射した光も計算する。例えばベイマックスの白い風船のようなボディに周囲の光が映りこんでいるシーンや、路上の雨粒に光が反射して周囲がうっすらと明るくなるシーンなどは「ハイペリオン」の本領が発揮されたシーンだと思う。

「ハイペリオン」は当時十分にテストされておらず、『ベイマックス』完成まで、問題なく動き続ける保証はなかったが、彼らは自分たちが作りあげたソフトウェアを信じた。「ハイペリオン」は期待に応え見事な映像を作り上げた。

ベイマックスを支える技術

映画の中のベイマックスに使われている技術は、見るからに最先端(というか空想)のものだったが、映画自体も最先端の技術を結集して作られていた。「そんなの作れるわけない」と周りから冷やかされるくらい前衛的な技術に挑戦し、新しい表現を切り開いた。これを成し遂げるには、高い技術力はもちろん、それ以上に「やってやろう」という熱い情熱が必要だろう。

僕は仕事でインターネットを使ったソフトウェア開発をしている。業界は違えど、同じ技術者として、この話はとても刺激的だった。自分がいいと思うものが、技術的に難しかったり、周りから賛同を得られないことを理由に諦めるのはもったいない。自分を信じてやり切れば新しい景色が見えるかもしれない。

もう一度見たい…DVD/Blu-rayが発売されている!

奇遇にも本日4月24日(金)、ベイマックスのDVD/Blu-rayが発売されていた。これは買うしかない!のだが、ちょっと財布が寂しくて、手が出せない。

誰かくれないかなぁ。

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