アマゾンの「アレクサ」と音声データマーケティング

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アマゾンの Echoというデバイスが米国でヒットしています。画面がなく、音声認識のみのSiriのようなもので、人工知能の「アレクサ」に話しかければ、タクシーを手配してくれたり天気予報を読み上げてくれたりします。また、「スキル」と呼ばれるアドオンによってサードパーティのアプリやデバイスと連携させることが可能です。

音声認識を中心に据えた「ボイス・ファースト」のデバイスは、スマホ中心の社会に次の変化をもたらすと予想されています。中でも注目の「アレクサが集めるデータ」についてアメリカの広告雑誌「アドエイジ」が報じています。

アドエイジの記事から

Epsilon and Others Scramble for Alexa Data from Amazon「アマゾンのアレクサのデータに殺到するエプシロンやその他(のマーケティング関連企業)」

scramble for … で「…のために先を争う」という意味です。戦闘機の緊急発進を指すスクランブルなど聞いたことがあると思います。エプシロンは米国の大きな広告代理店です。

記事の要約

アマゾンの音声アシスタント「アレクサ」から得られる情報が一部公開され、今後メーカーやデベロッパーは、販売するゲームやビデオへのアクセス数、利用者のコメント数などの利用パターンを知ることが可能となる。データの公開は、多くのデベロッパーを引きつけ、アレクサの発展を推し進めるためだ。(中略)
エプシロンというマーケティング企業が「スキル」と呼ばれるアドオンの発展に関わっている。エプシロンは、アレクサに集まるデータを自社で保有する膨大な消費者データと統合するなど、昨年からアマゾンと協力体制を築いてきた。アイトラッキングや顔認証技術など、新しいテクノロジーから得られるデータを、クライアント向けの情報に統合することが目的だ。(中略)
さらに、スキルに関連するアレクサのデータ、メーカーが独自に集計したデータ、そしてエプシロンが集計したデータを組み合わせることで、将来的には消費者個人のプロファイリングが可能になるのだという。(中略)
対してデベロッパーは、アマゾンのEchoに集まる元データへのアクセスはできない。得られるのはキーワードなどのデータに限られ、アレクサを利用する個人情報にアクセスすることは無論、開発したスキルを利用する集団の統計情報を収集することもできない。(中略)
直接、広告によってデバイスのユーザーにアプローチする方法も検討されているが音声分析の分野でアマゾンと協力するボイスラボ社のマーチック氏は否定的だ。「それは時期尚早だと思う。バナー広告じゃないんだから、ここはもっとエレガントにいきたい。」

特徴的な英語表現

1. uncharted waters

As agencies and brands attempt to navigate the uncharted voice waters, …
広告会社やブランドが「声という未知の領域」に漕ぎ出そうとする中で、・・・

「チャート(海図)に載っていない水域」ということですから、つまり「未知の領域」ですね。

Britain entered uncharted waters after it voted to leave the European Union.
 (EU離脱の選択をした後、イギリスは未知の領域に入った。)

2. early days

It’s still early days, though.
(結論を出したり判断を下すには)まだ早い/時期尚早だけどね。

In the early days で、「はじめの頃は…」という使い方もしますが、 It’s still early days. は決まり文句で、「まだ始まったばかり(だから早すぎる)」、つまり「時期尚早だ」という意味です。

These are still early days to determine what has happened to the UK economy after the Brexit vote.
 (EU離脱の投票後、何が起こったかを判断するにはまだ早い。)

音声はアマゾンが中心?

Amazon Echoが販売されているのは今のところアメリカ、イギリス、ドイツのみですがいずれ日本でも発売されるでしょう(2017年9月時点)。

しかし、このデータ収集手段をアマゾンが一手に握るため、こうした音声における販売データもアマゾンとその協力企業しか活用できません。そうなると、日本国内の小売業はおろかマーケティング会社にとっても脅威にならないか気になるところですね。