Arrival/メッセージ
もう随分前のことになりますが、映画「メッセージ」を見ました。
バイリンガルニュースで紹介?されて知ったこの映画、言語学についてすごい興味あるし、SFで面白そうだし、で上映前から気になっており、上映初日に見に行きました。
とっても思い白かったです。以下感想(ネタバレあり)
・非ゼロ和(Non zero sum)
この映画のテーマの一つである「非ゼロ和」。僕はこの映画を見るまでこの言葉を知りませんでした。一方が利益を得ることによって他方が損失する(Zero sum = 合計0)ではなく、一方の利益が必ずしも他方の損失にはならないこと。いわゆるwin-winという意味ですね。この映画の中では、「争うのではく、対話する事で非ゼロ和をもたらす」ということを伝えているのだと思います。劇中に「武器は時制を解放する / Weapon opens time」というセリフがあり、その武器というのはヘプタポッドからの贈り物である「言語」。主人公ルイーズはヘプタポッドの言語を修得することで未来が見えるようになり、また中国の将軍を説得させ、後に世界が一つとなり、そして結果的に人類は3000年後ヘプタポッドを救う存在となる。非ゼロ和ですね。
ヘプタポッドたちと言語を教え合う下り、すごく面白かったなあ。

・時間という概念
これもこの映画にとって、とても大きなテーマだと思います。エイリアンであるヘプタポッドは前と後ろ、という概念がありません。それはヘプタポッドの宇宙船内の構造や彼ら自身の姿に現れています。我々は過去現在未来を直線的に捉えていますが、彼らにとってそれらは同時に円環して存在しているのです。面白い。ルイーズは彼らの言語を習得することでこの概念も習得して行きます。言語を習得する事で思考が変わってくる、というあたりサピア=ウォーフ仮説をそのまま取り込んでいる感じでいいですね。それに、ルイーズが将軍にいうセリフを未来の自分から教えてもらう、というのも完全にタイムパラドックスでぞわぞわしました。特にルイーズの回想シーンは過去ではなく、未来のことなのでは?と気付き始めた感覚もぞわぞわです。CMで「娘を失った言語学者」とあったので、CMにやられた、、と思いました(笑)
これは町山さんの解説で知ったのですが、この映画自体も最初と最後が同じシーンで繋がっており、円環する物語になっているんですね。おしゃれ。

・ルイーズの決断
「愛」というのもこの映画の大事なテーマなのではないかな、と思います。
ルイーズは習得した能力で自分の夫(イアン)と娘の存在を知ります。そしてルイーズはイアンと別れてしまうこと、娘が若くして亡くなってしまう、ということも知ります。しかしルイーズはイアンと結婚し、娘を産む決断をするのです。(明確には示されてなかったかな?)死んでしまうことがわかっている娘を産むという決断。人間らしさ、を感じました。だって、もし産まなかったら、娘に会うこともできないし、愛することもできない。自分の中にある存在しない娘の思い出だけしか残らない。愛していたからこそ産む、という決断をしたのだと思いました。たとえ終わりがわかっていても愛することを止めることはできないんだろうなあ。深い。

他にも色々思うことはありますが、すでに長いのでこの辺で。映像もすごく綺麗で、さすがSONYだと思いましたし、物語も素敵。
もう一度見たい!と思う映画でした。
