スタートアップのお金と指標入門講座:バーンレート (Burn Rate)

Taka Umada
Jan 5, 2016 · 7 min read

連載を予定しています。読者対象はSeries A 以前の CFO のいないスタートアップを想定しています。以下はこの入門講座シリーズのリストです。

  1. バーンレート <- ここ
  2. 収益 (Revenue & MRR & SaaS Quick Ratio)
  3. 利益と利益率 (Profit & Margin)
  4. チャーンレート
  5. ユニットエコノミクス (CAC & LTV)
  6. 成長率 (MoM & CMGR)
  7. まとめ
http://christophjanz.blogspot.jp/2013/04/a-kpi-dashboard-for-early-stage-saas.html

目標は上記の表を埋められるようになり、起業家と投資家がある程度同じ用語で話ができるようになるレベルです。


バーンレートという用語を使った会話サンプル

投資家「毎月どれぐらいのバーンレートですか?」

起業家「500 万円です」

投資家「それはネットですか、グロスですか?」

起業家「……」


バーンレート (Burn Rate) とは

バーンレートとはどれだけお金を使ったかの指標です。通常月ごとの資金燃焼率を指します。

バーンレートには大きく分けて 2 種類あります。

基本的には「バーンレート」と言われた時はネットバーンレートが使われます。ネットバーンレートの計算式は以下のとおりです。

例)

毎月 100 万円のグロスバーンレート

毎月 20 万円の収入

=毎月 80 万円のネットバーンレート

図にすると以下のようになります。

バーンレートと資金調達の関係を簡単に以下に示します。毎月のバーンレートで現金が無くなっていきますが、完全に資金がショートする前に資金調達を行います。しかし資金調達できるかどうかは、その期間中どこまで事業の進捗があったかどうかに大きく依存します。

バーンレートを把握することで、スタートアップとしてどれだけ残り月数生き延びられるかが決まります。計算式は以下のとおりです。

バーンレートと収入

バーンレートと収入の関係は以下のとおりです。

つまり収入が増えれば増えるほど、ネットバーンレートは下がることになり、黒字化するとネットバーンレートはマイナスになります。

基本的にスタートアップは赤字を垂れ流し続けながら急成長を狙いますが、ネットバーンレートが出ていることは「デフォルトで死んでいる状態」と言われます。

まず自分たちがデフォルトで生きているか死んでいるかを把握し、早めに「デフォルトで生きている状態」に持っていく必要があると言われています。

http://www.paulgraham.com/aord.html

成長率などを踏まえてデフォルトで死んでいるか生きているかを調べるには、以下の様なサイトが便利です。

2014 年のバーンレート水準

2014 年には以下のような議論がありました。

ここで引用されている Marc Andreessen のツイートによれば、従業員一人あたり $16,666 / month、つまり日本円で約 200 万円程度が適切ではないかという話があります(人件費やオフィスなどの固定費、その他変動費を含み、それを人数で割った大体の値)。ただしこれは US の人件費をベースに考えられているので注意してください。

バーンレートを高くしないために

スタートアップのバーンレートの多くを占めるのは基本的に人件費です。最低限の人しか雇わず、極力アウトソースやサービスを使うことをお勧めされています。

http://www.aoky.net/articles/paul_graham/start.htm

Y Combinator の President の Sam Altman は、一部の若い創業者は「会社のように見えてクールだから」と人を急激に増やす傾向があることに警鐘を鳴らしています。日本でも時折見かけるので注意しましょう。

ただしバーンレートが高いことは悪いことではありません

Burn Rate が高いことそれ自体は悪いことではありません。問題なのは、

  • 銀行口座にキャシュがないのに Burn Rate が高い
  • Burn Rate が高いのに、リスクを減らせていなかったり、マイルストーンを達成できていない

といった場合です。特に後者の場合は次の資金調達に時間がかかったり、資金調達できなかったりするケースが起こりますので注意してください。

またバーンレートを気にしすぎて、事業や成長のスピードを落とさないように気をつけてください。バーンレートを上げてもスピードを取るべき時のほうがスタートアップにとっては多いのではないかと思います。

その他参考資料

こちらに全体を書いています。

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