スタートアップ向きのアイデアかどうかのチェックリスト

スタートアップをするときは、会社から始めるのではなくアイデアから始めるべきだ、と Y Combinator の Sam Altman は言っています。なので今回はスタートアップ向きのアイデアを考えるときに参考になるであろう質問集を出典付きで以下に挙げていきます。気づいたものがあれば順次追加します。

これらすべての質問に答えられる必要はないと思いますが、思考の整理には役立つのではないかと思います。なお、ここでのアイデアという言葉の中には、Sam Altman と同様、市場や戦略などの意味も含ませています。ではどうぞ。

アイデア

1. 悪いように見えて、実は良いアイデアですか (Sam Altman)

2. 賛成する人のほとんどいない、自分だけが知っている大切な真実を前提としたアイデアですか (Peter Thiel)、つまり自分しか知らない秘密を使ったアイデアですか (Chris Dixon)

3. 世の中のほとんどの人が信じていない、世界の未来に関する仮説を描いていますか (Peter Thiel を少し変更)。たとえばあのポール・クルーグマンが「インターネットの経済的インパクトは FAX マシーンのインパクトよりも大きくはならない」と 1998 年に予想していた中、それでもインターネットの可能性に賭けることができますか。

4. 週末に頭のいい人達がやっているようなアイデアですか (Chris Dixon)

5.「私はどんな問題を解決すべきなのか?」を考える代わりに、「誰かが解決してくれるなら、どんな問題を片付けて欲しい?」と考えてみましたか (Paul Graham)

検証

6. そのアイデアは考え出した (think up) ものではなく、気づいた (notice) ものですか (Paul Graham)

7. アイデアよりも人、特に病的なまでに活気にあふれていて独立心旺盛な人に注目して気づいたアイデアですか (Paul Graham)

8. なにかを模倣したようなアイデアではないですか (Paul Graham)

9. 人にアイデアを話すときに、多くの場合は理解をしてもらえずに痛みを覚えるようなアイデアですか(バカにされますか)(Chris Dixon)

10. アイデアを秘密になんてしていませんか (Chris Dixon)

11. Why Now の問いに答えられますか、たとえば何故 2 年前だと早くて 2 年後だと遅いのですか (Sequoia Capital)

12. Why You の問いに答えられますか 、たとえばあなたの知的好奇心や専門性があるものですか(Paul Graham)。他人では出来ず、自分しかできないことですか

13. 直接的な体験から気づいたアイデアですか (Chris Dixon)

14. 他人やプロからみると、それはおもちゃのようなものですか (Chris Dixon)

15. 今の社会的規範に反しているように見えますか (Chris Dixon)

16. 一部の投資家だけにしか刺さらず、多くの投資家からは悪いアイデアだと思われるようなものですか (Sam Altman)

17. アイデアの迷路を描いてチェックしましたか (Chris Dixon) (参考)

18. スタートアップのために作ったような早すぎる最適化がされたアイデアではなく、ただただ自然発生的に出てきたものですか (Paul Graham)

課題

19. これまで見落とされていたような問題ですか (Paul Graham)

20. ミッションを持って取り組んでいる困難な課題ですか (Sam Altman)

21. Google でも他の会社でもより高給でより高い地位につける人が、20番目のエンジニアとしてあなたの会社を選ぶ理由があるアイデアですか (Peter Thiel)

22. そのアイデアの実行は苦行を伴うもので、だからこそ誰も手を出していないものですか (Paul Graham)

技術

23. 最新の技術によって、新たに解決できる問題にいち早く気付けたようなアイデアですか (Paul Graham)

24. 2 倍や 3 倍ではなく 10 倍以上といった、ケタ違いの効率向上やコストダウンを実現できますか (Ben Horowitz)

25. コストやサイクルタイムが急激に変化している技術領域ですか (Sam Altman) (参考)

26. 既存の技術でも、新しい組み合わせによるものであったり、新しい領域に挑むものですか (Steven Johnson) (参考)

戦略

27. 今はまだ小さな市場から始まるものですか (Peter Thiel)

28. その小さな市場を独占できますか (Peter Thiel)

29. 急成長しているマーケットですか (Sam Altman)

30. このまま進めていけば、いまだ築かれていない、価値ある企業になりえますか (Peter Thiel)

31. 競合がいて、それに対する優位性を語れますか(競合はいない、というのは良くない答えです)(Aaron Harris)

32. スケールしないことから始めていますか (Paul Graham)

製品

33. 恥ずかしいぐらい出来の悪い Version 1 を素早く出していますか (もしそうでなければそれは遅すぎるということです) (Reid Hoffman)

34. びっくりするほど良い顧客サービスを提供できていますか (Paul Graham)

35. 多数の人がほどほどに好きなものではなく、少数の人が愛してくれるプロダクトですか (Paul Buchheit)

36. 未来を考えて今欠けているものや、未来にあっても面白そうなものですか (Paul Buchheit)

37. 今すぐ欲しがるユーザーはいますか。人が欲しがるものを作っていますか (Paul Graham)

38. 何度も繰り返しリリースしながら、アイデアを進化させていますか (Paul Graham)

39. 歯ブラシテスト(一日に利用する歯ブラシの回数である2回を超えて毎日訪問する価値があるようなサービスかどうか)をクリアしますか? (Larry Page)

学生向けのヒント

学生の多くの方は研究者や長年の技術者ではないので技術的に詳しい領域を持っているわけでもなく、仕事経験がないので業界の課題を深く理解している領域があるわけではありません。

なので、とある大学の先生いわく、学生の皆さんが勝ち目があるのは逆に、これまで誰も手を出していなかった未踏の領域だそうです。そうした未踏の領域は最先端の人しか挑戦できないかのように思えますが、そうした未知の領域にあえて挑戦すること、特に既存の技術や新しい技術の組み合わせで挑戦することが学生にとって比較的簡単に成果を出せる方法とのことです。それはある意味、Joi Ito の言う脱専門的な領域とも言えるかもしれません。

実際、たとえば 2016 年は VR が盛り上がっていますが、そのトレンドのきっかけとなったのは 2011 年に 19 歳の学生が作った Oculus という技術プロジェクトでした。 また現在ドローンの市場で大きな存在感を持つ DJI が創業されたのは、創業者が大学時代に行ったヘリコプター飛行制御のプロジェクトがきっかけでした。

こうした 2011 年の Oculus、2005 年の DJI、そして 2003 年の Facebook、1997 年の Google、1994 年の Yahoo!、1991 年の Linux は、当初すべて、大学生の ” おもちゃのような” 技術プロジェクトとして始まったものです。 最初は誰もこんなに大きくなるとは思っていなかった、レールを少しだけ外れたアウトサイダーたちが趣味の時間で作ったただのおもちゃでした。でもそれが後に大きく世界を変えました。

そして学生の皆さんが優れているのは、これから伸びる市場や変わりつつある世界に本能的に気付けるという点です。自分たちの周りにいる人たちもまた若者なので、彼らの興味関心や行動にいち早く気づくことが出来、その結果世界の変化にも気付けます。

だから本能を信じてただ面白いものを作ること、新しい領域に挑戦すること、 Just build things. Preferably with other students. が学生にとっての勝ち目のある戦略、ということになります。

その他以下もお勧めです。

http://www.huffingtonpost.com/2014/01/02/isaac-asimov-2014_n_4530785.html

最後に

アイデアをどんなに考えたところで価値は生まれず、価値は実行することから生まれます (Value is created by doing, Sam Altman)。

なのでいずれにせよ、アイデアを考えた後は Just build things & Talk to users になるのかなと思います。