企業は「面倒な仕事」によって定義され、お金をもらう

学生の方々のビジネスプランを見る機会が多くなってきました。そんな中でたまに気になる点があるとすると、面倒な仕事を避けてプランを立てる人が一定数いる、という点でしょうか。

たとえば「大企業と組んでパートナーシップを組んでデータをもらってそれを機械学習に…」とか「作ったものをリセラーに売ってきてもらう」「行政と組んで広める」といったような、綺麗で楽なやり方を最初の一歩から組み込みがちです。確かにそのほうがすぐにお金が儲かるように見えるかもしれません。

でも残念ながらそうしたプランはその人が相当な人脈や実績を持っていない限り、ワークしないことが多いのが実情です。だから面倒な仕事を避けているようなプランは残念ながら魅力的には映りません。

どうやら Y Combinator に入るようなスタートアップでもこのようなことはよく起こるようで、Paul Graham は 2012 年に以下のようなエッセイを書いています。

Y Combinator で行うたくさんのことのうちの一つは、面倒な仕事は避けられないというのを教えることだ。そう、コードを書くだけでスタートアップを始めることはできないんだ。…面倒な仕事は避けられないだけじゃない。面倒な仕事こそがビジネスの多くの部分を構成しているんだ。企業は、その企業が引き受ける面倒な仕事によって定義される。

仮にたとえばもしあなたが単なる一人の何の実績もない人間で、仮にどこかとパートナーシップが組めたりして、面倒な仕事が避けられるのであるとしたら — — 他の人もできない理由はないはずです。だとしたら何故、そのアイデアはまだ誰もやらずに手付かずに残っているのかを考えてみるのも良いかもしれません。

そしてそもそもパートナーシップはスタートアップにとって機能しないとはよく言われますし、大々的に発表したもののワークしていないパートナーシップは周りでもよく見かけるので、パートナーシップに過大な期待をかけるのはある程度注意しておいたほうが良い。


企業は面倒な仕事を誰かの代わりに行うことでお金を得ます。

もちろん、その面倒な仕事を面倒なままで置いておかず、仕事の一部を自動化して自分たちを楽にしていくことは重要ですし、既存のシステムを出し抜く(”ハック”する)方法を考えることも重要です。でも残念ながら、特に初期には面倒な仕事を避けることはできません。

そして逆にその面倒だと思う仕事は、皆が面倒だと思うからこそ手付かずに残っており、だからこそチャンスがあるかもしれないという面もあります。その部分については上の Paul Graham のエッセイで詳しく触れられているので、ぜひ一読いただければと思います。

イノベーションのジレンマで有名な Christensen が提唱する Jobs to be Done (JTBD) フレームワークも似たような発想として覚えておくと良いかもしれません。