やりたいことは、やってみないとわからない

起業家の講演に対する、学生の皆さんの質問でかなり多いものは、

  • 「やりたいことをどうやって見つければいいんですか」
  • 「起業家の方は、どうやってやりたいことを見つけたのですか」
  • 「その情熱はどこから来るんですか」

といった印象があります。

それに対する起業家の皆さんの答えを一般化すると「やりたいことはやってみないと分からない」ということになるのかなと。実際 Stanford の Tina Seelig も同様のこと言っています。

起業家の皆さんが起業にいたったきっかけを聞いてみると、その背景には「行動量の多さ」(ニコ生等で実況していた等の活動ジャンルの広さや、ICPC 優勝などの特定ジャンルの深さまで、行動量といっても様々ありますが)があると思います。

そして振り返ってみれば偶然に見える共同創業者とのめぐり合わせも、ふとした行動や好奇心で動いてみることから起こっているように伺えます。ある意味それは「ふわふわとしているからこそ、色んなことに巻き込まれやすい」巻き込まれ体質の主人公、とも言えるのかもしれません。(もしくは東浩紀の文脈では観光客的とも言えるかもしれません)

とはいえ、何か行動を起こそうとすると、それこそハードウェア開発などではお金がかかります。そこでこの夏休みには、東大生向けに Summer Founders Program という、技術プロジェクトに対して資金面や起業家からのアドバイス等で支援するプログラムを実施することになりました。失敗してもいいので是非挑戦してください(こちらは宣伝です)。

スライド版の『逆説のスタートアップ思考』でも、新書版の『逆説のスタートアップ思考』でも、「やりたいことはやってみないと分からない」ということを書いていますが、今回もまた出版社からの許可を得て、以下に新書の該当部分を少し追記・修正して公開したいと思います。


■ やりたいことはやってみないと分からない

スタートアップをやりたいけれど、肝心のアイデアや、やりたいことがない、という話をよく聞きます。

でもそれが普通です。スタンフォード大学のテクノロジベンチャープログ ラムを担当し、『20歳のときに知っておきたかったこと― スタンフォード大学集中講義』(高遠裕子訳、三ツ松新解説、CCCメディアハウス) を著書に持つティナ・シーリグは、 別の著書で以下のように書いています。

「情熱を傾けられるものを見つけようと、内へ内へとこもる人たちにはよく出会いますが、彼らには見落としていることがあります。行動して初めて情熱が生まれるのであって、情熱があるから行動するわけではない、ということです。情熱は初めからあるわけではなく、経験から育っていくものです。バイオリンの演奏を聴いたことがなければクラシック音楽は楽しめないし、ボールを蹴ったことがなければサッカーはうまくなりません。卵を割ったことがなければ料理好きになれないのです。
(中略)
人生のさまざまな側面に言えることですが、最初から好きになる一目惚れは滅多にないものです。人でも職業でも何かの課題でも、深く知れば知るほど、情熱をもち、のめり込むようになります。一目惚れの喩えをもう少し続けましょう。結婚したいのであれば、一番してはいけないのが、じっと座って電話が鳴るのを待っていることです。」
(『スタンフォード大学― 夢をかなえる集中講義』高遠裕子訳、三ツ松新解説、CCCメデ ィアハウス)

マーク・ザッカーバーグも会社を作りたいがために、Facebook をリリースしたわけではありません。最初は単にクールなものを作ろうとしてそれを作ったこと、そして事業を作って成長していく中で、世界中の人々をつなげるというミッションに目覚めたことを告白しています。

普通、人は自分が情熱を傾けられる対象を探して、それから対象に熱中しようとします。 自分探しの旅に出る人が少なからずいることからも、その傾向を見て取れます。しかしその方法が機能する場合はごく少ないようです。

情熱を傾ける対象を見つけ出すには、逆説的ですが、まず何かを始めることが重要だと言えます。これも反直観的ではありますが、本当にやりたいことは、そもそもやってみないと分からない、のかもしれません。

だからこそ、まずは何かを始めてみるのが良いのではないでしょうか。特に、誰かと何かを作り始めることをお勧めします。


以上までが引用です。

最終章からの抜き出しのため、ちょっと煽りが入っていますが、でも何かに取り組んでみることがスタートアップのアイデアを得る上で重要だというのはかの Paul Graham も「起業の前に」というエッセイの中で述べています。

ではどうやったら無意識のうちにスタートアップのアイディアが浮かんでくるような 心になれるだろう。(1)重要なことについてたくさん学び、(2)興味を持てる問題に取り組み、 (2)それを好きで尊敬できる人と一緒にやる。この3番目の点は、偶然にも、 アイディアと一緒に共同経営者を見つける方法になっている。

だからこそ、何かを始めるきっかけとして、学生の皆さんは夏休みをうまく使うと良いのかなと思います。

その中でもうまく失敗できるよう、東大生の皆さんは是非 Summer Founders Program をご活用いただければと思います。もしくは、スタートアップでのアルバイトなどもおすすめです!

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