2017年度の未踏プロジェクト(正式名称:未踏IT人材発掘育成事業…)の公募が始まった様です。2017年3月までとのことなので、半年間応募期間があります。
未踏ってなに?
以下公式ホームページよりコピペ。長いのでまとめると、要は若い人に資金及びPM/OBからのアドバイスを提供して面白いソフトウェアを開発してもらおう、というIPAのプロジェクトです。
なんで応募するべきなの?
「未踏って何のメリットがあるの?」ってよく聞かれるんですが、大体以下の様に返す様にしています。
- 締め切り効果
これは未踏だけに限った話じゃないんですが、自分みたいに締め切りがないと動けない意思が弱い人には大変重要。応募書類をまとめるだけで、開発したかったもの具現化するために考える時間が取れる上に、選考に通ればそれを実際に(必死に)開発する時間が取れる。
2. 学生が何かを開発するのには十分な資金が提供される
1440時間を上限に、時給制で資金が提供されます。18歳以上は1600円/時なので、フルで時間を使い切ると230万円程度になります。私はハードウェアも開発していたのでかつかつでしたが、ソフトウェアに絞ったテーマだったら十分な資金じゃないでしょうか。
3. 未踏の名前があるといろんな人の協力が得られる(かも)
これは人によると思いますが、「未踏に通ってこんなことが実現したいけどこういう部分で困っている」と人や組織にお願いをしたときに、未踏の名前が役に立つケースもあると思います。
時間がある方は、1月に中高生向けに行った「未踏の魅力を知ろう:中高生向け未踏説明会」の動画を見て頂けると、他の方々がどう考えているのかわかるので見てみると良いでしょう。
どんなテーマで応募するべきなの?
「hogehoge」っていうテーマって未踏に通る可能性あるんでしょうか?とかよく聞かれますが、知りません。とはいえ、PMごとに採択をしやすい分野の傾向はあるので、過去の採択者のテーマを見てみるのも良いかもしれません。
とはいえ、「採択されやすそうなテーマだから」という理由でテーマを決めるのは全くおすすめできません。むしろ、たぶんそのテーマはほかの人も考えているでしょうし、おそらくあなたが一番情熱を持っている分野ではないので選ぶべきではないでしょう。各PMからのメッセージが公式ホームページに載っていますが、「情熱」というワードが何度も出てきます。なんで自分がやらないといけないのか(使命感)、もしくはなんで自分がやるとほかの人よりうまくできるのか(優位性)を意識すると良いと思います。
以下は東京大学の馬田さんが公開しているスタートアップ向けのピッチテンプレートですが、未踏のテーマもこのフォーマットを参考にすると、考えやすいと思います。とはいえ、未踏のテーマがビジネスにつながる必要は全くないので、ビジネスモデルについては応募書類で言及する必要はないと思います。()
まだ半年あるし、あとで良いよね
って思うと思いますが、過去の傾向を見るにある程度すでにプロトタイプが動いている物が採択されるケースが非常に多いです。なので、はやめにテーマを決めて手を動かしてみることをお勧めします。なんでそういう傾向になるのかというと…
- PMが採択する際にリスクを減らせる
これは良い面と悪い面があると思っていますが、プロトタイプが動いていたほうがPMの人も安心して採択できます。
2. プロトタイプを先走って作るくらい、テーマ/開発が好きということを示せる
上の「情熱」にもつながりますが、逆説的に考えるとなんでそんなに情熱を持っているテーマなのにまだ手を動かしていないの?という疑問が生まれます。
私は採択時には超しょぼいプロトタイプしかできてなかったので人のことは言えませんが、早めに手を動かしたほうがアイデアも固まるし、人からフィードバックを得る機会も増えて良いと思います。
でもレベル高いから自分は選考突破できない…
って言われること多いんですが、決してそんなことはないです。かといって未踏のレベルが低いのかというとそんなわけでもないんですが、ポイントは「プログラミング/ソフトウェア開発のスキルを見せる機会は採択段階ではない」ということです。なので言ってしまえばアイデア勝負。(とはいえ、プロトタイプを見せたりできるのでそこでスキルを証明するチャンスはある。それを使うかどうかは自由ですが。)
以前のポストでも書いたのですが、「どう作る」かは昨今盛り上がっているプログラミング塾や大学の授業で教えてもらえたとしても、「何を作るべきなのか」を深く考える機会って、あんまりないと思うんですよね。是非、未踏を締め切り効果として使って「何を作るべきなのか」じっくりと時間をとって考えてみると良いと思います。落ちても無駄にならないですしね。