【連載⑤】仮想通貨の投資はどうするべきか?

HEYBIT
11 min readFeb 6, 2020

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連載①の記事で仮想通貨市場のボラティリティ(激しい価格変動)に勝つためには、真正面から立ち向かって闘うよりは波の力を借りて波に乗るサーファーみたいに価格変動のトレンドに乗っていくべきだと述べました。

今回の記事を読めば、なぜ仮想通貨へ投資をするならば価格変動のトレンドに乗っていくべきなのかが分かります。

仮想通貨は右肩上がりする資産なのか?

億り人になれるのだろうか?

特定の戦略を検討する前に、仮想通貨は長期的に値上がりし続ける、つまり「右肩上がりの資産」なのかを見る必要があります。

ビットコインは確かに2017年末までは右肩上がりの資産だった。。。(Source: coinmarketcap.com)

まず、仮想通貨の前に株式、債券、不動産はどうでしょうか?株式、債券、不動産は長期的に右肩上がりする資産です。

を単なる紙切れと考える人もいるでしょうが、株はある企業の所有持分を意味します。

資本主義社会では、企業が資本を蓄積し、これをベースに収益を徐々に増やしていきます。それにしたがって、バリュエーション(企業の価値)も増え、株価も共に上がるわけです。

それだけでなく、企業の営利活動で生み出した収入を株主に配当という形で提供します。

実際に1900~2012年に渡ってグローバル株式市場は年平均複利8~9%程度の収益を記録しました。

もちろん、株を買った企業が途中で倒産したら、元本が全部なくなることもあり得ますが、株式市場の代表的な企業を含めた株価指数ETFさえ買えば長期的にはあの程度の収益が期待できるはずです。

2012年からの日経平均株価をみたら株式は全体的には右肩上がりの資産である (Source: macrotrends.net)

債券は国家、自治体、企業などに金を貸すことを意味します。

債務者は、債権者に利子と元金を返済することを約束します。債務者がお金を踏み倒さなければ、債権買収者の資産は右肩上がりします。

Financial Timesを見れば、債券を買って満期日まで保有していれば、大体どれくらいの収益が期待できるのかがすぐに分かります。

緑色のグラフ(左)を見れば債券は右肩上がりの資産だというのがわかる(Source: https://www.nikkoam.com/fund-academy/rakuyomi/vol-1296)

不動産、特に需要の高い都市の不動産の場合、土地が限られているため、その土地の価値は必然的に上がります。

世界的な不動産価格は長い間上がり続けており、不動産価格が長い目で見れば、上昇しつづけていることに異論を持つ人は少ないでしょう。

また、不動産では賃貸収益が期待できます。

日本全国の(Source: https://sumamon.jp/mansion/social/kakaku-suii/)

このように株式や債券、不動産のような資産は、相場の変動による差益だけでなく、配当、利子、賃貸収益などキャッシュフローも期待できる資産です。

そのため、このような資産クラスは長期にわたり右肩上がりすることが期待できるでしょう。

しかし、仮想通貨は違います。仮想通貨が長期的に右肩上がりする資産なのか、判断は現時点では非常に難しいのです。

全くわからないビットコインの行方

仮想通貨の長期上昇論を主張する人々は、ビットコインなど仮想通貨の数量が有限であることを根拠としています。

これは本当にそうなんでしょうか?

ビットコインは何ヶ月に一度ハードフォークによって新しい「親戚」を続々と作り上げてるのではありませんか?

ビットコインキャッシュ? ビットコインゴールド? ビットコインダイヤモンド?

次は何でしょう。プラチナム?ビートコインドラゴンボール?笑

さらに、聞いたこともないような奇妙な仮想通貨の数は毎月増加しています。つまりビットコインでさえ繁殖(?)によって数が増えており、ほぼ毎日新しい仮想通貨が出ています。

確かにCoinmarketcapで探してみると、2017年末には仮想通貨の数が900個くらいでしたが、2018年の年明けには、それが1,374個に、2年後の今はなんと2,394個まで増えています。 WOW!

意味不明なコインだらけ!(Source: coinmarketcap.com, 2020.2.5)

決定的なのは、仮想通貨にはキャッシュフローがありません。

株式は配当があり(または配当を留保する代わりに利益を再投資して未来の利益を増やし)、債券は利子を受け取って不動産は家賃を受けとることができます。

一方、仮想通貨はキャッシュフローが全くないのです。涙

ビットコインのようにキャッシュフローを提供していないが、安定した需要がある資産が一つある。

他ならぬ「金」です。金の価格は長期的にどれくらい動いたのでしょうか。

聖書を見れば金1オンス(28.35グラム)でパン350個を買ったそうです。

2,000年以上経った2015年に誰かが計算してみたら、今も1金=パン350個の公式が有効ですと!

すなわち、キャッシュフローのない金は長期的に価値は維持されましたが、それ以上の超過収益は提供しなかったのです。

もちろん短期的には金もビットコインのように価格が上がったり下がったりした期間が確かにあったんですが、長期的に右肩上がりする資産ではないです。なのでキャッシュフローを提供しないビットコインも右肩上がりの資産ではない可能性が高いと思います。ビットコインが本当に「未来の金」になると仮定してもビットコインの長期収益がものすごいという保証はないのです! 「未来の金」になることに失敗したら? 長期収益はむしろ低い可能性もあります。

右肩上がり資産がなぜ重要なんでしょうか? 右肩上がり資産だと「長期投資」がかなり威力的な武器になります。”平均的な”株式、債券、不動産を買って保有(Buy & Hold)していれば長期的に儲かることができます。ただじっとして株価指数ETFを長期保有して、途中で下落しても売らず無視すれば年複利8~10%は儲けられるでしょう。マンションも同様です。ただ買って保有するだけで値段が上がります。

しかし、右肩上がり資産であるかどうか確信できない仮想通貨は長期投資対象ではないです。 すなわち、一度買って数十年間ずっと保有する長期投資(Buy & Hold)戦略を使ってはならないです。確かに2017年末までは、買って保有する戦略が非常に成功していました。しかし、これからもそれが通じるという経済的な根拠はないのです。結局特定の基準を決めてそれにしたがって短期間で売買を完結させる「スイングトレード戦略」を駆使しなければならないです。

価格だけ死ぬほど分析すれば良い!

株という資産は様々な観点から分析できます。企業価値を分析してアンダーバリューされた企業を買う「バリュー株投資」ができますし、チャートを研究して買い付けの決定を下すこともできます。また、経済トレンド、産業、マクロ経済分析など全体像を見て投資することもできます。そして価格だけを見て、最近大幅に値上がりした株を買ったり、新高値を突破した時に買い付けする投資家もいます。有名な投資家やインサイダーの取引を見て、それをマネする方法もあるでしょう。このような様々な方法を適切にミックスして投資することも可能でしょう。一言でいうと株式投資はとても複雑です!

価格分析ってこんな感じ?!笑(Source: https://sakagami3.com/entry/2018/01/30/144643)

仮想通貨市場は比較的に簡単です。たった過去の価格だけを研究すれば良いのです! これ以外に分析すべき資料があまりないし、そもそも実体がないためバリュー投資も不可能です。マクロ経済が仮想通貨市場に及ぼす影響? さぁ〜どうでしょう。時々政府の規制、ハードフォーク、特定通貨の上場など色んなニュースが出てきますが、そのニュースが価格にどのように反映されるかを見て投資しても遅くないのです。それに我々に届くニュースはニュースではなく、ただの噂もしくはノイズである場合も多いでしょう。

勝ち馬に乗る投資家になろう!

株式市場には価格パターンだけを見て戦略を作った専門投資家が非常に多いでしょう。このブログではこれから様々な戦略が紹介されますが、基本的な哲学は次の通りです。仮想通貨を含めすべての金融市場には「トレンド」が存在するということです。最近、高騰した資産はしばらくその方向を維持し、さらに上昇する傾向があります。これを「トレンド追従」または「モメンタム戦略」と呼びます。

仮想通貨の投資とは関係のない本(No.2!)だが投資の世界では重要なルールでごじゃる

数百年前から株式投資の賢人たちは「トレンドはあなたの友人(The trend is your friend)」と語りました。オランダ貿易商ヨゼフ・デラベガ(Joseph de la Vega)は1688年に出版した世界初の株式投資の説明書「Confusion de Confusiones(混乱の中の混乱)」という本で「株価が急落したからといってさらに下がる可能性がないわけでもないし、株価が高騰したからといってさらに上昇しないわけでもない。株価が上がれば人々はもっと上がるとみてもっと買い付けるべき」と説破しました。株式市場でトレンドが一度形成されれば、しばらく維持される属性を説明したのです。

18世紀日本には「相場の神様」と呼ばれる本間宗久という投資家がいました。彼は株ではなく、米先物の取引でトレンド相場を読むテクニックを使い、自分の投資哲学と技法をまとめた「本間宗久翁秘録」という本も出しました。 「上げ相場で買い付け、下げ相場で売り付け」するトレンド追従型取引はこのように数百年前から知られていた、国と文化圏を超えた投資戦略です。

彼の「酒田五法」では「三兵」として出てくるトレンド追従戦略 (Source: https://matome.naver.jp/odai/2145900305308441901)

比較優位論(Comparative Advantage)の創始者として知られている経済学者デヴィッド・リカード(David Ricardo)は200年前にこのような名言を残しました。

損失は短く、利益は長く(Cut short your losses and let your profits run on)

「買い付け後、株価が下がれば直ちに損切りし、株価が上がればピークに達してから下がり始めた後に売れ」という意味です。彼はこんな言葉も付け加えました。「このゴールデンルールを株式市場のほかに他の資産クラスにも適用できそうだ。」

洋の東西を問わず昔から当代の賢人たちはトレンド追従に注目していた

この方、マジ天才ではないか。モメンタム戦略が株式市場だけでなく、債券、為替、コモディティ市場など他の資産クラスでも通じるという論文が発表されたのが21世紀の頭なんですが、リカードさんは200年前にこの簡単なルールを適用して大金持ちになったのです。この戦略は比較的に早く誕生した仮想通貨市場にも非常によく通じます。

トレンドという概念を理解することがあまりにも重要で、大半の人がそれの反対に行動してしまう理由は後ほどもう一度深掘りしようと思います。今は信じがたいかもしれんませんが信じてください。値上がりの仮想通貨を買い、値下がりの仮想通貨を売れば金持ちになれるということを!

「勝ち馬に乗る投資家になろう」というのはまさに

トレンドをフォローする投資家になろう!

ということです。

ではどうやってトレンドを読み取りそれに乗れるのかは次のエピソードから!

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