【連載③】投資戦略に入る前に:基礎知識とルール

HEYBIT
14 min readFeb 4, 2020

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まずは用語をしっかり覚えておきましょう!

(すでに知ってる方はスキップして構いません。)

トータルリターン(Total Return)

戦略で稼いだ総合収益です。パーセント(%)で表記します。

戦略を通じて資産が1万円から8万円に増えたら、トータルリターンは((8/1)-1)x 100=700%になります。

複利リターン(CAGR)

総合収益を年平均収益率に換算したものです。

4年間総合収益が200%であれば、 複利リターンは50% ではありません。

複利リターン=(1+総合収益)^(1/年数)-1
上のケースの場合、複利リターンは=(1+2)^0.25–1=31.6%になります。

言い換えれば、31.6%を4年連続稼いだら、元本が200%増え、すなわち3倍になることです。

複利の魔法(Source: https://ameblo.jp/fwna1503/entry-12546666650.html)

MDD(Maximum DrawDown)

MDD(最大ドローダウン)とは、通算利益率グラフの山から谷までの損失幅のうち、最大の数値を言います。

このポートフォリオには現金資産も含まれます。

例えば、三郎が1億円分をビットコインに投資したが、いきなりビットコインが70%暴落し、財産が3,000万円になり、再び上がって1億円になったとしましょう。この場合MDDは70%です。

最大ドローダウンとは簡単に言えば「投資期間中の最大損失率」のこと (Source: https://fx-mono.com/importance-of-drawdown/)

もし1億円の10%、すなわち1,000万円だけビットコインに投資したとしましょう。

それでは1,000万円は300万円になり、再び回復して1千万円になったのです。この場合MDDは7%になります。ポートフォリオ全体は1億円から9,300万円に下落した後、再び1億円に上昇したからです。

三郎が投資したビットコインは確かに70%に割れましたが、三郎の資産のMDDはこれよりはるかに小さいです。

仮想通貨市場のMDDはどれくらいでしょうか?

2017年に急騰した仮想通貨は2018年1月から大幅に下落したのです!

2018~2019年メジャーな仮想通貨の下落幅を見てみましょう。

極めて恐ろしいレベルのMDDですね。仮想通貨の基軸通貨(?)と見られるビットコインも87.7%も下落し、他の仮想通貨はすべて90%以上下落した上に、下落幅が99%以上の仮想通貨もいたのです。

この全ての下落が2年間で発生しました。 この2年間の下げ相場が最も深刻だったのかというと、そうでもありません。ビットコインは2009年以降、深刻な下落が数回ありました。

ビットコインの主な下げ相場の区間と下落率、新高値達成までの期間

2018年の下げ相場は非常に強力で、ビットコインは87.7%も暴落しましたが、ビットコインはその前にも大暴落したケースが多く、最高値に比べて90%以上下落した場合も2回もありました。

また、2013年11月30日から410日間、つまり年を超えて85%以上下落した場合もあります。この時新しい高値を回復するまで、3年もかかったのです。

仮想通貨市場は株式市場とは比べられないほど価格変動が激しいです。

特に、個人投資家は全ての財産を非常に短時間で失いやすいというリスクの高い市場なのです。しかし、この連載を最後まで読んで、内容を十分に熟知した上で投資をすれば、資産比20%以上失うことはないでしょう。

バックテスト

バックテスト(backtest)とは、特定した投資戦略を適用した場合、過去の収益率がどの程度だったかをシミュレーションするプロセスです。

この連載でさまざまな戦略を提案しますが、そのまま真似していたら実際にお金を稼ぐことができたのか検証が必要です。このため、この連載で紹介するすべての戦略は、バックテストの結果を提供しています。

バックテストを正しく行うために過去のデータが必要です。

ここでのビットコインのデータは ① www.bitcoincharts.comからとっており、② イーサリアムなど、その他の仮想通貨の場合はwww.coinmarketcap.comにあるデータを使用しました。

③ 同時に複数の仮想通貨に投資する複数通貨の投資戦略の場合、www.coinmarketcap.comに表記されたビットコインのデータを使用しました。

もちろん、バックテストの結果は過去の結果です。そして、過去の収益が将来の収益を保証するわけではありません。

バックテストというプロセスを過去のデータを持って過去の収益を推定する手段にすぎず、バックテストで作った右肩上がりのリターン戦略は既存のデータに組み合わせたものに過ぎないと非難する人もいます。そのため、過去のリターンカーブが未来にもそのまま維持されるとはいえないことから、こんな試みは無用だと主張します。

バックテストの結果が未来に同様に再現されるという保証はもちろんできないですが、だからといってこのようなロジックは妥当なものとも言えません。 バックテストの主な目的の一つは、過去のデータに基づいた値動きから規則的に現れるパターンを見つけることです。この過程を経て見つけた意味のあるパターンが常識的で明快なロジックで説明できれば、これは単に過去のデータに組み合わせたものではなく、市場の規則的な属性と見なすことができ、我々は紛らわしい値動きの中これを磁針としてトレードの原則を守っていけるでしょう。

バックテストが過去のデータで行われて無用だとすれば、それで代案はあるでしょうか? そうでもないです。あなたは未来を予測できますか? 不完全だといって検証もせずに勝手に投資するよりは、過去のデータで検証して投資することが100倍はましでしょう。

この本のタイトルはバックテストの意味をよく要約してる(Source: https://zuuonline.com/archives/162152)

もちろん、この連載で紹介する投資戦略は過去の特定期間に限って有効だったのかもしれません。したがって、 ① 特定した投資戦略が仮想通貨市場以外に他の市場、特に株式市場でも有効かどうか分析しなければならないです。できるかぎり多くの市場でテストする方法が良いでしょう。特定の戦略が仮想通貨市場、日本、米国の株式市場など複数の株式市場で効けば、この戦略の結果は偶然の結果ではなく、優秀な戦略である可能性が高いでしょう。 ② 戦略が上げ相場、下げ相場、横ばい相場でどのようなトレンドを見せるのかをチェックしなければなりません。2017年仮想通貨市場に飛び込んだ投資家らは上げ相場だけを経験したはずですが、2013年11月ビットコインが16万円台まで上がって2015年9月1万円台に落ち込んだことも知っていますか?

バックテスト区間に上げ相場だけ含ませたら絶対ダメです。上げ相場の後には、いつか下げ相場も来るし、投資家らが右往左往する横ばい相場も来るのです。

皆さんが選択した投資戦略が上記の二つの条件を満たしたのであれば、すなわち他の資産クラスでも効いて、上げ・下げ・横ばいいずれの相場でも成果が良ければ戦略に対する確信がさらに生まれるのではないでしょうか。選択しようとする投資戦略が過去には良い結果を出したのか、未来にも良い結果を出す可能性が高いのかを判断するために、バックテストは投資戦略を決める前に必須的にクリアしなければならないステージです。

皆さんも直接上記のソースからデータをダウンロードしてバックテストをしてみたらいかがでしょう。このブログでいくら特定の戦略をオススメしても、100%信頼することは難しいでしょう。自分が直接データをダウンロードして戦略を検証してこそ、その戦略に対する信頼が強まるのです。

勝率

勝率=0%以上の収益を上げた取引/全取引の数。
10回取引して4回収益を出したら勝率は40/100=40%です。

損益比率

収益が出た場合の収益金額を損失が出た場合の損失金額で割った指標です。

10回取引をして4回収益を出しましたが、収益がそれぞれ3%、7%、5%、3%で、-1%、-2%、-1%、-2%、-1%、-2%の6回の損失を出した場合は損失が出たら、損益比率はいくらでしょうか。収益がある時稼いだ平均収益、つまり(3+7+5+3)/4=4.5%を
損害が出る場合の平均損失(-1–2–1–2–1–2)/6=-1.5%で割ればそれが損益比率です。つまり4.5/1.5=3です。

このケースでは勝率が40%に過ぎないですが、勝つ時が負ける時より3倍以上の儲けを取って収益を出す戦略です。逆に勝率は75%を誇るが、勝つ時は平均2%をとって負ける時は、8%を失うのであれば? 損益比率は2/8=0.25です。勝率は高いのに損失が出るのです。単純に計算してみればわかります。2%を3回とると6%ですが、一度負けた時に8%を失ったら、トータルリターン(総合収益)は6–8=-2%なのです。

次の表は、それぞれの勝率で収益を出すためには、どれくらいの損益比率を達成しなければならないかを示しています。

75%の勝率だと損益比率が0.33以上であれば損はしないという意味!

ここで留意しなければならない点があります。大半の投資家は「勝率」にこだわる傾向があります。しかし勝率が高くても勝つ時に儲けが少なくて、負ける時に大きく損したら何の意味もないです。トータルリターンに及ぼす影響は、勝率より損益比率のほうがはるかに大きいです。

偉い株式トレーダーたちも、勝率が30–40%の場合が非常に多いということを知っていますか。「たかが30–40%の勝率でどうやってお金を稼ぐ?」と疑問に思う人もいるでしょう。 答えは簡単です。優れたトレーダーは損切り区間を短く取り、失う時に少なく失って勝つ時にたくさん儲かる訳です。なので損益比率も非常に高いです。これで低い勝率を十分にカバーしても余ります。

自分の仮想通貨の投資実力が知りたいですか? その方法はとても簡単です。皆さんがこのブログを読んでいるということは、仮想通貨への投資経験があるということでしょう。もしそうであれば、最近の取引50件以上を分析して損益比率を計算してみてください。各取引で勝った場合には平均何%を儲かったか、負けた場合には平均何%を損したかを計算した後、前者を後者に割ればいいです。もし推定損失が大きすぎて売れなかった仮想通貨があれば、今日売ったと仮定して損益比率を計算します。

このように測定した損益比率で自分の投資実力を冷静に評価できるでしょう。

あなたはどれ?
ブロガーとして拙者はまだ「ビギナー」だろう。涙 (Source: https://twitter.com/hashtag/%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%99%E3%83%AB?src=hash)

実力がバレてがっかりしましたか。大丈夫です。長期的に損益比率が1を超える投資者は古今東西を通じてあまりいなくて、投資家全体のわずか3–5%程度と推定されます。このブログを読み終えてその投資戦略を実現しても「投資の神」になるのは難しいでしょう。しかし、プロまたはトッププロレベルは無難に達することができるでしょう。そうなるためにはまずこの連載の内容を理解して実行に移さなければならないです!

手数料+スリッページ

経済学者たちは金融取引をゼロサムゲームといってきました。残念ながら、彼らは間違っています。我々はただでは取引できないのです。 なぜなら取引所に手数料を払わなければならないからです。bitflyerの場合には10万円未満だと0.15%で 取引量が多くなればなるほど手数料が下がります。

スリッページとは成行注文(Market Order)を入れた場合、流動性(Liquidity)不足で自分が希望する価格より少し高く買い注文し、希望する価格より少し安く売り注文することにより生じる費用です。

板状況サンプル (Source: 2020.02.04 11:00、リキッド取引所 BTC/JPY)

例えば、2020年2月4日11:00分の時点でビットコイン(BTC)の最終締結価格が1,008,074円でした。自分がビットコイン1個を買いたいとすれば? すぐ0.101個だけ1,008,074円で購入できます。それなら今すぐBTC0.3個を購入したいなら、ひとまずその0.101個を買い、残りの0.199個はもっと高い価格を支払って買わなければならないです。具体的には1,008,184円に0.04個、1,008,287円に0.0871個、1,008,288円に0.03個、1,008,289円に0.018個、そして1,008,299円に0.0239個を買わなければならないです。

この場合、買い注文の平均価格は1,008,203円で、もともとは買い注文しようとした価格である1,008,074円より0.013%高いです。これがまさにスリッページコストです。

あのコストを支払うことがいやなら、1,008,074円で指値注文を入れて待っている方法もあります。しかし、その場合価格が急激に上昇したら、その価格で買い注文ができるという保証もできないのです。

上記のケースではスリッページコストはあまり高くないですが、

① 大規模な買い注文をする場合
② 市場の流動性が急激に減った場合

スリッページが急増する可能性があります。このような理由で正確なスリッページコストを測定することは不可能です。この連載ではほとんどの戦略に一括的に手数料+スリッページコスト0.2%を適用しようと思います

主観的ではあるものの、この程度ならスリッページコストを保守的に測定したと思います。

心に刻むべき仮想通貨の投資の十戒

本番に入る前に最も重要だと思う「仮想通貨の投資の十戒」を公開します。

① 連続で損しても諦めないで続けるべし
② 買い注文の前に売り注文のタイミングを決めておいてその時が来たら必ず売り流すべし
③ 成功するトレーダーたちは必ず本人の性格に合う投資戦略を見つけている
④ あなたが使用する戦略は具体的であって、超過収益を達成すべし
⑤ 損する場合には、投資規模を縮小すべし
⑥ 損失は必然だ
⑦ 取引規模(資金管理)はとても、とても重要である
⑧ トレードの収益は気楽さと反比例する
⑨ 失敗から学ぶべし
⑩ 最も重要な態度はオープン・マインド(open mind)

今は上記の内容が一つも理解できないかもしれません! ただしこの連載を一生懸命最後まで読んだら多分理解できるでしょう。その後も時々あの十戒を見て、この通りの投資をしているか自己省察してみたら驚くほど発展があるに間違いないです!

続きを読む:心に刻め!:金稼ぎに重要な三つの要素とは

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