EDP 2021 [ひーたんす] Team 2 ヴァディ

日常でも、災害時の避難所生活でも、快適な下着の乾燥体験を

English version can be found here

こんにちは。2021年度東工大エンジニアリングデザインプロジェクト(EDP)の Team 2 ヴァディです。
私たちは、パートナー企業のパナソニック様、コマツ様からいただいた以下のテーマについて、約半年間取り組んできました。

災害と日常が隣り合う未来で、

「災害に備えない」製品体験をデザインせよ

私たちは、「日常でも、災害時の避難所生活でも快適な下着の乾燥体験を提供したい」という思いのもと、「ひーたんす」というプロダクトを開発しました。

プロダクト紹介

「ひーたんす」は、下着など小さな洗濯物のための乾燥機です。
下着を「ひーたんす」に入れると、閉じた空間で効率よく干すことができます。
日常はもちろん、災害後の避難所生活でも、人の目に触れず、盗まれる心配もなく安心して下着を乾かせます。

日常でも、避難所でも安心して下着を乾かせます

災害発生直後、人々は食料や貴重品など必要最低限のものだけ持ち、急いで身の安全を確保します。
私たちのプロダクトはこの段階で避難所に持っていくのではなく、
長期化する避難所生活において、家に荷物を取りに戻れるようになった際、避難所へ持っていき使うことを想定しています。

プロダクトの紹介動画

プロダクトビデオ

問題の背景
私たちは、災害支援ボランティアや東日本大震災のとき避難生活を経験した人にインタビューを行いました。インタビューから、避難所では、女性たちが下着を乾かすのに多くの困難を抱えていることが分かりました。

例えば、一部の避難所には、女性専用の物干し場がなく、女性は目に触れないところに干したいと思いながらも、干すことができませんでした。さらに、公共の場で干していた下着を盗まれるというケースもありました。

その結果、下着をタオルで挟んで避難所の手すりやいすの背もたれに掛けたり、自分や友人の車内で乾かしたりしていました。このままでは乾きにくいので、生乾きのままで着て、残りは体温で乾かすこともありました。

避難所での下着干しに伴う様々な困難

プロダクト

ひーたんす!

ひーたんすは、下着や靴下、フェイスタオルなど、小さな洗濯物のための乾燥機です。

ひーたんすは、洗濯物を干す乾燥ケースとヒーターモジュールで構成されています。洗濯物を乾燥ケースに入れ、ヒーターから出る温風で乾燥させます。

伸縮ハンドルとキャスターが付属しており、持ち運びにも便利です。
鍵が付けられるので、避難所生活でも下着を盗まれる心配がなく、安心して使うことができます。

プロダクトの分解図

ひーたんすは、乾燥機だけでなく、ヒーターとしても使用できます。シャワーを浴びた後や寒い冬にはひーたんすを使って体を温めることができます。

タイマーや温度調節が簡単に設定できます

使い方

こちらは私たちが実際に作ったプロトタイプです。

プロトタイプの写真(左)ヒーターモジュール(中央)乾燥ケース(右)
ヒーターモード/乾燥モードの切り替え(左)フリーモード/タイマーモードの切り替え(中央)タイマーの設定(右)

ヒーターモジュールを回転させることによって、乾燥モードとヒーターモードの切り替えができます。
また、乾燥時間を設定できます。
温度の調節もできるので、生地を傷めず、繊細な下着でも乾かせます。

カラーラインナップ:オニキス、ローズゴールド、パール

利用者の声

私たちはプロトタイプをユーザーに使ってもらい、以下の意見をいただきました。

下着を乾かすとき、生地を傷めないためすごくいい。

ヒーター機能を使うとき、衣類の部屋干しにも使える。

ひとり暮らしの人にとって、多機能でコンパクトなサイズが魅力的。

片手で持てるため、避難所では子ども連れのお母さんも使える。

デザインプロセス

私たちは、最終製品である「ひーたんす」にたどり着くまで、何度もアイデアを練り直しました。ここでは、EDPで考えたこととプロトタイプの制作過程を紹介します。

「災害に備えないって?」

ここでもう一度、パートナー企業から提案してもらった以下のお題について、一緒に考えていきましょう。

『災害と日常が隣り合う未来で、「災害に備えない」製品体験をデザインせよ』

私たちは被災地を訪ね、インタビューを重ねた結果、災害後の避難所での生活に焦点を当てることにしました。そこで、心がけたのは「偶然的に備える」というデザインの原則です。

教授やパートナー企業の方からは、「災害を意識する必要がなく、なおかつ災害に備えられるようなソリューションを考えよ」と繰り返し言われました。

つまり、災害時の機能がなくても、人々が欲しくなるような製品でなければいけません。そして、いざ災害が起きた時に、日常生活以外での使い道を発見し活用してもらえるようなソリューションであることが必要でした。

「避難所でもプライバシーが守られる洗濯体験」という問題から始まり、たくさんのアイデアを出し合いました。

「ひーちゃん❤」

最初の試作品は、ミニプロトタイプ「ひーちゃん」です。

ひーちゃん❤

小さなプロトタイプでのユーザーテストの結果が、最終プロトタイプの設計の参考になりました。ユーザーのフィードバックから、プロトタイプの問題点やどうすれば作りやすくなるのか、多くの発見がありました。

最終プロトタイプ「ひーたんす」

「ひーたんす」は100個以上のパーツから構成され、手作業で組み立てと接着が行われました。

最終プロトタイプのCADモデル

チームメンバー

ひーたんす and its team members ❤!
The one with our mentors — Panasonic x Komatsu ❤!

関連資料

ポスター

スライド

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