スペインの夜

物語みたいだけど、始まりは夢だった。

nocheという名前の猫を探して奔走する夢。

猫を飼うと決めた、というより、夢の続きの様な。あたしのnocheを探しに行かなきゃ!って感覚。何も知らなかったから取り敢えずペットショップに行ったの。貴方あたしのnocheになる?って。

何があってもあたしを愛してくれる、あたしを必要としてくれる存在が欲しいと思ってて、のーちぇはあたしが居ないと生きていけなくて。ある意味曲がった愛情だったかもしれないな。

ママンが急に東京くるって聞いて戸惑った。

「何処其処に行きたいけど悩んでるー」とかも聞いてなかったし、理由が思いつかなかった。ひいばぁちゃんが亡くなった直後だったし、会わなきゃ伝え難い何かがあるのかと思った。誰か病気か、あたしの身体がバレたのか。会ってハグして話さなきゃいけないと感じ取ってたと思う。

電話で理由聞いた時、蜜柑シーズン前に東京行きたい・家に居たら動いてしまうから一緒にゆっくりしよう・最近刹tweetしてないから心配になって(ママンが知らずにミュートしてもてただけ)と言われた。

確かに寝呆けた声だったし、一応其の理由にも納得はしたけれど、何かを疑った侭だった様に思う。はしゃぎつつも怖がってたものあたし。

そして結局はのーちぇの死を伝えにきたんだね。

誰か何かあったのか、とは思っていたけれどまさかのーちぇとは思ってもみなくて。ママンがキッチンしゃがみこんで泣き出して「ああ、ちゃんと聞かなきゃいけない話だ」と覚悟したけど、のーちぇとは入ってこなくて。取り合えあず泣きじゃくるママン抱き締めて「ごめんよ、ごめんよ、刹の大事な」ってところでやっと気付いた。本当なら一回目のごめんで気付くだろうに。何度もごめんって言わせちゃってごめんね。

キッチンに来て、ドア開けろと強請って、ドア開けたら倒れてたらしい。「うー」と3回言って逝ってしまった9/23 13時前。

ママンどんなにしんどかっただろう。一人のーちぇ抱き抱えて、もう心臓動いてないの解ってる状態で。其れに加えてあたしに何て言うかって悩んでたと思う。

電話で伝えて、あたしが帰省するまで其の侭の姿で居られるか解らないと火葬にしてくれたらしい。パパンがペット葬儀屋さん探してくれて。骨壷には、冷凍室に入れた侭になってた一部分迄ちゃんと入れてくれたって。あたしの作った葉っぱじゃらしも一緒に灰になったって。

きっと彼は此のタイミングを狙って逝ったんだろう。帰省中なら目の当たりにしたあたしはきっともっと喪失感大きい。あたしが不安定になってる時なら耐えられない。ある程度安定して、ある意味諦観してる今を狙ってくれたんだと思う。あたしの心が動き過ぎない様に。

でも実感がないってよりも何も動かないよ。感情が見えなくて只管眠い様な感覚。でも眠くない。舌が肋の辺りまで落ちてしまったような感覚。

取り敢えずママンはとても苦しかっただろうから安心させてあげたくて。多分眠れてないだろうから疲れさせてでも寝かしてやりたくて。連れ回して其れは成功したけれど、あたしは如何やって認めれば良いんだろうか。

あたしはのーちぇは飲み込めない。その点はあの子とは別。

一緒に居てくれる人が居るよって伝えられない事はとても苦しい。

何処へ行こうか、如何やって伝えようか。

そういう風に一つ一つ物凄く冷静に分析してる気がする。気を抜けば黙ってしまうから、思考が強くならない様に刺激を与える。

多分ママンは気付いてる。電話であたしが疑ってるの気付いてた様に。多分火葬も、あたしが抱いた時の違いを感じると危ないって解っててしてくれたんだと思う。楽しかったのも本当だけど、楽しもうって努力してくれたんよね、あたしと一緒に。

後時計一周する迄はちゃんと笑おう。

しんとした侭先を見るか、一旦落ちてから先を見るか。

動画もなくて、ちゃんと思い出せないよ。

のーちぇにあいたい

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