001 Startupの資金調達 — ピッチの相手はVCそれともCVC?

S. Nishimura
Oct 8, 2017 · 5 min read

私は、海外の独立系ベンチャーキャピタルで日本の投資を担当しています。そのなかで、起業家の方(日本人のみならず海外からも)と資金調達の件で、お会いする機会が多くあります。

VCがそれぞれ投資領域を定めて投資を行なっているように、弊社でも日本での投資には方針が決まっており、投資候補となる業界、企業の規模や資金調達のステージが異なると、そもそも検討のテーブルに乗らないことも多々あります。

ですので、ピッチするVCの投資方針をあらかじめ知っていくことは、スタートアップの資金調達にとって役に立つと思うのですが、もうひとつ「VCとCVCの違い」を知って臨むことで、資金調達をうまく進めることができるのではないかと考え、今回はこのテーマから書くことにしました。

VCは資産運用

VC(独立系や金融系、一部の事業会社系)は資産運用、つまり出資していただいている投資家さんのお金を増やす、という目的が第一にあります。

特に初期のスタートアップの方々とお会いするなかで、「良いサービスだから投資してくれるはず」という印象をプレゼンから受けることが少なからずあります。

ですが、VC側から考えると投資したお金を増やすことが目的としてあるので、「どのくらいの期間で、どのくらいのリターンが出るのか」という点を考えなくてはなりません。

投資するということは、出資金額と引き換えに企業の株式を取得することになりますが、非上場の企業ですので流動性がありません。つまり、一度購入してしまうと、売却して現金に換えることが難しくなります。(もちろん、他の投資家さんに直接売却することもありますが、株式市場と比較すると、自ら買い手を探すのは大変です)

ですので、例えばスタートアップから「我々はじっくり事業を大きくしていきます」と言われてしまうと、「上場はいつ頃を目指しているの?どのくらいの時価総額での上場を想定しているの?」ということを考慮しなければならないVCとスタートアップで話がかみあわないケースが発生してしまうことになります。

CVCは事業シナジー

一方、事業会社が自社で内部留保しているお金で投資する場合や、それを外部の専門家(VC)にお願いして投資を行うケースがあります。こちらをCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)と呼びます。

CVCの目的は、既存事業とのシナジー創出や新規事業開発のきっかけにするというものです。ベンチャー企業に出資し、共同で技術開発を行ったり、事業会社の既存顧客へのソリューション開発やスタートアップの製品の販売代理機能として協働していくことを目指します。

彼らの目的が事業シナジーであるため、投資基準は、独立系VCと比較して、よりスタートアップの技術やビジネスモデルが事業会社のそれと親和性があるかどうか、スタートアップが獲得したユーザーに事業会社のサービスを提供できるかといったことが重要になってきます。いつ頃の上場を目指している?だったりExitまでにどの程度時価総額を大きくできそう?といった点は、VCと比較すると重要度は下がりそうです。

もちろん、事業会社でも純粋に金銭的リターンを目的に投資することもあります。また事業会社がVCに委託して投資を行なっている場合は、VCが資産運用としてのファンド(お預りしているお金)と事業シナジー目的のファンド両方を別々に運用していることとなり、窓口が同じである場合もありますので、外からだとなかなかわかりにくいです。

VCも事業会社に委託され、事業シナジーを第一の目的として投資を行っている場合でも、トラックレコード(投資の実績)を完全に無視することはなかなかできません。また、お客さんである事業会社は往々にして社内の責任の所在や評価基準があいまいです。担当者が代わる場合もありますし、事業シナジーは評価するのが難しいので、結局金銭的リターンで評価し、それが全くない場合は、VCも次回投資を任せてもらえません。

結局どちらにしても、Exit(上場)を計画に盛り込む

少し脱線してしまいましたが、純粋に資産運用を目的としたお金と事業シナジーを目的としたお金は、投資判断において、見ている点が異なります。ですので、前者の場合は、Exitまでのプラン(特に日本では、M&AよりIPOが多く、マザーズというスタートアップ向けの市場がありますので)をプレゼンすること、後者の場合は、事業提携でどのような可能性があるかを提案することで、資金調達をうまく進めていくことができるのではないでしょうか。

しかしながら、スタートアップからすると、特定の企業の資金を受け入れ、「色がつく」ことを避けたいという場合もあると思いますし、事業会社もステルスで気付かれないようにVCを通してスタートアップに投資する場合もありますので、VCから資金調達する場合が多いかもしれません。ですので、(結局同じ結論にはなってしまうのですが)どちらにしても投資するお金を増やす資産運用の側面があることを頭の片隅に入れておくと、資金調達の話をするときにお互いの話がかみあわないことを防ぐことができると思います。

これに関連して、今度どこかで投資元のファンド期限やCVCへのアプローチについて書ければと思います。

S. Nishimura

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