地理空間の基礎知識
経度と緯度
経度
北極と南極を結んで赤道に直角で交差する線を子午線と呼びます。イギリスのグリニッジ天文台を通る子午線を経度0度として、東西を180度ずつに分け、東回りを東経、西回りを西経として数えます。たとえば東経137度0分、138度0分の子午線、などと呼びます。経度のはじまりである0度の子午線を、特に「本初子午線」と呼びます。24時間かけて地球は一回り360度を自転しますので、1時間あたり15度自転します。
緯度
緯度のはじまりは赤道を緯度0度として、南北を90度ずつに分け、北を北緯、南を南緯として数えます。たとえば北緯35度53分、北緯36度8分、などと呼びます。
準拠楕円体
基準となる(準拠する)地球楕円体(Earth ellipsoid)を準拠楕円体と呼びます。地球の中心から、ある地上の一点を示すために、方位角(経度)と仰俯角(緯度)と標高で表現するために基準となるものです。これまで世界各国でおのおの別な楕円体を採用していましたが、科学技術の発達とともに統一される傾向にあります。
平成14年(2002年)3月末まで
日本では「ベッセル地球楕円体」を準拠楕円体として採用していました。
平成14年(2002年)4月1日から
改制された法律が施行され、日本では「GRS80楕円体」へ変更されました。
測地基準系
球面座標系を成立させるための、楕円体、座標軸、ジオイドの定義がセットになったもの(?)。
平成14年(2002年)3月末まで…Tokyo Datum
日本では「日本測地系」を測地基準系として採用していました。
平成14年(2002年)4月1日から…JGD2000
改制された法律が施行され、日本では「日本測地系2000」もしくは「世界測地系」(JGD2000)へ変更されました。
平成23年(2011年)10月から…JGD2011
測量法施行令改正が施行され、「日本測地系2011」(JGD2011)に移行しました。2011年の東日本大震災による大規模な地殻変動の影響を反映させたものです。JGD2011では、大震災からの影響の有無により、測量成果が更新されているエリアとそうでないエリアがあり(JGD2011の中で、JGD2000の定義がそのまま変更なしに利用されている)、エリアによってフレームが異なります。
http://www.gsi.go.jp/LAW/G2000-g2000.htm
GPSや海域…WGS84
WGS84は米軍が策定した測地系で、GPSはWGS84を採用しているほか、海域でもWGS84が標準的に採用されています。
空間参照系(Spatial Reference System)とは
地球上にある点や線や面を座標値として扱うための規格の集合を指します。空間参照をするために必要な規格は測地基準系、座標系、座標のオフセット、測定単位(メートルかフィートなど)など、たくさん存在するため、これらをセットにしたものにID(事実上の標準はEPSGと呼ばれるIDです)を振ることで効率良く管理できるようになります。なかでも優先的にみるべきは測地基準系と座標系です。さらに座標系には「地理座標系」と「投影座標系」の二つに大別できます。
CRS(Coordinate Reference System)とは
QGISというオープンソースのアプリケーションでは、座標系として、CRSという呼称を採用しています。
地理座標系
測地系に基づいて緯度・経度で表す座標系です。
投影座標系
立体物である地球(楕円体)を平面に投影し、その平面上で対象物の位置を表す座標系です。
よく利用される測地基準系と座標系からEPSGを調べるための表
投影座標系
UTM投影座標系
横メルカトル図法(Universal Transverse Mercator)を用いている座標系。日本はUTM第51〜56帯で示すことができる。国土地理院が発行する1万分の1から20万分の1までの地図がこの座標系が用いられている。
平面直角座標系
日本では1万分の1より大きい地図で用いられます。日本の公共測量で用いられる座標系です。日本全体を19の地域に分割して管理します。19の地域それぞれでEPSGが異なりますので、一つの座標系に複数の異なる地域の平面直角座標系を共存させることは不可能ですが、そのくらいの縮尺率であれば、平面直角座標系を用いる詳細さは有効ではありません。
複数のデータの組み合わせで主題地図を作る際の、どう変換するかの考え方
- そのファイルがどの測地基準系かを知る
- 利用目的に沿った座標系を決める
- 利用目的にあった形で、EPSGを求める
- 実際にファイルのEPSGを変換する
参考文献
日本測地系2011(JGD2011)とは? — 空間情報クラブ
空間参照系の概要 — Qiita(クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際 ライセンス)