子どもはおとな扱いされてはじめて、おとなになる。たとえニートでも、引きこもりでも。

こんにちは。
障害や精神科の病気がある人向けの人生相談所で働いてて、だいじなことを記録してます。

相談所にいると、「子どもが働かない」「家から外に出ない」という話が親から寄せられる。その多くは、20さいを超えたおとなの引きこもり。
役所とか精神科の病院とか、いろんなところに相談してもなかなか状況が変わらなくて、引きこもったまま何年、何十年と過ぎてしまうことも。

ぼくは、引きこもること自体はそんなに悪いもんじゃないと思ってる。
だって、許されるなら誰だって働きたくないでしょ?
引きこもりのバッシングは「オレはいやいや働いてるのにあいつらだけずるい」って感情が多いんだと思う。
生活保護とかもそう。

でも、これまで会った引きこもりは、全員苦しんでた。例外なく。
本人自身いろいろ試行錯誤してきたのにうまくいかない。過去のつらかったできごとをずっと恨み続けている。病気がしんどい。苦しみはさまざまだけど、お気楽に暮らしてる人はだれひとりいなかった。

親も思いつく限りのことを試みて、それでもずっと変わらずにきてる。
ぼくらがすぐにどうにかできることじゃないけど、せめて親が孤立しないように一緒に考えていってる。

そんな親の話を聞いていて、一つ思ったことがある。
それは、親が成人した子どものために一生懸命手を尽くすことが、本当にいいことなのかってこと。

成人した子どもがいる、ある親から聞いた話。

子どものために自分を犠牲にしてきたのに、子どもから「親は自分を支配してる」と言われた。
親も辛い思いをして子どもをと向き合ってきたのに、どうしてこんなことを言われなきゃいけないんだ。

子どもが言いたかったことは、たぶんこうだ。
親がが子どもの苦労を先回りして解決するのは、親が子どもを支配してるのと同じ。
逆に、子どもの浪費や暴力を甘んじて受け入れるのは、このまま社会的な責任を取らなくていいと言ってるのと同じ。

親が子どものためと思って手をつくすことが、逆に子どもをより苦しめることになってる。

でもこんなことは、多くの親はわかってるんだ。
こういうときは、わかっていてもやめられない事情があると考えたほうがいい。

引きこもりの子どもがいる親は、親だけではどうにもできなくていろんなところに相談に行く。役所とか、病院とか。
でも、多くの窓口では「本人をつれてきてください」と言われる。それができないから相談にきてるのに。
家から連れ出すことを相談したいのに、家から出られるようになってから来てくださいと言われる。

この瞬間、家から出すのは親の役目になる。

ほかにもある。
子どもが事件を起こしたら、たとえ成人してても警察は親に引き取りを求める。
子どもが精神疾患になって入院が必要になったら、病院は親に同意を求める。

社会全体が、子どもの尻ぬぐいを親に求めるしくみになってる。
「問題を起こす子どもは親が支配してほしい」と、社会の側が求めてるんだ。

だれかが本人の責任を代わりにとって支配するのをやめて、おとな扱いして責任をとってもらえるようになること。
親が子どもを支配しないですむよう、世の中がSOSを受け止められるようになること。

自分が働く人生相談所が、そんなところになればいいと思いました。