Blockchainに人生を賭ける理由。

Blockchainの先に見るもの。

Sota Watanabe
Jan 19, 2018 · 10 min read

2016年にブロックチェーンを勉強し始めてから約1年半が経ちました。やっとスタートラインに立ったにすぎませんが、世界最先端の街であるサンフランシスコで世界のブロックチェーン有望スタートアップ50社にも選出されたChronicledで働く機会も得ました。1つの節目として僕がBlockchainに賭ける理由と目指す社会について書きたいと思います。


“You never change things by fighting the existing reality.
To change something, build a new model that makes the existing model obsolete.” -Buckminster Fuller-

既存の現実と闘うことでは、あなたは決して物事を変えることはできない。何かを変える為には既存のモデルを時代遅れにする新しいモデルを打ち立てよ。 バックミンスター・フラー

※ バックミンスター・フラーは「地球舟宇宙号」の概念を創り上げた。

Blockchainは来る。僕の頭の中では。

ブロックチェーンが来ると考えている理由は色々とあるのですが、長くなるので、今回はマクロ的な話しを2つ書きたいと思います。

俗に言うAI(ここでは機械学習、深層学習、強化学習済みのマシンを指します。)が1番得意なのは、インプットデータの量と質にアウトプットの精度が左右されますが、インプットされたデータの最適化だと思っています。そして、今、世界中のデータ量は毎年1.4倍ずつ増加しています。これは、データ量が2年で約2倍になっているということです。センサーの技術が発展し、IoT化が進むともしかすると1.4倍/年のスピードを越えてくる可能性も大いに考えられると思います。というか、越えてくるでしょう。

そのような状況の中で、「もし、社会に十分なデータ量があったら?」
質問を変えると、「AIによって最適化された社会とはなんだろう?」ということを考えました。僕は、この答えが「自律的かつ分散化された社会システム」だと考えています。なぜなら、人間が関わらなくてもよい創造的でない作業は機械同士が相互に作用し(Machine to Machine)、人間はもっと創造的なことに時間を使うのがベターであろうし、歴史を振り返れば、権力が一部に集中した時に悲惨な出来事が起こってきたのがわかります。また、機械がノードとして参加する世界では権力の機械(AI)への一部集中は危険です。データは分散化された状態で保存され、改ざん耐性と透明性が担保された状態であることは必要条件だと思います。これはまさにブロックチェーンが1番得意とする所です。(ビザンチン将軍問題が解決されているか?エクリプス攻撃耐性はあるか?などは別の話にしておきます。)

1部の既得権益(人間かもしれないし、機械かもしれない)が社会をコントロールするのではなく、分散化された社会で名も無きノードが本当の意味で社会を動かしていく。エッジが力をもつ社会。ブロックチェーンで実現できるかもしれない社会は僕が追い求めている社会と非常に近いものを感じます。

Chronicledの最終面接でプレゼンした際の資料の一部。ちなみにS字のカーブはロジティクス曲線

歴史上のGPT (General Purpose Technology:汎用目的技術)は
「蒸気エンジン」→「内燃エンジン」→「インターネット」と進んで来ました。次は「AI」だと思います。その次が「ブロックチェーン」だと上記の理由で考えています。AIの権威であるレイ・カーツワイルの提唱する収穫加速の法則を借りれば、歴史上、1つの重要な技術革新とその次の技術革新の期間は短縮されてきていることが分かるので「AI」→「ブロックチェーン」の移行もさして時間はかからないと思います。「内燃エンジン」と「インターネット」にはさして相互作用がありませんが、「AI」と「ブロックチェーン」は相互に作用を及ぼし合うものだと思うからです。

ここ数年で色々なモノが可視化されていると思います。Twitterのフォロワー数は人の関心を、Facebookは本人認証に使われることでオンライン上で本人であることを可視化するツールになっています。AirbnbやUberではホストやドライバーのレビューや星の数を見ることで信頼を可視化することができています。

日本にいるとなかなか気づきませんが、特に注目するべきはお金の電子化です。これには計り知れないポテンシャルがあります。お金が電子化されれば、決済の履歴を追うことができるようになります。決済の履歴が可視化されることで、履歴に基づく信頼を可視化することができると思います。「あなたは借りたものを返しているのが履歴を見ると分かるからサービスしますね!」「あなたは借りたものを返していないからサービスしません!」と言った社会が来ると思います。(実際に中国では始まっているみたいです。)これは既存の貨幣経済が衰退し、信頼を基にする新しい経済の形が生まれる可能性があるということです。

履歴の補完先としてもブロックチェーンは最適です。分散的に管理され、ステークホルダーがアクセス可能であり改ざんすることが実質不可能だからです。

取引を成立させる媒体がお金ではなく可視化された信頼になる。僕はこちらの社会の方が好きです。なぜなら、生まれたときから親や生まれた国の関係で金銭的な格差は大いにありますが、生まれたときから個人における信頼・信用の格差はないからです。

Bitcoinを開発したSatoshi Nakamotoの論文を自然言語処理したもの。論文中の用語の出現回数をPythonを用い計算した。Transactionという用語と信頼にまつわる用語が多いのが分かる。

※参考:https://www.slideshare.net/SotaWatanabe

サトシ・ナカモトの論文(2008)をPythonを用いて出現回数の調査を行ったのが上記の図です。「取引」という言葉と「正直」「信頼」といった言葉が多く出現しているのがわかります。ブロックチェーンは元々、ビットコインを支えるために作られた技術ですが、僕は、お金の在り方を変え、しいては取引と信頼の在り方を変えるテクノロジーだと考えています。

既存のシステムを越えて。

大学に入学し、この2年9カ月で10カ国渡航しました。その内、海外滞在時間は1年と2カ月になります。色々なものを見ました。インドでは貧困。中国では環境問題。アメリカでは人種差別や格差。とりわけ始めて1人で1カ月半生活したインドは強烈でした。車を止めれば道路の真ん中にもかかわらず物乞いが声をかけてくる。道を歩いていれば、擦り切れた服を着ている子どもがお金をねだってくる。道の至る所にホームレスがいる。そんな環境で生活をしてみて感じたのは自分の非力さと社会システムへの怒りに近い違和感でした。

資本主義のシステムを文献をあたり調べました。 例えばトマ・ピケティーが提唱している、r > gという定式。お金がお金を生むスピード(r : 資本収益率)の方が、労働者が労働によって得ることのできるお金のスピード(g :経済成長率)よりも早い。なので富を持つ者と持たない者の格差は広がり縮まらない。シルビオ・ゲゼルが、自然のあらゆるものの価値は時間とともに減少していくのに対し、お金の価値は金利によって増えていくのは問題であるとの提起をしたことや、ダグラス・ノースの所有権に関する考察からは考えることが大いにありました。(ChronicledのCEOはスタンフォードの学生時代にダグラス・ノースから教えを受けており、以前「ブロックチェーンでどんな社会を実現したいの?」という問に30分くらい所有権の話やダグラス・ノースの話をしてくれました。)

色々なところに行き、色々な人と会い、机上の勉強や実際に世界を見る中で、肌の色、人種、生まれた場所、性別、親の年収などにかかわらず誰もが自分の可能性を追求できる社会を創りたい。その為には末端の人々が力を持つ社会でなければならない。中央既得権益をDecentralizeする必要があると思うようになりました。

そんな社会の1例となるかもしれないのが以下の写真です。

ネパール地震の時の1枚の写真。QRコードはbitcoinの公開アドレスであり、bitcoinのウォレットを持っていればQRコードをスキャンして誰でも銀行や政府を通さずにこの人にbitcoinを送金できる

2015年ネパール地震の時の写真です。写真のQRコードをスキャンして自分のデジタル通貨ウォレットからbitcoinをこの人にダイレクト(P2P)で送金することができます。銀行も政府も通す必要はありません。今まで送金は銀行や政府などの中央機関を頼り、中間手数料を持って行かれ(ある意味搾取)それでもアフリカなどでは特に実際に末端の人々に届いているかわからないという状況でした。それがブロックチェーンを基盤とするテクノロジーによって変わりつつあります。人と人が中央機関を介さずに繋がりそれでいて第三者間に信頼が成り立つ。その延長線上にエッジが力を持つ社会がある気がしますし、それこそが僕の目指したい社会です。

こんな楽しい時代はない。

サンフランシスコに来てから一層人生にワクワクしています。今僕は20代前半ですが、大げさに言えば(日本人の)この世代は今までの人類史上1番恵まれている世代だと思います。今までの歴史の中で、インターネット、AI、ブロックチェーンなどの、3つもの汎用目的技術を1世代で体験する世代はかつてありませんでした。1995年、インターネットが社会に浸透すると同時に生まれ、インターネットによって様々な情報に簡単にアクセスすることができるようになり、今は武器を求め努力すれば誰でも手に入れることができる時代です。そしてこれから死ぬまでの約80年で来るシンギュラリティーや分散化社会はきっと人類にとって非常に重要な一場面となり、2045年に50歳を迎える僕らの世代は、まさにその時、社会の中核を担います。

科学やテクノロジーをテコにして、世界に非常に大きなインパクトを与えられる機会がそこらじゅうにころがっている。君たち一人ひとりが個性に応じたそれぞれの機会を追求できる。君たちみんなが、そのことに興奮すべきだ。

Google創設者ラリー・ページの言葉です。人生に常に興奮していたいと思いますし、同じような志をもった人達ともっと出会いたいです。よかったらtwitter(@souta_ _watanabe)とかで連絡くれると嬉しいです。

最後に題名と完全に矛盾しますが、ブロックチェーンに人生を賭けるというのは正確に言えば間違いです。ブロックチェーンはあくまで社会を規定する1つの道具にすぎません。僕が目指したいのは実現したい社会であってブロックチェーンを使うことでも、ブロックチェーンで一旗上げることでもありません。自分の実現したい社会に向けて日々成長していきたいと思います。

Sota Watanabe

Written by

CEO of Stake Technologies // Twitter @WatanabeSota

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