Windows MR for SteamVRがHapticsをサポート（Preview）
Windows MR for SteamVRとは
2017年10月に発売されたMicrosoft社のVRプラットフォーム、Windows Mixed Reality（WinMR）はHoloLensとは違い光学シースルーどころかビデオシースルーも無い完全なVRヘッドマウントディスプレイです。WinMRの動作プラットフォームはUniverssal Windows Platform（UWP）のみですが、Microsoft社が直々に開発しSteamにリリースしている「Windows Mixed Reality for SteamVR」を使った場合のみ、Win32/Win64でビルドされたOpenVR SDK製のアプリケーションをWinMRヘッドセットで実行することができます。現在はまだβ版扱いで、フル機能の正式版ではありません。
Windows Mixed Reality for SteamVRのこれまでの制約
WinMR for SteamVRはSteamVR向けに作られたソフト（例:The Lab、Fallout 4 VR、Tilt Brush、Virtual Desktop、VRChat等）をそのまま実行する事が可能となっていて、買ったその日から非常に多くのソフトを実行する事ができます。SteamVRでOculus SDKをエミュレートするReViveも動作するため、Oculus StoreにあるソフトもReViveが対応している範囲なら実行できます。
しかし、WinMRのコントローラは、HTC Vive／Oculus Touchが採用しているアルプス電気製のフォースフィードバック技術とは異なる製品を採用しており、そのままではOpenVR SDKで作られたフォースフィードバックと異なる振動が出力されてしまうため、リリース時のβ版ではSteamVRのHaptics関連が無効化されてしまっています。（UWPでWinMRのHaptics APIを呼び出す場合は正常に動作）
Windows 10次期バージョンでHapticsに対応。Insider Previewで試用も可能
この制約に対して、Steam上のディスカッションフォーラムでは対応の要望が多く届き、Microsoft社内でもHaptics対応の優先度を上げる事が決定しました。搭載製品が異なるため、Haptics対応は試行錯誤、ファームウェアの書き換えなど多くの作業を費やすことが必要になる旨が1月20日にSteamディスカッションフォーラムで発表され、先週16日にHaptics対応のInsider Preview最新ビルドとWindows Mixed Reality for SteamVRがリリースされました。
実際に試用
Windows Insider PreviewはMicrosoftアカウントを持っている人ならば誰でも試用する事が出来ます。テスト用バージョンで対応ドライバもリリースされていない物がほとんどなので正式版よりも遥かに安定性が劣る事に注意してください（この記事を書くまでに10回以上グリーンスクリーンになりました）。
※追記：Hapticsが実装されたWindows 10 Build 17101ではWindows MR着用中にマウスを動かすとグリーンスクリーンになるという不具合がありました。2月23日にリリースされたBuild 17107では修正され、安定してHapticsを体験できるようになっています。
この更新を搭載したWindows 10 Updateの正式リリースは春予定
Windows 10はおよそ半年に1度、年2回大型アップデート（旧Windowsで言うService Pack相当＋機能追加）が予定されており、前回のFall Creators Update（10月）から半年となる4月頃にこの更新を含んだUpdateの正式版がリリースされる予定となっています。Windows Mixed Realityはセールによって北米では200ドル台で買えてしまうなど、安価に高解像度でハイエンドVR作品を楽しめるHMDとして今後益々存在感が高まっていきます。
今回のHaptics対応により、フロントカメラスルーや軽微な不具合を除いてWinMRヘッドセットでSteamVR上のソフトがHTC ViveやOculus Rift以外でも楽しむことができるようになりました。外部センサーが不要なWinMRは取り回しも非常に楽なため、外部展示をする機会が多い方はIPD調節とヘッドホン・マイクが内蔵されているSamsung Odysseyが国内発売されたらVive・Riftからの切り替えを検討してみても良いかも知れません。
