Yasumasa Manabe“いずれにしましても、冒頭のいくつかのショットがほとんどそのままのかたちで、しかしいかにも不在そのものを強調するかたちで――たとえば冒頭で子供が道を歩いていく場面がありますけれども、その場面は手前に瓶…Jun 21, 2020Jun 21, 2020
Yasumasa Manabe“…アメリカのメディアは「アポカリプス」という用語を繰り返し用い、宗教への欲望が、我々の時代の宗教となった科学に居場所を見つけようとしている、とジョルジョ・アガンベンは指摘する(Quodlibetウェブサイト、2020年3月27日付)。また、欧米諸国は「コロナの時代」という表現を早く…Jun 7, 2020Jun 7, 2020
Yasumasa Manabeわたしは最晩年の種村季弘が、真鶴に本宅があるにもかかわらず、西仲商店街の古色蒼然たる交番のわきのアパートに小さな隠れ家をもっていたことを思い出した。池袋の二業地に生を享けたこの文学者は、やはりどこかで…『月島物語ふたたび』四方田犬彦Jun 7, 2020Jun 7, 2020
Yasumasa Manabe『急に具合が悪くなる』宮野真生子、磯野真穂“この和辻の日常と信頼、そして約束をめぐる分析はいつ見ても見事だなあと思う一方で、いったいどんな人なら「約束する能力」をもっていると言えるのだろうと疑問に思います。いつか必ず死が訪れ、未完結に終わる人間が未来に対しあらかじめ決定的な態度をとるなんてことはできないんじゃないかと。そ…May 10, 2020May 10, 2020
Yasumasa Manabe「不死の人」ボルヘス“終焉が近づくとき、もはや追憶のイマージュはのこらない。のこるものは、言葉だけである。時間というものが、かつてわたしの存在を明示していたものと、幾世紀ものあいだわたしにつきまとってきたものの運命をあらわしたさまざまな象とを混同したが、それは不思議なことではない。わたしはホメロスで…May 3, 2020May 3, 2020
Yasumasa Manabe『ガセネタの荒野』大里俊晴“僕らの演奏にはエンディングしかなかった。エンディング。奇妙な言葉だ。じっと頭の中で反芻していると、それは名詞ではなく進行形に思えてくる。終わり続けること。だが、終わり続けるとはどういうことなのだ? 終わりが続いていくとは?…May 3, 2020May 3, 2020
Yasumasa Manabe『読書のデモクラシー』長田弘“大岡昇平の指摘によれば、「発想」という言葉がつくられたのは、岩野泡鳴がアーサー・シモンズの反訳において、英語のexpressionにあてた訳語によってだったらしい。すなわち、泡鳴のつくった「発想」という言いまわしはそもそも「表現」の異語であり、それはその反訳で泡鳴のこしらえたた…May 2, 2020May 2, 2020
Yasumasa Manabe『熟成する物語たち』鴻巣友季子“多和田葉子は「赤ん坊の時に初めて聞いた言語と結ぶ関係は、後に学習する外国語との関係とは比べものにならないくらい深いと言う人がいる。しかし、文学はその種の深さから自動的に生まれるものではない。一生日本語しか知らない作家でさえ、その日本語を何らかの意味で第二言語として発見しなければ…May 2, 2020May 2, 2020