19話で特に分かる矢野さんの凄さ

y.imajo
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Dec 13, 2019 · 6 min read

この記事は SHIROBAKO Advent Calendar 2019 の14日の記事です。

来年2月29日は劇場版SHIROBAKO公開、そして今年は地上波でのTVアニメSHIROBAKO再放送ということでとても盛り上がってますね。私としても、仕事のなかで「この展開、SHIROBAKOの4,5,6話とおんなじパターンですよ。おちつきましょう」ということを言ったりしました。現在の状況を具体的な例として説明できるSHIROBAKOはありがたいです。

(4, 5, 6話は太郎のせいで3D VS 2D作画みたいな展開になってしまう話なんですが、これ実際の仕事でも2つの専門職を仲介する人の能力によって起こり得るんですよね変な話。SHIROBAKOを見てるか見てないかで、そういうことに振り回されずに済むわけです)

今回は19話について話したいと思ってます。4,5,6話もすばらしいとは思うんですが19話もとんでもなく良いです。19話もなかなかあれだねーって感じです。

私が5話のヘルプでタイタニックに入りましょうか?

というわけで19話を語る上でまず話したいのはアイアン矢野さんですよね。

© SHIROBAKO」製作委員会

この矢野さん、お父さんの体調の都合で一時的に実家の宇都宮に帰ってしまって、19話「釣れますか?」で正式にムサニに帰ってくるんですが、すぐに他の制作会社のタイタニックに仕事を仕切りに行くんですね。いわゆる常駐しに行くわけです。これがとてもさりげない。自分たちの仕事を他社に発注してそれがうまくいってないという状況で、「私が5話のヘルプでタイタニックに入りましょうか?」みたいに提案できる。「みゃーもり、こう言う仕事のやり方もあるんだよ?知らんかったやろ。ドヤあ」みたいに恩着せがましくないわけです。

俺から、タイタニックの社長に連絡しとくよ

もうね、観てるこちらとしても他社に常駐しにいくっていいの?そんなことしてありなん?とかおもうわけですが、ナベPは「俺から、タイタニックの社長に連絡しとくよ」と返すわけです。

© SHIROBAKO」製作委員会

このやりとりで、この人たちの見えていなかった過去の仕事の経験が分かるんですよね。プロデューサーであるナベPも自分の役割を咄嗟に気付いてそれをやってくれるというわけです。

ちなみに再放送を見直して気付いたんですが、「俺から、タイタニックの社長に話を通しておくよ」とか結構セリフが自分の能力を誇示しているようにも思えるんですよねナベP。「俺」「タイタニックの社長知り合い」「頼めばOKされる、絶対」ってなわけです。

話を戻します。

タイタニックなんか紹介して、ひどいことになると思わなかったの?

ちょっと後でわかることですが、矢野さんはタイタニックが良くない評判あると知ってるわけで、そこにあえて自分の身を置くという状況でもあったわけです。それなのに(だからこそ)矢野さんはこれが自分の役割だということを理解し、宮森にムサニを任せて行きます。久しぶりに会社に出社したんだから少しはゆったり落ち着いて宮森のバックアップしてくれるだけでみんなが助かるわけです。もう席に座ってくれてるだけでも安心するぐらいなのに、自分から火中の栗を拾いにいくようなことをする。すげーよ矢野さん。

我々も仕事をしていて、他社に常駐しなきゃいけないのは本当にめんどい。なぜかというと相手の会社の上下関係やルールに巻き込まれる時がある。そのほか具体的には常駐先の人事やら総務系?のみなさんはこちらに適用されないルールがあるにも関わらずそのローカルルールを当然のように振りかざしてくるなんて不条理もあるわけです。それでも物理的に対話しないと分からないこともあるし、効率良くプロジェクトを進めるために自分はクライアントの会社に行って打ち合わせしてということを選んだりもします。そういうときに気分は矢野さんになったつもりってな具合ですよ…。

再び話を戻します

ちょっと一緒に行ってほしいところがあるんだけど

19話がさらに素晴らしいのは、主人公の宮森はムサニの丸山社長の雑用にお供して武蔵野動画というこれまた別の制作会社にいくことになります。

この19話の中で、ムサニではない2つのアニメ制作会社が出てくることになるわけですな。そこでは、回想として過去の丸山社長が制作として現在とは違う熱血系の仕事っぷりで登場します。そして昔の丸山青年はなんと背景の美術ボードを自分で描いたという展開があるわけです。まあその嘘も理由があってのことなんですが、ここでは丸山青年は自分の求められている役割を越えてしまっている。美術監督の統一感を砕くようなやり方までしている。しかしその行動が周りの人の現在に繋がっているというのも面白いところです。

© SHIROBAKO」製作委員会

19話になるまで丸山社長は事務方の人なんだろうなという認識もあり、そういうのをひっくり返すエピソードですよね。

というかデスクになった宮森をそのタイミングであえて武蔵野動画に連れて行く丸山社長。これって儀式なん?デスクになった社員に自分の若い頃を見せるための儀式なんです?

ここら辺でまとめます

矢野さんはただ復帰してくれるだけで頼りがいがあるのに、自分から他社にヘルプに行って仕切りにいくという役割を担います(みなさんも他社に行くときは矢野さんになった気分でどうぞ)。

丸山青年は制作という進行管理の立場でありながら、作品の背景を変更してしまいます。

この19話では、彼らに与えられた役割、期待値を越えて自分のできることを増やしてく話とも捉えられます。我々も仕事をしてると見えない役割の隙間のようなものが空いていたり、その見えない役割の他人がひいた境界線みたいなことに不満に思ってしまいますが、そういうことを思いながら見るとグッとくるものがあります。

ついでにこの19話の武蔵野動画の回想で興味深いのは、丸山青年が「俺は武蔵野動画がなくなっても、このメンバーでアニメを作りたいです。そして絶対に今作ってるのを越えるアニメを作ってみせます!」みたいなことを言った流れで、チャッキーの監督だった森宮さんは「面白そうだな、いつか呼んでくれ、劇場アニメでも作ろうぜ」って言うところです。来年のSHIROBAKO劇場版では森宮監督が出てくるといいですね。楽しみです。

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iOSアプリを作って仕事をしています

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