スタートアップのGrowthに大事な4つのこと

Yoko Gibo
Yoko Gibo
Mar 29, 2017 · 6 min read

私は新卒で楽天で働き始めてからこれまで、セールス、マーケティング、事業開発畑でキャリアを積んできましたが、2016年からNoomというNYにあるスタートアップで Growth の仕事をしています。Growth とは、USのスタートアップにはよく見られる(というか必ず存在する)チームで、事業の成長を加速させるための仮説検証を早いスピードで行なってサービスを改善していくことが仕事です。Growthhack はもともとウェブやアプリサービスの開発・改善に用いられる手法なので、ビジネスサイド出身の私としてはとてもためになる学びが多くあります。その中でも最も重要だと思った4つについて触れたいと思います。

1) Prioritize and Focus — 優先順位の決め方

サービスの成長に導く方法は何なのか、アイディアはたくさんあってもどれから手をつけるべきなのか。私も会社の受信ボッックスには毎日のようにマーケティングツール開発会社や代理店、様々な企業から営業メールが届き、どの手法にも手を出したくなってしまいます。そんな中、USの多くのスタートアップの Growth チームで用いられるのが、Growthhackers.com(グロースハックにまつわる掲示板)で知られるSean Ellis が提唱している ICE というフレームワーク。

目標、具体的な指標(獲得単価X%改善、コンバージョンX%改善、ライフタイムバリュー改善など…)に対しそれを達成するためのアイディアや実験の優先順位を決めます。ICEはそれぞれ、

I: Impact (プロジェクトの成功インパクト)

C: Confidence(成功する自信度合い)

E: Ease(実装の容易さ)例:実装準備にかかる日数など

という意味で、これら3つのポイントからスコアづけをします。とにかくクレイジーなアイディアも含めて皆でアイディアを出し合い、合計スコアの高いものから優先してテストしていくという手法です。私のこれまでの経験上、大抵トップにランクするアイディアはチーム内同じようなものになることが多かったです。おそらく、しばらくチームで一緒にテストを回していくと winning framework のようなものが確立され「何にをすれば一番効果的か」、に対しての理解が一致してくるからだと思います。

ICE を用いることによる利点は、スコアリングをすることで本当に重要で(事業の成長にとって)意味のあるタスクだけにフォーカスすることができる点です。例えばパートナーシップなどスタートアップなら食いつきたいイイ話も、実装にかかる人的・開発リソースや 事業へのインパクトといった観点から判断ができ、Yes/No の判断が容易になります。

2) Run experiments every week even small — どんなに小さくてもテストし続ける

“If you’re not running experiments you’re probably not growing.” — Sean Ellis

「テストをしてないということは、おそらく成長もしていない。」

Sean Ellis も言うように、常にテストを走らせ続け新しい学びを得ることが重要で、テストの規模は大小関わらず毎週新しいテストをローンチします。そうすることで新たな学びを元にクリエイティブな仮説が生まれてきたりします。実際、Noomでも毎週いくつものテストをローンチしては結果をチームでレビュー・フィードバックを出し合い>それを元に新たな課題が見え>そこから立てた仮説を ICE でスコアリングして>新たな検証のテストローンチ、というサイクルを走らせています。

3) Statistical Significance — 統計的有意性

Growth においては統計的有意性を最重要視します。サンプルサイズが小さいうちは、A/BテストをしてたとえAが数値的には優位だったとしても実際にそれが統計的に意味のあるものなのか、すなわち decision-making に有益な結果なのかとは判断ができずとても苦労すると思います(新しいサービスの場合尚更)。もちろんA/Bテストをすれば必ず勝者と敗者があり、それによる学びはあるのですが、回を重ねた末結果が真逆にひっくり返ることも多々あります。

Noomでは、統計有意性において、confidence(確信性)が90–95%程度ない場合には、テスト結果は”inconclusive(確定的ではない。結論を出せない)”とし、もう一度テストのセットアップに問題がないか等確認するなどしています。※ただし、統計優位性を判断するConfidenceの基準は企業によって異なる

ちなみに、統計学的有意性を判断するためにA/B Statistical Significance のツール はブックマークして本当にお世話になっています…

4) Welcome crazy ideas — クレイジーなアイディアも歓迎する

事業の Growthに導くなら、クレイジーでぶっ飛んだアイディアもとにかくリストに追加すること。そして ICE でスコアリングしランキング化する。例えば、コンバージョンを上げるテストに赤字覚悟の giveaway をしてみたり(実際、Noomはオンラインサービスにも関わらず、サービスと同程度の価格で売られている高級体重計プレゼントしてコンバージョンがどれくらい上がるか、などテストしたことがあります)、広告クリエイティブに全然イケてない「エッ?なにそれ苦笑」というようなイメージを使ってみたり。全てはテストをしてみないとわからないので、とにかくキャップをはめずにアイディアを歓迎すること。それが短期間でX倍の成長を実現させるために重要なマインドセットなのだと思います。

おわりに

つい先日上場した Snap Inc のGrowthの秘訣は、超秘密主義な企業カルチャーだと言われています。Snap のCEO Evan Spiegelも、”Keeping secrets gives you space to change your mind, until you’re really sure that you’re right” — 秘密主義にしておくことで、本当に正しいと確信を持てるまで、「途中で気を変えても良いという心の余裕ができる — と言っています(参考記事:Can Snapchat’s Culture of Secrecy Survive an IPO?)。

Growth のストーリーは企業によって様々だと思いますが、私の経験も含めUSのスタートアップが用いている Growth のフレームワークやツールなどについて、これから不定期に紹介していければと思っています。他にもUSの Startup 界隈にいる人間として、面白いトレンドについても書いていきます。

Yoko Gibo

Written by

Yoko Gibo

Working on lifelong homework to make simplified lives for women. Currently VP growth at @letswillo. Formerly @google, @noom. I write in 日本語, English

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