Zenlink DEXの機能とユースケース

yoshida2
9 min readAug 26, 2022

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Zenlinkが提供するZenlink DEX(クロスチェーンDEX)はPolkadotエコシステムにどのような機能やユースケースをもたらすのでしょうか?

今回は基本機能の説明や、想定されるユースケースを交えて紹介していきたいと思います。
※クロスチェーンでのユースケースについては個人的に実現可能だと考えているもので、実装を保証するものではありません。クロスチェーンスワップ自体は明言されていますが、どのような形で実装されるかは現時点で明言されておりません。私自身も楽しみです。

執筆者:yoshida2 (Zenlink アンバサダー)
Twitter : https://twitter.com/btc_rocketman

Zenlink DEXの機能

Zenlink DEXが提供する基本的な機能を以下に列挙します。

  • シングルチェーンDEXの基本機能
    ・流動性提供
    ・スワップ
  • クロスチェーンDEXの基本機能
    ・流動性提供
    ・スワップ
  • クロスチェーン転送
  • シングルチェーン/クロスチェーンDEXアグリゲーター

シングルチェーンDEXの基本機能

概要

多くの人が1度は使ったことがあるであろう従来のDEX機能です。
DEXが展開されているチェーンに対して、流動性の提供や、同一チェーン内でトークンのスワップが可能です。

DEXの先駆けであるUniswapなどが該当し、基本的にはチェーン間でDEXプロトコルの相互運用性はありません。(Uniswap Ethereum版、Uniswap Polygon版など)

ZenlinkはEVM、WASM、Substrate版のZenlink DEXプロコトルを提供しています。Zenlink DEX Bifrost版(Substrate)、Zenlink DEX Moonbeam版(EVM)などが挙げられます。

できること、ユースケース

Zenlink DEXの場合

  • Zenlink DEX(Moonbeam版)でGLMR/aUSDペアの流動性を提供
  • Zenlink DEX(Moonbeam版)でGLMRをaUSDへスワップ

Uniswapの場合

  • Uniswap(Ethereum版)でETH/USDCペアの流動性を提供
  • Uniswap(Ethereum版)でETHをUSDCへスワップ

クロスチェーンDEXの基本機能

概要

上述のDEXプロトコルをクロスチェーンメッセージングやブリッジを統合することで、クロスチェーンに対応させたものが該当します。
ユーザーはDEX dAppのフロントエンドから簡単にクロスチェーンでのスワップを行うことができます。

Zenlinkは、Zenlink DEXプロコトル(EVM,WASM,Substrate)を各パラチェーンに展開し、Polkadotネイティブのクロスチェーンメッセージング(XCM)を活用することで各パラチェーンのZenlink DEXプロトコルを統合しクロスチェーンDEX実現します。XCMを使用しているため、クロスチェーンでのブリッジが不要です。加えて、XCMを使用することで柔軟な機能構築や拡張が可能です。

その他のDEXプロトコルでは、外部のブリッジプロトコルを統合することでクロスチェーンDEXを実現しています。
Stargateプロトコルを統合しているSushiXSwapはその内の1つです。

できること、ユースケース

Zenlink DEXの場合(未実装)

  • パラチェーンAのトークンXをパラチェーンBのトークンYにスワップ
    ⇨Bifrost側にあるBNCをMoonbeam側のGLMRにスワップ
  • パラチェーンAのトークンXをパラチェーンBで流動性提供
    ⇨Bifrost側にあるZLKをMoonbeam側で流動性を提供
  • パラチェーンAとパラチェーンBにあるトークンXをパラチェーンCのトークンYにスワップ
    ⇨Bifrost側とMoonbeam側にあるZLKをAstar側のaUSDにスワップ

SushiXSwapの場合(実装済)

  • チェーンAのトークンXをチェーンBのトークンYにスワップ
    ⇨Ethereum側にあるETHをPolygon側のMATICにスワップ

クロスチェーン転送

概要

XCMを使用してブリッジレスなトークン転送を行います。XCMによるトークン転送はバーン&ミント方式であるため、転送元のチェーン側で流出する可能性がありません。従来のブリッジプロトコルのようなロック&ミント方式の場合は、転送元でロックされている資産へのハッキングなどによって流出する事例が過去に発生しています。

Zenlink DEXでは「X-Transfer」という機能名で実装され、あるパラチェーンのトークンを任意のパラチェーンへとクロスチェーン転送可能です。

できること、ユースケース

  • パラチェーンAのトークンXをパラチェーンBに転送
    ⇨リレーチェーン(Polkadot)側のDOTをMoonbeamに転送

シングルチェーン/クロスチェーンDEXアグリゲーター

概要

パラチェーン内のDEXから最適な取引ルートを算出し、低スリッページの取引を実現します。
また、パラチェーン内だけでなくPolkadotエコシステム内での最適な取引ルートを算出し、低スリッページなクロスチェーンスワップも可能。(クロスチェーンは未実装)

Zenlinkでは「Zenlink Smart Order Routing」という機能名で実装されています。機能の仕組みついて、詳しくはこちらを参照してください。
https://zenlink-wiki-jp.gitbook.io/zenlink/zenlink-dex-dapp/aggregator

できること、ユースケース

  • パラチェーン内でのスワップ時
    ⇨Moonbeam上でZLKをGLMRへスワップ
  • クロスチェーンスワップ時
    ⇨Bifrost側にあるBNCをMoonbeam側のGLMRにスワップ

今後の展望

ここまでで一通りのZenlink DEXの機能を紹介しました。クロスチェーンでの機能展開が今後の必須要件になっていくことは、マルチチェーン化が進んでいる昨今の動向からも明らかであると考えます。
ユーザーの皆さんがフロントエンドを介して簡単にクロスチェーンでのDeFi活動に参加することできるようになっていきます。

その中でZenlink DEXが目指すもの

究極的にはあらゆる場面でユーザーがZenlink DEXの簡単で、低スリッページで、かつスムーズな取引体験を提供することです。

その実現にはフロントエンド以外からもZenlink DEXを使用できる環境構築が必要不可欠です。言い換えてみれば、Dotsamaエコシステム内外にDEXインフラ基盤を構築し、Zenlink DEXの機能を提供していかなければなりません。そこで、Zenlinkは開発者ツールのZenlink SDKの提供にも取り組んでいます。Zenlink SDKを使用することでdApp層の開発者は、0からDEXプロコトルを立ち上げることなくZenlink DEXの機能を統合し、使用することがきるようになります。

この活動を通して、最終的にはユーザーの皆さんがどのチェーンにいて、どのdAppを使っているかに関わらずバックエンドではZenlink DEXの恩恵を受けることが可能になります。

応用の一例として

Zenlink DEXが統合されているNFTマーケットがあるとしましょう。
あなたはNFTマーケットでパラチェーンAのNFTを購入したいが、購入に必要なトークンX(例えば10ドル相当)を持っていないとしましょう。しかしパラチェーンBにはトークンY(100ドル相当)があります。この時、Zenlink DEXを統合していればNFTマーケットにいながらパラチェーンBの資産を使用してパラチェーンAのNFTが購入できるようになります。

購入プロセスのバックエンドではZenlink DEXが活用されていて、パラチェーンBのトークンY(10ドル相当)をパラチェーンAのトークンXにスワップします。それ以降の支払いは NFTマーケットのプロコトルを使用して支払いが行われるでしょう。

最後に

最後まで読んでいただきありがとうございます!
図解やイメージがなく簡素な形ですみません。
Zenlinkおよび Dotsamaエコシステムを引き続きよろしくお願いします!
コメントやシェアしていただけると嬉しいです!

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