税務行政 × 司法の目

最近考えていること。

警察行政と税務行政の違いです。ともに、国家権力の行使であり、被疑者になった場合、調査対象の納税者となった場合、国家権力にさらされます。

違い。警察行政は、強制力があります。強制捜査が主たるものです。身柄の確保、逮捕、勾留。そして、起訴、不起訴。

この過程においては、適宜、「検察官」という法曹によるチェックが入ります。つまり、裁判になった時に耐えられるかどうか、です。警察官がイケイケで捜査し、自白調書を取っても、客観的な証拠に欠ける場合、子では裁判に勝てないと、検察官がチェックして不起訴とします。

また、証拠収集過程に於いても、違法収集証拠は証拠価値が認められない、つまり裁判になった時には証拠としてつかえない、つまりないに等しいものという手続保障が刑事訴訟法によって強力に保障されています。

これに対して、税務行政はどうか。

検察官といった法曹、訴訟代理人を務められるだけの知識と経験がある者によるリーガルチェックは、ありません。

国税局の審理課、あるいは庁の担当者によるチェックはあります。しかしながら。そこの担当者は、検察官のような意味でのバックグラウンドのある法律家、法曹ではありません。つまり、司法業界の人間ではなく、あくまで税務行政の人間です。

こうした法曹によるスクリーニング、チェック機能、司法の目が入っているかどうかかが、警察行政と税務行政との大きな違いを生み出しているのではないかと考えています。

こうした税務行政に対峙する立場になる納税者の代理人として登場するのも、司法の人間ではありません。同じ税務行政の一環にある税理士の方々になります。

そこに弁護士は登場しません。

税務行政、税務調査対応に、もっと弁護士らが納税者の代理人として対峙していくようになれば。

税務行政も変わっていかざるを得ないのではないでしょうか。たとえ任意の調査が原則と言われていても、そこで実際になされている税務調査は、中にはかなり強引なものもあります。

そうでないと、真に課税の公平、課税、納付すべき人がしていないという不公正な状況を改善していくことはできないのかもしれませんが。

対国家権力となる以上、強引な任意の調査に対しては、司法の観点から見た、手続保障が図られるべきは当然かと思います。

日本において。法の支配という観点からは、野放し、というか遅れたままの世界が税務行政の世界なのではないかという思いを強くしています。

こうした状況は。尊敬する弁護士水野武夫先生の言葉で言えば。

「弁護士の怠慢」だと私も思います。

弁護士だけでは税務調査対応は困難です。和解的に修正申告に応じるとなった時に、弁護士では無理です。まさに税理士の力が必要です。

こうした点の役割分担を理解されている税理士の先生方と組んで、対応させていただいています。

こうした役割分担の認識がない税理士が口にされるセリフがあります。「弁護士を入れるのは、まだ早い。」

税務調査対応は、刑事弁護と同様、対国家権力であって、納税者の適正な利益を守ることが納税者の代理人の大きな役割です。

でないと、国家権力に対して、生身でさらされる納税者を誰が守るのか。中には、何もせずに、ただ納税者を差し出すだけの代理人も残念ながら居るようです。

もっと弁護士が入っていくべき分野だと思います。

納税者のためにも、また、税務行政の質の向上のためにも。