George Crumb

Makrokosmos I-III

クラム:マクロコスモスⅠ,同Ⅱ,夏の夜のための音楽(マクロコスモスⅢ)

清水美子(p)ロバート・ストルーバー(Perc)柴田晶子(口笛)清水なつみ(スライドホイッスル,Alto Rec,口笛) 〈録音:2016年2月,2017年6月,7月〉[Kairos D 0015029KAI]

西村祐(フルート奏者)レコード芸術2018年 12月号 P.193

Review of the CD “G. Crumb Makrokosmos I-III” by Yu Nishimura in “The Record Geijutsu,” vol.67 №89, Tokyo-Japan, Ongakunotomosha, December 2018,p.193.

アメリカの作曲家、ジョージ・クラムの代表作にして最大の傑作、《マクロコスモス》の新しい録音が出た。しかも日本の女流ピアニストによるもので、内容ともども画期的なものとなっている。

演奏している清水美子は桐朋学園大学の出身。大学在学中に《マクロコスモスⅠ》に魅了され、卒業後にアメリカのイーストマン音楽院に留学した。なぜならそこにはクラムの信頼するピアニストで、まさにこの作品を捧げられたD・バージがいたからだ。その後作曲家自身にも親しく接し、クラムの他にもケージやカウエル、三善や八村といった作曲家の作品も頻繁に演奏してきた。現在は日本に本拠を置き、積極的な演奏活動を展開している。

このアルバムは、ピアノ・ソロで演奏できる《マクロコスモスⅠ》と《Ⅱ》、2台ピアノと2人の打楽器奏者のための《Ⅲ》を収めた2枚組。《Ⅲ》のピアノは日本で多重録音、それにオーストリアで録音された打楽器パートを重ねるという世界初の試みによっている。

なによりも注目すべきは、響きの美しさである。ピアノの録音の優秀さ(群馬県大泉町文化むら大ホール)も含めて輝かしくも繊細で、さまざまな内部奏法や奏者の声、そしてもちろんピアノ本来の音が見事だ。清水の音色のアコースティックな美しさは、たとえば《Ⅰ》第11曲で引用されるショパンの《幻想即興曲》を聴けば一目瞭然。他の部分でも頻繁に現れるクラシカルな和音やシンプルな単音フレーズのフレージングが美しくなければ、特殊奏法による効果が単なる効果音としてしか届かない。しかしこの演奏では長いフェルマータの音の伸びや速い動きのクリアさも含めて、すみずみまで神経が行き届き、この作品において必要な広大な空間性を音にすることに成功しているのだ。

打楽器群、口笛(本来はピアノ奏者が吹くべきところ、世界的奏者の柴田晶子が担当している)なども音楽そのものに奉仕しており、まさにタイトルの《大宇宙》を表現しきった名盤と言っていいだろう。

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