城と図書館

青春18切符の一つ目のスタンプを押してもらい、 福島県白河まで小さな旅に出た。 一 泊してもよかったのだが、あいにくリーズナブルで良さそうな近郊の宿はどこも満室。いくら平日とはいえ当日予約は無謀だったか。そんなわけで、普通列車の長い帰路にこれを綴っている。

JR白河駅に到着すると、駅の近くにガラス張りの開放的な図書館が目に入ってくる。驚いた。こんな美しい図書館がここにあるなんて!。夕暮れ時はさらに素晴らしいシーンが待っている。図書館の中で過ごす人々が、まるで旧知の友人たちが集っているように錯覚するほど、ドラマチックに愛おしく見えるのだ。駆けつけて声をかけたくなるほどに。

白河駅と線路をはさんだ反対側に、平成になって再築された白河城がある。市の観光スポットを代表するこの城は、東日本大震災でかなりの被害を被った。いまでも仮囲いや重機が城の中に点在している光景をみて強く感じたのは、白河の方々は、故郷の熊本城に寄せる熊本県民の心の痛みと同じものを5年以上前に刻まれていたのだ、という思いだ。ライトアップされた白河城を駅のプラットホームから眺めながら、熊本城の復興を願わずにはいられなかった。

東京から白河までは青春18切符の日帰り旅にちょうどいい距離。宇都宮で途中下車をして餃子とビールを楽しみ、白河の名所を無理なく観光できる。初めて訪れた場所だったが、少し地味だけど、上品でコンパクトな白河市は夏の小旅行にぴったりだ。山手線内から白河までの往復は通常運賃で6,700円。青春18切符の一回分は、その三分の一程度の金額で楽しめる。

夏はまだ、これから。

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