iPhone 7 Plusで観る、夢の続き

X-Pro2+Leica Noctilux F1.0(マウントアダプタ使用)

デュアルカメラが搭載されたiPhone7 Plusは、後日リリースされる被写界深度エフェクトによる演算での擬似的なボカシができる。すでにAndroidスマートフォンで先行されている機種のアドバンテージを覆すために、HUAWEI P9を超えるものを目指しているのだろう。擬似的とはいえ、二つのレンズにより導き出された撮影空間の情報を処理するアルゴリズムは最新のA10チップ。SNSのコミュニケーションツールとしての写真は、さらに表現力が広がることになる。この発表をもって、普及機のコンパクトデジタルカメラはその役割を終える日が近いことを示している。この市場に引導を渡したのだ。

デジタルカメラの専門誌として20世紀の末に登場した「デジタルカメラマガジン」にデザイナーとして関わっていた16年のなかで、いつもこんなことを思っていた。

「デジタルカメラは夢の途中」だと。

その夢がカメラの形をしたものから、起源はカメラでないもの-スマートフォンやアクションカム、ドローンに至るまでの形態変化を遂げ、それらが「夢の続き」を引き継いでゆくことになることが明確になっている。すでに過去のニュースだが、低価格普及機の開発を継続しないことを明言しているカメラーメーカーもある。

プロフェッショナルユースや先鋭的な趣味の世界では、センサーサイズが大きく、階調やディテールの表現力も段違いなハイエンドのレンズ交換式カメラが求められ続けるだろう。フィルムカメラと印画紙もまだ写真表現の方法として続く。しかし、その市場は限られたもので、プレミアムなものとしての存続だ。写真を趣味としない人々の手の中にはスマートフォンが定位置となり、バッグの中にもカメラが存在することはない。

写真で表現をしたい、または職業として必要な人々だけが、スマートフォンでは表現をしきれない領域に、デジタルカメラやフィルムカメラを使う。それは、熱意をもって写真を撮る人にとっての「夢の続き」であり、「夢の途中」を楽しみ続けるスマートフォンや新しい撮影用デバイスとは別の世界だ。私が「ボケ」のリアリティを出すために、レンズ交換式カメラに大口径単焦点レンズで撮ることも、限られたシーンになることだろう。この写真のような、日常のテーブルフォトでは。

http://www.apple.com/jp/iphone-7