Tri-Elmar 28–35–50

5年前まで所有していた、ライカの多焦点レンズTri-Elmar 28–35–5o。この当時はM8につけて何度か撮ってみたものの、操作性の部分で相性がしっくりとせずに手放してしまった。今ならこのレンズの価値が理解できるかもしれない。ズームレンズではなく、焦点距離を3種類揃えた多焦点レンズは、ズームレンズのような使いやすさからはほど遠いが、構図をズームレンズの画角変更に頼ってしまう悪い癖は、つくことがないだろう。

カメラ雑誌のアートディレクションを担当していた頃は、ライカに限らず、さまざまなメーカのカメラボディやレンズを自前で購入していた。それは「この写真を撮るためにこの機材が欲しい」という欲求ではなく、「この雑誌や書籍のデザインをもっとよくするために、自分の眼と手によって、どんなカメラやレンズなのかを確かめて、それをデザインにフィードバックしたい」という動機が大半だったように思う。それ自体は悪い動機とは思っていないし、後悔もしていない。どんなUIでユーザーの視覚と触覚に接しているのか。メーカによってどんな思想が根底に流れているのか。それが片鱗程度には感じとることができたのだから。

反省すべき一番の点は、写真撮影を生業にしているわけでもないデザイナーが、機材に振り回されすぎたことだ。趣味として楽しみを徹底するわけでもなく、仕事のために買い集めた機材は、しかるべき方々の手許に旅たつのが、カメラやレンズにとっても幸せなことに違いない。

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