フリーランスエンジニアをやるのではなく, 開発会社をつくった理由

前回は, 「手段を目的化するための開発会社」の主要機能の一つとして「腕を磨く機能」を実装している, という話を書きました. その続きです.

創業にあたって自社の事業モデルを考えていったとき, この「腕を磨く機能」だけを「持続可能な開発会社の機能」と呼ぶには, どこか違和感がありました. その違和感の理由を考えてみると, 「それって, わざわざ会社にしなくても良いんじゃない?」「そういうこと考えながら個人事業やってれば良いじゃん」という問いが, 自分の中に浮かんでくるのを感じました.

そこで, もう一段階踏み込み, 会社にする理由と意義を言語化し, 自分自身をドライブさせられるような絵を描こう, と考えました. 言い換えると, 「システム開発請負をやる」「自社サービスを収益化する」といった直接的な意義よりも, もっと広義の, “この会社が社会にもたらす役割は何なのか?” ということです.

考えてみてわかってきたのは, 「どうして会社をやりたいのか」を考えることはすなわち, 自分の中にある価値観や理想や行動指針と, 現実社会とのギャップを認識し, それを埋めようとする気持ちを確かめることだ, ということでした.

中途半端に年齢を重ねてしまい, 他人や社会に対する適度な無関心さと寛容さを持ってしまった自分にとって, これはなかなか難しいことでした. ただ, 創業にあたって, モヤモヤしていることは確かに心のなかにあったので, それは何なんだろうと考えていってみると「技術のブラックボックス化」「学校で学べる “基礎” と、社会で求められる “仕事” とのギャップ」「即物的(すぐに結果を求める/それが何の役に立つの?)な価値観」などのキーワードが浮かび上がってきました.

念のため書いておくのですが, 私は上記いずれのキーワードも否定しようとは思っていません(何しろ, 適度に寛容なのです).

では, 何が引っかかっているのか, というと, 「なんかよくわからん技術を, よくわからんままに扱って, 『もっと知りたい/深いところに行きたい』という気持ちに応えられないまま, なんとなく豊かになっていく社会」があるとしたら, それはツマランなぁ, ということです.

ここで思い出されたのが, 9年ほど前に, とあるブログで出会ったこの言葉です.

技術と思考を磨くことだけ怠らずにいれば、いつか世の中の変化と自分のモードがマッチする瞬間がやってくる。そのときまで、諦めず、ただ静かに歩めばいい。これは言うほど簡単ではない、チャレンジと呼ぶに値する生き方だ。
希望は突然やってくる:Kenn’s Clairvoyance — CNET Japan より引用

私は, この記事が大好きで, 今でもたまに読み返してしまうのですが, この言葉を思い出した瞬間, 私の中の価値観と, 創業の動機, それに会社に持たせたい機能が, 綺麗にハマっていくのを感じました.

社会がどれだけ急いでいても, まわりがどんなに煽ってきたとしても「諦めず, ただ静かに歩める」ハコ(場所)がなくてはいけない. 目指すべきは「 真摯に技術と向き合い, “つくって働くことが, 幸せだ” と思える技術者がいっぱい居られる社会」であり, そのために会社に持たせるべきもうひとつの機能は「志を立てる(思考を磨く)機会の提供」だ, と.

ここまで考えて, 会社の事業モデルを下図のようにまとめました.

正直なところ, 「腕を磨く」「志を立てる」これらの機能を支える要素が, 上図に入っているもので十分なのかはわかりません. うまく運用できるのかもわかりません.

このループを回し続けることができるのか, 如何にうまく回すことができるか, 回すことで理想としている場所へいけるのか. それを検証することが, この会社の存在意義であり, 私のチャレンジであると言えます.

さて, ご縁あって, 今年の4月からは, 某大学理工系の学生さんに開発アルバイトとして参加していただくことができました. 実案件や自社サービスの開発をお願いするだけではなく, 個人でつくっているWebサービスの設計や運用にフィードバックさせていただいたりしています. ランチもだいたい一緒に行っています. 私がなかなか手を動かせない技術調査/研究の領域もお手伝いいただいており(もちろん有給です), お互いに学びと刺激のある環境になってきているな, という実感があります. まだまだ始まったばかりではありますが.

というわけで, 前回と今回の2本に分けて, 改めて, 会社設立の思いを文章にしてみました.

この会社は, ビルディットといいます. 最後になりましたが, 思いに共感していただける方と, ご縁があればご一緒したいと思っています. もし, 興味を持っていただけましたら, 私のソーシャルアカウントなどから, お気軽にご連絡ください.

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