手段を目的化するための開発会社をつくりました

「技術は手段だ」なんて言われることが多いような昨今ですが,

通信会社での技術営業, 開発会社でのプログラマ, フリーランスエンジニア, 開発会社経営, 事業会社CTOなどを経験してきて, 「やっぱり技術が好きだな」「手段を目的化したいな」と思うようになりました. 「そういうことができるハコをつくって, 思いっきりやりたいな」と思ったので, だったら開発会社がよろしかろう, と思い, そんなわけで, 今年の頭に改めて開発会社をつくりました.

ただ, 手段を目的化したとはいえ, 会社は会社. 会社である以上, 利益を出し続けなければいけません. 会社にどういう仕組みを仕込んでおくか, これによって, 会社の持続可能性が決まることになると思いました.

とくに, IaaSやSaaSのような, 技術のパッケージ化, コモディティ化が日進月歩で発達している今日ですので, 半端な受託開発をグリグリ回すだけの会社であれば, ジリ貧になることは避けられません.

そこで, 手段を目的として生き続けるのであれば, 手段を磨き続けられる環境を自分たちで持つのがよろしかろう, と思い, 自社サービスを持つことにしました。

ところで, 技術会社のよくあるアプローチは, 収益の柱として自社サービスを持ち, 自社サービス事業と開発事業で, 良い感じのポートフォリオをつくることです. 手堅いです. ちなみに, そんな自社サービスは「自分たちが使いたいと思える, 自分もユーザになれるサービス」であることが多く, 結果として, 開発者向けクリエイター向けのサービスをつくっている技術会社が多いように思います.

ただ, 私の場合, 創業時点で, これといって「いける!」あるいは「自分で使いたい!」と思える自社サービスのアイデアはありませんでした. それに, 自社サービスを抱えるとなると, その市場性はどうなんだ, 収益性成長性はどうだ, と, 考えることになり, 結果として「手段を目的化する」が実現できなくなってしまうのではないかという懸念がありました.

そこで, 「手段を目的化する」をもうちょっと掘り下げて, どういう「手段」に bet しようか, ということを考えることにしました. これは, なかなか難しい賭けなのですが, いろいろ調べたり考えたりした(というよりも半ば直観的に閃いてから, 因果関係を諸々整理した)結果, 「蓄積された(利用者行動などの)データから新しい価値を見出す」いわゆるデータアグリゲーションやデータマイニングに相当する分野であれば, しばらくは食っていけるのではないか, と判断しました. データの解析そのものはAIや機械学習といった分野が台頭してきてはいますが, 少なくとも当面は, 「そこに文脈や仮説/解決すべき課題/意図を設定し, 解析処理を走らせ, その結果をうまく活用する」というアクションを, 人間が実行することになるからです.

というわけで, 自社サービスをもつモチベーションを, 「収益の柱をつくる」のではなく, 「自分たちで運用し, 自由にデータを解析し, サービス改善までを回せる環境をもつ」というところに設定することにしました. こう設定することで「なんか, いろいろ利用データが溜まるサービスであればOK. いっぱいデータ流れるやつなら, なお良し」となり, 「どんなサービスを自社サービスにするか」という点での悩みが, ずいぶんと軽くなりました.

もちろん, ユーザに使ってもらう以上, 価値があるものでなければいけません. 結果として, いずれは収益性も考慮することになってくるでしょう. しかしながら, ユーザ価値を金銭的な収益に変換するハードルが高いことも事実. むしろ, 最初のモチベーションは「自分たちが技術を磨くための場所」くらいのスタンスで立ち上げておき, サービスが育って, 金銭的な収益化の目処と成長性の見込みがたつ, 踏み込むべきときにアクセルを踏み込めば良いのかな, と考えています.

自分たちで何やらサービスをやっている/運用している, 溜まったデータを活用し, 改善もいろいろ試行錯誤している, そうやって技術を磨き続けている開発会社であれば, お客様企業の開発を請け負うときにも, より高い付加価値を提供し続けていけるのではないか, というアイデアです.

このアイデアが正しいかどうかは, やってみないとわかりません. というわけで, いま, やってみています. 自社サービスは, 開発請負の傍ら, 5ヶ月ほどの開発期間を経て, なんとかプライベートベータ公開にまでこぎつけました. いろいろデータが溜まり始めています. リアルな実データを扱えるのは, なかなか楽しいです.

というわけで, 会社の主要機能のひとつに「腕(技術)を磨く機能」を設定し, これを「自社サービス開発/運用」と「受託開発」で支える, という構造をつくることにした, というお話を書きました. 会社の主要機能は, もうひとつあります. 別の記事として書きましたので, よろしければご覧ください.

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