3/6 銀座ヘイトデモ・カウンター参加個人的メモ

yuco
6 min readMar 7, 2016

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以前から個人的にヘイトスピーチ問題に関心があったが、妊娠中だったり子どもが小さかったり東京から少し離れたところに住んでいたり、ヘイトデモはたいてい日曜日に行われるので子どもの預け先がなかったり(土曜日なら一時保育に預けることもできるのだが)で、ヘイトデモへのカウンターというのをしたことがなかった。

昨年12月20日に新宿で行われたヘイトデモの様子を見に行ったことがあったが、息子をベビーカーに入れながら歩いたのでカウンターはしなかったし、出発前の柏木公園での集会を近くで見たのを除いて、ヘイトデモ隊には近寄らなかった。

私が今回はじめて参加した、3月6日に銀座でおこなわれたヘイトデモの概要とカウンターの呼びかけについてはTQCCRACのサイトに掲載されている。

カウンターの呼びかけ団体のひとつであるTQCが、事前の風船やビラ配り要員を募集していたのでtwitterで参加しますとメンションを送り、14時に数寄屋橋交差点集合と伝えられた(デモ開始は15時)。

夫と息子と一緒に早めに有楽町に来て、お昼を食べたり息子を遊ばせたりし、14時ちょっと前に別れて数寄屋橋交差点へ。

プラカードはセブンイレブンのネットプリントをはじめて利用して表は日本語、裏は英語で持って行った。中国語や韓国語も用意されていたけど、自分が読めないものを掲げるのは気が引けたのと、銀座だと中国も韓国もほかの国の外国人もいるだろうし、表裏で2枚と考えて日本語と英語にした。

ほかの人に渡すことも考えて各2部刷って行ったのだが、風船やビラを配る準備をしていたとき、ピンクの花柄の着物の女性が話しかけてきてプラカが欲しいと言うので、ちょうど渡すことができた。この方、目立つのでよく写真に写っていて、朝日新聞の記事の写真にもバーンと出ていたので、渡せてよかった。

交差点を渡り風船を配り始める。子どもを狙うと結構受け取ってもらえる(笑)。風船はなくなってしまったのでビラを配る。デモ隊が来る前はビラへの反応はあまりよくないが、近づいてきて彼らの声がもう聞こえるようになると「なんだアレ」という雰囲気になり、ビラはそこそこ受け取ってもらえる。

デモ隊通過時、数寄屋橋交差点にいたのだが、私の数m手前に香山リカさんがいたらしく、桜井は先頭の黒塗りで窓にスモークを貼った車の中にいたようで姿は見えなかったが、車を止めて罵倒していた。なにを言っていたかよく覚えていないが「口角あげろ!」とか、女らしくないぞ、系のことを言っていたはずで、それが彼らの思う女性に対する罵倒なのだなあ。民族差別だけじゃ飽き足らずにセクハラかよ。このときは、車を止めないで走らせろ、と先導する警察に厳しく言われていた。それからカウンターのプラカのことは「韓国語で読めませんけど」とも言っていたが、各種報道写真を見てもわかる通り、実際にはほとんどは日本語だったのだが。

デモは「朝鮮総連・朝鮮学校をぶっ潰せ!デモ」というタイトルで、まあ朝鮮学校への補助金停止なら国のとっている政策ではあるが(ひどい政策だが)、潰せというのは政策とは呼べず、現場で聞いたのはさらにカウンターに対する悪罵でしかなく、政治的主張をするデモという一応の体裁すらかなぐり捨てていると感じた。

これを警備する警官と税金でその費用を払っている我々ってなんなんだろうか。ただもし警備が薄く、乱闘になるなら私はカウンターには行けないと思うので、そもそもデモが許可されなければいいのだが、許可されるならああいう警備もしょうがないのかなあという感じもする。

デモ隊が数寄屋橋交差点を通過したあたりで雨が降ってきて、外にいるはずの夫と息子も気になったし、疲れたし、カウンターで追いかけた人も多かったようだが私はここで帰った。

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今までカウンターに行けなかったのは、息子の預け先がなかったのが一番大きい理由だが、昨年新宿に見に行ってみて、「ヘイトデモやーめろ」とか合わせて声を出すのにも、じつは若干のためらいを感じていた(笑)。現場にいたら声を出してない人が若干いても別に目立たないだろうし、今回もしサイレントという指定でなかったとしても行ったと思うけど。

カウンターに何度も行っている多くの人が「目の前にいるのに罵ることができず、ヘイトデモ側の声が丸聞こえになるのにストレスを感じた」とツイートしていたし、桜井もカウンターに対して「サイレントというけれど、どこまで我慢できるかな?」と煽っていた。

でも私は、ヘイトデモに対して心の中では「クソ共が」くらいには思っているけど、声を出さないことには特にストレスは感じなかった。私は差別される当事者ではないし、本当に軽蔑する相手には、罵るよりもコミュニケーションしたくないと思うからかもしれない。初めての参加なので観察モードで見ていたというのもあるだろう。あとから、「なぜ人間はここまで自分から醜悪になろうとするのか? カルト宗教の信者みたいなものと考えればいいのだろうか?」とずっと考えている。こういう風に抽象的に考えようとするのも、ある意味ヘイトに直面しないことで自分の精神を守っているのかもしれないが。

当事者にとっては声が丸聞こえなのは辛いかもしれないが、銀座という場所柄(カウンターにも割と冷淡……とビラ配っていて感じた)を考えると、銀座の中心的エリアだけでも、ヘイトデモはひどいけどカウンターはお行儀悪くありませんよ、と示すのは必要な気もする。TQCの人もときどき見回っていて歩行者が歩けるように、歩道を空けるようにと指示していた。近くにコリアンタウンもないわけだし、ヘイトデモの声を聞こえさせなくすることよりも、ヘイトデモの主張内容すら知らないであろう買い物客に「喧嘩みたいだしどっちもどっち」という印象を与えないことを優先したほうがいいのでは。もちろんたまたま来た買い物客の中に在日コリアンがいるかもしれないので、確率的な問題ではあるのだが。

全体的に、ヘイトデモが行われること自体は大変良くないことだと思うが、それは現時点ではしょうがないという前提に立つなら、主にtwitterでの告知で自主的にこれだけの人がカウンターとして集まり、TQCの人も点呼もとらず指定された集合場所にいたそれっぽい人に説明してみんなで手分けして風船とビラを配り、サイレントと指示されたのでみんな罵倒しないというのを守り、終わったらそれぞれに帰っていく(この間何人かと話したが、誰一人名前も連絡先も、twitterアカウントさえ交換しなかった)というのが新しいなあと思ったし、それでこれだけできるという良さも感じた。

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yuco

前世紀からネットで遊んでいますが、最近は日中は3歳息子&0歳娘と遊んでいます。