チャットのマイクロインタラクションとBOTに関するまとめ

Yuhey Iwata
Jul 23, 2017 · 6 min read

UX MILK」というメディアが主催する「UX JAM」というイベントに登壇した際の、チャットのマイクロインタラクションに関する資料をアップしました。

新規にチャットサービスを創りたいときや良いチャット体験をデザインしたい時に、参考になれば幸いです。



スライドの中身は薄っぺらいので改めて解説しておきますと、内容は

  1. チャットの目的
  2. チャットUI(Conversational UI)の要素と人間らしさ
  3. 各チャットサービスの既読表示と入力中表示
  4. Facebook Messengerの仕様とBOTでの検証

となっています。以下、簡単に内容をまとめます。

1. チャットの目的

言わずもがな、この10年でチャットの目的は大分変わりました。人間と人間がコミュニケーションするために作られたチャットは、企業が情報発信するためのマーケティングツールとして使われ始め、最近ではエージェント(BOT)を通してデバイスの状態やインターネット上の情報取得にも使われるようになってきました。

そのトリガーも、ただの会話のみならず、特定の場所に来たら場所に応じた情報を受信できたり、特定の時刻になったら期間限定の情報を受信できたりと、プッシュ型サービスのプラットフォームとしても機能しつつあります。

チャットの目的の変化

2. チャットUI(Conversational UI)の要素と人間らしさ

そんなチャットのUIについて考えます。送信されるコンテンツもチャットのUIの一部、と表現されることもありますが、主にコンテンツとステータス的な要素がスクリーン上のUIに存在すると思います。また、非スクリーン的な要素にも着目すると、それらが送信されるタイミングも、動的な要素と考えられます。今回は、コンテンツ/タイミング/ステータスの3つに分類しました。

チャットUIの要素

Tech界隈で特に熱いのは、BOT等がコンテンツとして、いつ・何を・どう生成して表現するか、という部分ではないでしょうか。機械学習分野の進展も相まって、ただのルールベースから脱却するための研究開発も盛んに行われています。また、UIデザインの観点でも、ユーザーが楽に意図したことを入力するためにボタンを設置するという発展も、よく見られるようになってきました。

しかし、今回着目したいのは、コンテンツよりもタイミングやステータスの部分です。チューリングテストクリアのため、という訳ではありませんが、コンテンツの部分が機械学習によってより精度が向上しているのであれば、それ以外の部分もユーザーのコンテキストに応じて、より人間らしく見せられないか、と考えたのがきっかけでした。以下では、ステータス表示の中でも特に、「入力中表示」「既読表示」に注目して話を進めます。


3. 各チャットサービスの既読表示と入力中表示

「入力中表示」「既読表示」について、各チャットサービスの対応状況をまとめました。単純な機能比較というよりも、ビジネス用途かプライベート用か、同期コミュニケーションか非同期コミュニケーションか、といった各社のビジネス戦略における差別化も見え隠れします。

「入力中表示」「既読表示」に関する各チャットサービスの状況

今回は、1つのサービスに絞って、それぞれの有無による対ユーザーの反応を見たかったので、4象限すべてに対応可能なFacebook MessengerのAPIを利用しました。


4. Facebook Messengerの仕様とBOTでの検証

Facebook MessengerでBOTを作成し、「入力中表示」「既読表示」がユーザーに与える効果を探ります。Facebook MessengerにはSender Actionsという、まさに「入力中表示」「既読表示」を実現するためのパラメータが用意されています。

Sender Actionsを更に有効活用するために、BOTに「既読」「入力」「送信」のそれぞれのフェーズにおいて、意思決定のための時間を付与しました。今回は検証目的なので固定時間ですが、今後の展望としては、この意思決定秒数こそが、コンテンツ部分の研究成果と相まって決定されるようにできると良いと思います。1センテンス毎に感情係数を付与する感じで。

BOTの意志決定フロー

検証方法としては、4象限の左下と右上の2種類のBOTを作成し、それをプローブとして4名に対してシナリオベースでの検証を行いました。主に定性的な内容を抽出するために、最後に簡単にヒアリングを実施しています。感情に与える効果が大きいだろうな、という仮説があったので、プライベートなシーンでのシナリオを作りました。


結論としては、適切な遅延に「入力中表示」「既読表示」が加わることによって、ユーザーに対して感情面での揺さぶりを与えられることがわかりました。一方で、情報は純粋に遅く届いてしまうので、コンテキストに応じた使い分けが必要です。ヒアリング結果を機能面・感情面で以下のようにまとめましたのでご参照ください。

検証結果まとめ

即時的に情報を返してくれるBOTも、機械的なエージェントとして扱わせたい場合には効果的に機能すると考えられますが、より人間的に見なされたい場合や、感情の起伏を引き起こしたい場合には、意志決定による遅延や、チャットプラットフォームのステータス表示機能を活用することによって、新しい可能性が切り拓けそうです。

Yuhey Iwata

Written by

Senior UX Designer & Certified Human Centered Design Professional / NTT Communications corp.

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