何もしないなら、せめて文句だけは言え。

Yuichi Hiranaka
Oct 15, 2019 · 6 min read

「何もしてないくせに文句だけ言うな」とかいう人は、
①自分が何もしてないからあなたの文句にイラつく人
②あなたが黙った方が都合のいい*権力者*
③ファシスト
のどれかです。ざっくりいえば。

La contestation ne faiblit pas. — AFP. via plus.lesoir.be

「何もしてないくせに文句だけ言うな」というのは、間違っています。間違っているという理由は、様々に説明できますが、大きく三つの論拠を示しておきます。

まず、普段から文句をいわない人は、いざとなっても文句がいえない、ということがあります:

楽器をやる人は、ライヴを。スポーツをする人は、試合を。受験をする人は、試験を考えればすぐ判る、と思います。

まぁ、楽器の練習なんてうるさいから、「うるさい、コンサートでだけうまく弾けばいいんだろ、それ以外弾くな!」なんて、めちゃくちゃな話ですよね? どんな音楽家だって、それではなかなかいい演奏はできません。

ライヴでちゃんと弾ければいいんだよ。
試合で勝てればいいんだよ。
試験で実力を発揮できればいいんだよ。
目的は、本番であって、それ以外には意味がない。と考えて、練習も勉強もしなかったら…普通は本番も失敗します。だから、日頃から練習をしたり、問題集を解いてみたりする。それとまったく同じこと。

普段から、文句をいわずに黙っている人が、文句をいってしかるべき状況になった時、その、ここぞ、という時にだけ、うまく文句がいえる、というものではないでしょう。普段からどんどん文句をいっておくことは、その*本番*のための*練習*です。本当に必要になった時、練り上げられた、正鵠を射た文句がスラスラと出てくるように、普段から文句をいいつけておくのです。

二つ目には、*日々の文句の積み重ね*が、最終的な行動を呼ぶ、という可能性があります:

おかしいことを、おかしい、なぜおかしいか、どうおかしいか、と常日頃言語化して再確認していくことで、ある限界、内面的なティッピング・ポイントを迎え(笑)もうこれは、行動に移すしかない…となるケースは、やはりあるのではないでしょうか。

言語化=文句にしなくとも、フラストレーションが溜まり続ければ、最終的には爆発、というカタルシスも考えられますが(笑)それは細かな修正や訂正の要求ではなく、もっと爆発的、暴力的な、革命、一揆的なものになる。そこに至るより前に、言語で、議論で、状況を正していく方が、破壊的・暴力的な行動よりも、はるかに人間的な解決法、といえるでしょう。そのためには、言語化=文句化は必須のステップになります。

まとめると、日々文句をいうことの積み重ねは、実際の行動へとつながる道になる。そしてその行動は、文句=言語化を経ないで出てくる最終的な暴発よりも、比較においてすみやかで、かつより人間的な行動となるだろう、ということです。

最後に、三つ目の理由ですが、これは、底辺の大きなピラミッドの頂点はより高く、大きくできる、という喩えで説明できます:

ちょうど野球やサッカーをやる子どもが多ければ多いほど、高校や大学、そしてプロで活躍する選手の層も厚くなり、レヴェルも高くなる、というようなことです。

先ほどの*本番*の話と似ていますが、プロになれない人はスポーツなんてやらなくていい、といったら、トップの選手層は、それだけ貧弱になるでしょう。

スポーツの場合はまだ、体にいいからプロになれなくてもやった方がいい、と別の理由で議論をすり替える人はいるかもしれませんが、では、音楽家はどうでしょう。プロになれないなら、近所迷惑なだけです(笑)しかし、そのほとんどはプロになれないわけだけど、みんながピアノを弾くからこそ、トップのピアニストの層はその分厚く、豊かになるわけです。

つまり、100 人の人が文句をいっていたら、そのうち一人くらいは行動を起こすかもしれない(もちろんこの数字も喩え話の一部ですが・笑)。100人に一人しか文句をいわなければ、同じどんぶり勘定で行くと(笑)10,000人の人がいて、初めて一人が行動を起こす、ということになる。

ということは、文句をいう人が多ければ多いほど、実際に行動を起こす人も多くなる、ということです。
行動こそが本当に重要で価値のあるものだ、ともし本当にそう思うなら、まさにそのゴールのために、みんなが常に文句をいうことに、大きな意味があるわけです。

*権力者*が「何もしないくせに文句だけいうな」という理由が、これではっきりするのではないでしょうか。本当に*何かされたら困る*から、です(笑)

たとえ最終的にあなた自身は行動しなくても、
たった一人の本当に行動する人を生み出すために、
あるいは、そんな*一人*をより多く生み出すために、
何もしないあなたが、日々文句をいい続ける。
これが、本当に肝心になってくる。
何もしないあなたが、でも文句だけはいい続けることが、ささやかであっても、その本当に行動する*一人*を支える力になるのです。


…このように、何もしなくても文句だけはいわなければならない、ということには、いくつものロジック、理があります:

① ふだん文句をいわない人が、必要な時にだけちゃんと文句をいえる、ということはまぁ、ありえない。ふだん文句をいい続けていればこそ、いざという時にちゃんと文句がいえる;
② 文句をいい続けること、普段の文句の着実な*積み重ね*こそが、ある限界点で実際の行動(しかもよりすみやかで人間的な)に移る道へとつながっていく;
③ 仮に自分は行動できなかったとしても、文句をいい続けている人が多ければ多いほど、実際に行動に移す人の質も高まり、層も厚くなる。

一方「何もしないくせに文句を言うな」ということの裏には、何もロジックはないでしょう。
あるのは、そうであるべき、などという、主観的で論証不可能な、つまり非科学的、オカルト的な強弁。
あるいは「多くの人がそう考えている」というような、相対的な、つまり真理とは無縁の論拠、くらいでしょうか…。

声のでかい、*力*の強い人たちには、思考力で、静かにしっかりと打ち勝っていきましょう。

“Pour le bien du futur de nos enfants, pouvez-vous faire la grève pendant une journée?”, dit la pancarte de cette manifestante, dans le métro de Hong Kong, le 5 août 2019. [Miguel Candela — Keystone/epa] via www.rts.ch
Yuichi Hiranaka

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