就活生からよく質問される5つのこと(後編)

さて、今回の後編では、残りの質問(4 & 5)に答えていこうと思います。質問1–3に関しては前編をご参照ください。

  1. 面接官は、学生のどんなところを特に見ているのでしょうか?(前編
  2. 企業はどんな学生を採用したいと思っているのでしょうか?(前編
  3. 今後の社会で必要なスキルとはどんなものなのでしょうか?(前編
  4. 社会人としてやっていける自信がありません。どうすればよいでしょうか?(後編)
  5. どうして今の会社に入ったのですか?どうして今の仕事・職種に就こうと思ったのですか?(後編)

Q4. 社会人としてやっていける自信がありません。どうすればよいでしょうか?
A. 自信は、基本的に何か「やった後」に生まれてくるものです。社会人経験がこれまでないのであれば、自信がないのは当然なので心配する必要はありません。

こう答えるとまるで禅問答のようですが(笑)、でも真実だと思うんですね。やる前から自信が持てるのは、単純に似たようなことを過去に経験していて、それをものさしにして考えた時に、「あ、たぶんできる」と思っている状態だと思います。本当に未体験ゾーンに突入する時は、程度の差こそあれ誰だって不安になります。

なので、「自信がない」というのはむしろ当然で、特に学生から社会人の移行期においては、高校から大学へのそれなどよりもはるかに大きいストレスがかかると思います。学生時代からバリバリ企業で働いてましたという学生たちを除けば、多くの一般的な学生はちょこっとインターンをやってみたことがある程度なわけです。不安になったり、自分が本当に大丈夫だろうかと思い悩んでしまったりするのは、ごく自然な反応です。

自信は、そういう不安な状態と格闘しながら、徐々に仕事における成果を出して周囲からも認められていくことで、自然に自分の中に生まれてくるものです。そのタイミングでまた新しいチャレンジがやってきて、また不安になり、時には自信喪失し、それでも前に進んでいく。それを繰り返して、チャレンジをひとつひとつ乗り越えていくごとに、自信もひとつひとつ積み上がっていき、ちょっとやそっとのことでは簡単に怖気づいたりしないようになります。

それまでの積み上げてきた経験や、自分を助けてくれる仲間たち、そしてその先に控えているさらに大きなチャレンジや目標を見据えて、「自分」を「信じて」飛び込んでいけるようになる。それが自信なのだと思います。

就活生のみなさんの多くは、そうやって「自分」を「信じる」という意味での「自信」の根拠となる実績がまだ足りていないだけです。それも当たり前のことで、まさにこれからそういう経験をしていくことになるというだけの話ですね。ですから、今自信がないということに悩む必要はなくて、それはごく自然なことだと認識して、だからこそこれからひとつひとつ積み上げていくだけのことですよね。焦らなくても大丈夫です!


Q5. どうして今の会社に入ったのですか?どうして今の仕事・職種に就こうと思ったのですか?
A. まあ、そういう流れだったから、でしょうか(笑)

これはなかなか回答が難しい質問ですが、よく聞かれる質問でもあります。質問の内容はシンプルなのですが、実は意外に答えるのが簡単ではない質問でもあります。

なぜなら、人が転職をしたりキャリアを築いて行く上で、「なぜ」を説明しようとすると、その前後の様々な文脈を共有した上で話さないと伝わらないからです。要するに、一言で答えられないということです。

もちろん、新卒入社した会社の入社理由を教えてくれと言われれば、それはわりと簡単に答えられるかとは思います。一方、30代中盤以上で、かつ転職経験も複数回あるというような人の場合だと、上述のようにいろいろとまつわるストーリーがあるので、それを一つ一つ時系列に沿って説明していくのは大変です。

ちなみに、学生さんたちが質問している意図としては。「何を基準に会社や仕事を選んできたのか」と聞いているわけです。それがわかれば、それを参考にして自分も就活において業界選びや会社選びの際に役立つかもしれないということだと思います。

ただ、会社や仕事を選ぶ基準というのは、人によってまったく違います。ラーメンの好みのようなものかもしれませんが(笑)、もちろん好みだけでなく、家族や経済的なことやその他様々な事情もあったりしながら意思決定しています。

興味深いのは、仕事における選択肢が最も多い新卒採用のタイミングというのは、皮肉なことに最も情報量が少ない時期でもあります。例えば、就活生と社会人3年目くらいの若者たちの間には、年齢差はたった3–4年ですが、そこに横たわる情報量の格差(仕事や業界や社会のしくみといったようなこと)は年数以上のものがあります。

最初の会社に3年もいれば、自社のことはもちろん、業界の他のプレーヤーたちや構造、そして他社・他業界に就職した友人たちからの情報共有によって他業界・他社のこともかなりわかってくるようになります。もちろんその頃までには自分の仕事における得意・不得意や、どういった人たちと一緒に仕事をしていきたいのか(したくないのか)、今後どういうことに携わっていけると楽しいのか(楽しくないのか)等、かなり具体的に見えるようになってきていると思います。

そういう状態と就活生とでは思考の深さにかなり違いが出てきているわけですが、じゃあ就活生が社会人3年生たちに話を聞くことによってそうなれるかといえば、やはり多くの就活生はそもそも社会人経験がないので、社会人に対して本質的な質問を投げかけて意味のある回答をうまく引き出していくのが困難だというハードルもあります。

あとは、本質的な話を引き出せたとしても、人の経験というのはあくまでも個別のものなので、誰かの特殊な経験を鵜呑みにすることもできないという難しさもあります。

例えば、僕が前職で勤めていた Google という会社も、世間一般的には「働きたい企業ランキング」などで世界的に上位に食い込む会社ではありますが、Google での仕事における経験はみんな千差万別で、誰に訊くのかによって話の内容はまったく異なってくると思います。そして、多少脚色はあったとしても、それらのほとんどは事実だと思うんです。つまり社員の数だけ異なった事実や経験や感想があるということです。

なので、OB訪問などで先輩社会人たちから話を聞く場合には、上記のような観点を忘れないようにして、ある一個人の印象や経験談だけで、ある企業や仕事のことを決めつけてしまわないバランス感覚は必要です。それと、OB訪問要員の社員たちを訪問する場合は、彼らはみなさんを採用対象として見ているわけですから、当然あまりネガティブな印象を与えるようなことは言わないだろうなというのは想定しておくことも必要ですよね。

そう考えると、なぜ今の会社に入ったかを聞くよりは、もっと仕事そのもののことにフォーカスを当て、「今の仕事では、どういう目標をもってどんな業務をされていて、そこにおけるやりがいや大変なことというのはなんでしょうか?」などと質問する方が、それなりに参考になるような回答が得られるのではないでしょうか。

質問上手になろう

前編・後編にわけて5つのよくある質問を見てきたわけですが、まあ、それに対する僕の回答もどうかと思う点は多々ありますが(笑)、いずれにしても就活生には仕事や企業に関してたくさんの疑問・質問があるわけです。

上述しましたが、就活生というのは、社会に出て行く上で圧倒的に情報量が足りていません。1年間ほど「業界・企業研究」して「OB訪問」すれば分かるようになると思っているが学生さんたちも多いようですが、むしろ逆にわからなくなることの方が多いのではないかとすら僕は思います。

多くの就活生たちの傾向として僕が感じるのは、質問がとても下手だということです。せっかくOB訪問や社会人と話す機会を得ても、質問が下手だとどれだけ時間をかけても本質的は話を引き出せず、今回取り上げたような質問ばかりに終始することになります。付き合ってくれる社会人たちも忙しい中貴重な時間を使ってくれているわけですから、どうせなら彼らが話し甲斐を感じるような質問をしたいですよね。

就活は大変だと思います。みんながこれまで解いてきた受験問題のような「正解」が存在しません。あくまでも自分の中で考え、自分なりの回答を出していくしかない問いです。でも、それこそがリアルな世界です。学生までの人生がちょっと異常なだっただけだと認識する良い機会ですよね。

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