私が松江にUターンした理由


おことわり

もともと[松江移住ITエンジニア Advent Calendar 2016](http://www.adventar.org/calendars/2018)の記事をQiitaで公開していましたが、「プログラミングとは関係ない」という理由で公開停止となりました。まあ、執筆当時知らなかったとは言え、基準は明確ですし、そのことに不満はありません。しかし、せっかく書いた文章が公開されなくなるのはもったいないので、こんどはMediumに書いてみることにしました。

今度はどうかな?

はじめに

これは[松江移住ITエンジニア Advent Calendar 2016](http://www.adventar.org/calendars/2018)の25日目です。

私が松江に引っ越してからおおよそ20年になります。松江移住ITエンジニアの中でも古参と言っても良いでしょう。Ruby関連となれば確実に最長老です。ので、松江に帰ってきた理由や20年後に考えていることを書きます。

TL;DR

「仕事があった」のが最大の理由だけど、人口が大きすぎず、小さすぎず、(私にとって)ちょうどいい感じの都市だったのが20年住み続けた理由のような気がします。それぞれの人がじぶんの「ちょうどいい」を見つけられるといいな。

よいところ

観光地

私はこの20年間玉造に住んでいます。玉造というのは玉造温泉があるところです。つまり、よそからわざわざ観光で訪れるような温泉地が徒歩圏であるということです。実際、玉造温泉街でイヌの散歩をしているまつもとがたびたび目撃されています。

そうでなくても、観光は松江市ひいては島根県の主要な産業で、近場でも温泉、宍道湖、松江城、歴史資料館、原子力発電所などがありますし、ちょっと足を伸ばせば、出雲大社、世界遺産の石見銀山などもあります。昨年、アメリカから友人が訪ねてきましたが、上記の各所に加えて、堀川遊覧、足立美術館の庭園や日本画、皆美館の鯛めしなどを堪能していました。

自然

田舎であるということはあまり開発されない自然が残っているということでもあります。イヌの散歩をしているとトトロの森クラスの森林がごく近所に残っていることも驚異的です。6月頃には徒歩圏でホタルも見ることができます(近年少なくなってしまいましたが)。私は見ていませんが、子供はモリアオガエルの産卵を見かけたそうです。

たべもの

全般においしいです。が、私はお隣の鳥取県出身、家内は逆方向のお隣の山口県出身のため、あまりありがたみを実感していません。

職住近接

私は玉造に住んでいるため、松江市民としては通勤時間が長めですが、それでも車で20分程度で職場につきます。満員電車とか通勤1時間とかは無縁です。このムダにならない時間はQOL向上に直結していると思います。

子育て

島根県は過疎先進地域ですが、ということは競争が少ないということでもあります。島根に来る前に住んでいた名古屋では子供を幼稚園に入れるのも空きがなくて大変でしたが、こっちへ越してきて一番近い幼稚園に連絡したらふたつ返事で「空いてますよ」と言われてこちらが困惑するぐらいでした。

また、子供たちの小学校は1学年2クラス、1クラス25人程度ではからずも少人数教育になっており、先生の目が届きやすいこともあって、教育上のあまり大きな問題はみかけませんでした。

人口

子育ての点でもそうですが、松江市の人口サイズ(20万人程度)は、私にとって丁度良いと思います。これ以上大きいと人間が集中した時に精神的ストレスが発生しますし、逆にこれ以上小さいと、買い物、病院など基本的インフラに欠けることになりがちです。農業をしたいとかアウトドアとかそういう趣味があれば別ですが、私にとっては松江くらいの中規模都市が合っているような気がします。

距離

これは私固有の事情ですが、仕事を依頼された時に、松江から東京までの交通費の負担をお願いしています。つまり、往復で6万くらいの交通費を用意するくらい本気でない人は自動的に断ることができるわけです。気軽に仕事を依頼してくる人も中にはいらっしゃる中で、このような形でフィルターできるのは助かります。

鶏口牛後

人口が少ないということは競争が少ないということでもあり、仕事上でも比較的簡単に突出した存在になれるということでもあります。私が松江に越してきたからこそ、松江市はRubyに注目したのでしょうし、これが以前住んでいた名古屋や、ITエンジニアがゴロゴロいる東京だったら決して注目はされなかったでしょうし、市長や知事が向こうから会ってくださることも、公共事業として応援してくださることもなかったでしょう。

わるいところ

公平を期すために悪いところも紹介しておきます。

給与

一般論で話すと、松江市のエンジニアの給与は東京よりも安めです。私のように場所に関係なく十分にもらっている人はまだまだ少数派です。やりようはいくらでもあるとは思うのですが、平均給与の向上ということになると厳しいのはやはり現実です。

社会インフラの不足

過疎地で人間が少ないということは、社会インフラへの投資を回収することが難しいということになります。電車、バスなどは未発達で、自家用車は必須です。また、買い物も店頭では入手できないものがかなりあります。まあ、Amazonに頼めば大抵のものはとどきますが。というか、次の日に届く日本の運送業ってマジすごい。

生活コスト

田舎は生活コストが安そうと思われがちですが、長く続いたデフレもあって、日本全国生活コストは下がっていて、その結果、田舎だからといって生活コストが劇的に安いわけではありません。まあ、家賃は若干安いけど(以前住んでいた築50年8DKの一軒家は月6万でした)、それでも決定打になるほどではないです。

文化インフラ

一方、文化インフラの欠如は確実です。コンサートなどはめったに山陰に来ませんから、広島や大阪、東京などに出かける必要があります。「全国ツアー」の全国に山陰が含まれることはないのです。それらを愛している人にとっては、かなりのコスト高になることでしょう。

島根県立美術館は企画展などけっこうがんばってると思いますが、東京とかと比べたらかわいそうですよね。

自分にあったところで

というわけで、自分に最適な場所は人によって違うだろうという話でした。しかし、「東京でなければ」という先入観を除いて考えてみると、地方もけっこう良い選択肢になるのではないかと思います。

島根県や松江市はみなさんのお越しを待っています。

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