シリコンバレーの思い出

2014年ももう終わろうとしてるので、今年を振り返ってみたいと思います。僕にとって今年一番大きな出来事は、やはりシリコンバレーはサンフランシスコで2ヶ月間過ごしたことでしょうか。

きっかけ

僕はとある大企業の新規事業部署で働いていて、夏頃そこにAppSociallyのみなさんが来て、僕らのオフィスを間借りすることになったことがきっかけでした。

CEOの高橋さんにはその間、僕らのサービスをレビューしてもらったり、顧客開発について教えていただいたりしていたのですが、僕は僕で週末にAppSociallyのみなさんと一緒にハッカソンしたりしているうちに、せっかくだからAppSociallyのUSオフィスまで来て、2ヶ月間シリコンバレーを体験しながら一緒に働いてみない?ということになりました。

リーンスタートアップの文脈で有名なSteve Blank氏が、スタートアップで働きたいならその人たちに無料でコードを書いてあげなさい、といったことを書いていたような気もしますが、その通りになりました。そのSteveは高橋さんとも縁が深く、今思っても不思議な縁だったなぁと思います。

また、(様々な事情があったにせよ、)ほとんどノリで決まったことにもかかわらず、快くシリコンバレー行きをOKしてくれた会社の上司・同僚のみなさんや会社にはとても感謝しています。

シリコンバレーでの生活

急に決まった勢いそのまま、とりあえず渡航してみたものの、やはり最初は戸惑いました。空港からのバスの乗り方もわからず、気候は思っていたよりずっと寒く、時差で寝られない中AppSociallyの同僚のアパートに居候させてもらうといった感じで、慣れるのに少しかかりました。

それでも、慣れてこれば美味しいコーヒーとサンドイッチを楽しみながら、たまにはJapanTownでラーメンを啜り、じめじめとした湿気とは無縁の気候の中で仕事をすることができました。

僕が渡航した当時、AppSociallyはそれまでのオフィスを引き払って新しいオフィスに引っ越すところでした。これは短い滞在の中ではなかなかに生活感があり、またサンフランシスコならではの体験として印象に残っています。

Craig Newmark氏が僕らのオフィスを訪ねてきた時の写真

日本では馴染みのないcraigslistというサービスがアメリカにはあります。もともとサンフランシスコから始まったサービスで、地域の情報を交換する掲示板のようなサイトです。質素な見た目であなどりがちですが、毎月40億ものPVを稼ぐサイトです。(業界の人にはAirBnBがグロースハックで利用したことでも記憶に残っているかもしれません)

craigslistを使えば、不動産を探すことも、ハウスクリーニングを頼むことも、キッチンやオフィスで必要な中古品を買うことも、つまり何もない状態から新しいオフィスで生活を始めるまでに必要なことは全て出来てしまいます。

すごく短期間で終えた引っ越しでしたが、引っ越し後にはもうcraigslistなしで引っ越しをすることが考えられず、インターネットの力で生活を変えるというシリコンバレースタートアップの原型みたいなものを感じました。

様々な出会い

シリコンバレーでは、ミートアップに参加したり、高橋さんのご縁をいただいたりして、いろんな方にお会いすることができました。

Startup Grind会場でChrisと記念写真

Startup Grindというイベントでは、GitHubファウンダーのChris Wanstrathの話を聞き、さらに直接話すことができましたし、Facebook主催の@Scaleという技術カンファレンスではGoogleやFacebookの超一流エンジニアと同じ空気のなかで、最先端のWeb、モバイルの技術を学ぶ機会を得られました。

そういうと聞こえはいいですが、恥ずかしい話、話す英語が拙すぎてまともにコミュニケーションがとれていなかったように思います。本題に入る前の言語の壁を超えられないことに、悔しい思いをしました。

また、DokiDokiの井口さんやWHILLの杉江さんをはじめ、こちらで活躍している日本人起業家や投資家の方々ともお話する機会がありましたし、デジタルガレージ子会社NEOのオフィスやイーストベンチャーズがサポートするTECHHOUSEといった現地の日本人コミュニティも訪問することができました。

もちろん、一介のエンジニアである僕がこうしてお会いしたスター選手たちに名前を覚えてもらっているとも思いませんが、これらの出会いは、これまでネットのニュースで見るだけの存在が急に身近に感じられるような体験でした。彼らもなにか特別なことがあるわけでなく、同じ人間であり、空気を吸えばお酒も飲むのだということを今更ながら認識しました。同時に改めて、立っている土俵のスケールの違いが感じられて、自分に足りないものの多さを感じました。

「シリコンバレーの良い所にはお互いに助けあう文化があるところだ」と、高橋さんはよく話してくれましたが、まさに高橋さんは、彼を助けてくれる多くの人に囲まれていました。とても素敵なことだと思います。

AppSociallyでの仕事

さて、もちろんそうやって遊びまわっていただけではなく、自分の今できることをAppSociallyに還元するために一生懸命働きました。

AppSociallyではその頃、新規のサービスを開発しようとしていたところで、僕はエンジニアとしてサーバとフロントエンドの両方の開発に携わりました。

高橋さんはよく、「最初の顧客を見つけてからしか開発しない」ということを仰っていましたが、このサービスでもその言葉を有言実行しており、その最初の顧客を喜ばせるために、僕らのやることは明確になっているはずでした。

しかし、実際の現場は正直、混乱していると言って良い状態でした。それまでほぼ個人単位で開発していたチームは、メンバーが増えたばかり(僕の他にエンジニアが2名ほど入った直後でした)で開発体制が整っておらず、自分たちがこれから何を開発するのかを、チーム全員の共通認識として持てていなかったように思います。

GitHubのチームアカウントを取得し、リポジトリを用意するところから(つまり最初から)開発体制を整え、開発を始めましたが、思うように開発が上手く進まず何度か(何度も!)プロダクトを作り直す羽目にも陥りました。

同時に、僕らはチームで話し合い、1年はかかりそうな膨大な機能をそれぞれ開発することをやめて、2週間で作ることのできるMVP(Minimal Valuable Product)にフォーカスすることに決めました。全員がリーン開発の知識を持つチームで、たったそれだけのことをするのに2週間も費やしました。そんなことはあり得ないように思いますが、実際に起こってしまったのです。

残りの短い時間で、MVPの機能を開発しながら、僕が開発から離れた後もチームが開発を継続できるように、ドキュメントを整えました。

チームの仲が悪かったのでは、と思う人がいるかもしれませんが、そんな混乱した現場でも、チームのメンバーとはキャンプなどのレジャーを楽しんだり、いつも一緒に食事をとったりして、とても良くしてもらいました。こういう楽観的な部分はアメリカならではかもしれません。

振り返ってみれば、チームがアンチパターンを踏まないように声を上げるタイミングはもっと早くに、いくらでもあったように思います。そうできなかった僕は未熟でした。それでも、最後はなんとか動くプロトタイプを作り上げて、チームで開発できるところまでこぎつけることができたと思っています。

振り返って

2ヶ月のシリコンバレーでの生活は、良くも悪くもスタートアップ感満載で、本場の空気を感じるにはとても良い機会になりました。ここに書けなかったことも含め、日本にいてはあり得ない出会いがあり、新しい環境で日夜働き、経験を積むことができました。

日本に帰ってから、シリコンバレーとのスタートアップ事情や市場の違いを(なんとなくにしろ)考えることも増えました。シリコンバレーのスタートアップを盲信することもなくなり、そういう視野が少しでも広がったのはこの体験あってこそだと思っています。

もちろん現地では、自分の未熟さや言語の壁に悔しい思いをしましたし、エンジニアという役割を広げて、高橋さんやAppSociallyから顧客開発やグロースハックについてもっと学べるところがあったのではとも思います。

引き続きシリコンバレーに淡い憧れを抱きつつ、まずは自分がやれることを日本で精一杯やって実績を作っていきたい、という気持ちを強く持ちました。英語の勉強にも一層身を入れていきたいです。

最後にはなりますが、こうした機会を与えてくれたAppSociallyの皆さんと今勤めている会社には本当に感謝しています。これからも引き続きよろしくお願いいたします。

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