ビールをやめれば痛風にはならない?
痛風の本当の原因と予防対策
「今日もお疲れ様でした!」とビールを片手にグイっと飲む瞬間は至福のひと時です。そんなビール好きにとって気になるのは“痛風”ではないでしょうか。痛風は高尿酸血症(血液中の尿酸が高い状態)がもととなり、足の関節に激痛が出現する病気です。ご存知の通り、ビールはこの尿酸のもととなるプリン体を多く含むことから、痛風を引き起こす主犯のように扱われています。しかし、本当に悪いのはビールだけでしょうか?今回はこれまでの研究をもとに、ビールと痛風の関係と予防対策についてお伝えします。
ビールは痛風の発症に影響する
アルコールの摂取が痛風の発症にどの程度影響するかについて、およそ4.7万人の痛風の既往のない男性を対象に12年間の追跡調査を行った研究があります1)。この研究によると、痛風の発症に最も影響するのが、ビールで、次にウイスキーなどの蒸留酒、ワインにいたっては関係が無いとの結果が示されました(図1)。やはりビールは痛風になる危険性が高いようです。ではワインなら大丈夫という理屈になりますが、ここで注意しておきたいのが飲む量です。同じ研究の解析で、アルコール摂取量が多いほど、痛風になる確率が高くなることがわかっています(図2)。つまり、ビール、ワインいずれのお酒の種類にも関わらず、アルコール摂取量が増えるほど痛風になりやすいことが示されています。


アルコールの量では中瓶0.6本を過ぎたところから徐々に痛風発症リスクが高まることが分かります。
次に、摂取したアルコールが痛風発症にどのような体の仕組みで影響するかをまとめてみました。
アルコールは尿酸を増やす作用がある
アルコールは以下の2つの作用で尿酸(痛風の原因)を増加させます。
(1)体内での尿酸の産生を促進する
(2)腎臓での尿酸の排出を妨げる
つまり、アルコールは尿酸をたくさん作り、そして外に出さない作用で尿酸を増やします。ここにビールは第3の作用として、
(3)尿酸のもととなるプリン体を供給する
ことより、尿酸を増やしやすい環境を作ります。つまり、ビールを控えても、ワインなどのその他のアルコールを多量に摂取することにより、痛風を発症する危険性が高まることを示します。痛風になるのはビールのせいだけでは無いようです。
適度な運動で痛風予防
アルコールの他に、肥満や肉類などの摂取も痛風と関係します。食事や運動の痛風発症への影響を調べるために、2.9万人の男性を対象に7.7年間の追跡調査研究を行った研究があります2)。研究の結果、痛風発症を促進する因子としてアルコールや肉類の摂取、BMIの高値(肥満)があり、逆に痛風発症を抑制する因子として、果物の摂取、適度な運動、ランニング距離が長いこと、が挙げられました(図3)。この抑制因子の中でも適度な運動は、肥満を予防することからも痛風発症予防に効果的とされています3)。

痛風は気になるけれども、やはりビールはやめられない!という方は、運動を一緒することをお勧めします。できれば運動の種類は、歩行などの有酸素運動が効果的です。健康を保ちながらビールを飲む鍵は、ビールに関わらずお酒を適量までに抑えることと適度な運動を行うことにありそうです。
参考文献
1. Choi HK, Atkinson K, Karlson EW, Willett W, Curhan G. Alcohol intake and risk of incident gout in men: a prospective study. Lancet 2004;363:1277–81.
2. Williams PT. Effects of diet , physical activity and performance , and body weight on incident gout in ostensibly healthy, vigorously active men. Am J Clin Nutr 2008:1480–1487.
3.日本痛風・核酸代謝学会ガイドライン改訂委員会.高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(第2版).2010: 110–112.
