「大企業からベンチャー転職は簡単だが逆は無理」はウソ

就職を考える際に、いわゆる伝統的な大企業に行こうか、スタートアップや新興成長企業・ベンチャー企業に行こうか迷っているという話は最近ではよくある話かと思います。

その際に、「やっぱり大企業に決まっているでしょ」という派の人たちのロジックで強いのが、「大企業からベンチャーなんていつでも行けるし、逆は無理だし」という話だったりします。

これをあまり頭を使わずに聞くと「ふむふむ、そうか。じゃあやっぱり大企業かな。親も喜ぶし」みたいな妙な納得感を誘う話なのですが、本当に真実だろうか?と考えてみた方が良いと思います。

大企業からベンチャーに転職するのは本当に簡単なのか?

まず、大企業からベンチャー企業に転職するのは簡単というのは本当でしょうか?1社目大企業に行った20代・30代の方々の転職相談などに乗っていると気づくのは、大企業からのベンチャー転職は相当に難しいことだなということだったりします。

ここで言う大企業を日本の伝統的大企業と仮定すると、まずそもそも周りにベンチャーに転職するような人は殆どいません。情報も殆ど入ってきません。仕事の仕方やスピード感も全く違いますし、話す言葉さえも違うかもしれません。そんな世界に飛び込むのはかなり勇気がいることですし、家族がいたりすると反対に合うこともあるでしょう。(意外と盲点なのが配偶者の両親の反対です)

そもそも、ベンチャー企業側も大企業だけでしか働いたことがない人を採用するのはカルチャーフィットという観点でリスクがあります。スタートアップ初期の頃は経営者側もウブで、「一流大企業の人がうちに来てくれるなんて!うちもすごいじゃん」という無駄なテンションで採用してしまうこともあるにはあります。しかし、経験を積んでいく過程で、一流大企業からの転職組が思ったほどパフォーマンスが高くなかったり、カルチャーフィットしなくて苦労する経験をして、やがて手放しで大企業からの転職者を歓迎することはなくなります。

とはいえ、「今の有名ベンチャー企業の幹部陣や活躍する中途社員を見ていると大企業出身の人が多いじゃないですか、だから私も大企業にまず行きます」という人もいるでしょう。そこで大企業に行くんだと決める前に、なぜ有名ベンチャーの幹部陣が大企業出身が多いのかをヒストリカルに分析して考えてみる必要があります。

そもそも、日本のインターネットベンチャーを中心とする新興企業(起業家が牽引して短いスパンで成長し、上場するような企業)が生まれてきたのは、2000年前後が発端です。当時、サイバーエージェントやヤフーや楽天などみんな数百人以下の会社でした。たとえば、まだ社員30人しかいなかったサイバーエージェントにとって、そこから500人-1000人規模になろうとしたらどこから人を採用するでしょうか?育成を考えたり、そもそも無名の会社では良い人が採りにくい新卒市場では採用数に限度がありますし、中途採用で増やしていくことになるでしょう。その際に、どの企業から人を連れてくるかといったら、リクルートやコンサルティングファームなど比較的流動性が高い会社がメインになるでしょうが、それだけでは足りず、日本の伝統的な大企業、銀行や証券会社、広告代理店、メーカー、百貨店などそうした大企業から人を引っ張ってくるしかなかったわけです。

今この2015年に、同じように30人規模のスタートアップがあったときに、同じように銀行や証券会社、メーカー、百貨店から採用するでしょうか?そうした大企業よりも、まずメガベンチャーと言われるようになったサイバーエージェントや楽天、グリー、DeNAといった会社から人を採用したいと思うでしょうし、実際にそういった採用をしているスタートアップは多いです。

つまり、15年前のネットベンチャー黎明期の転職市場と今の状況を混同して、今でも伝統的大企業からスタートアップに行きやすいんだと思っているとしたら大きな誤解ではないでしょうか、という話です。

ベンチャーから大手には本当にいけないの?

ベンチャーから大企業に行くのは無理という話も、最近はそうでもないなと思うところでして、事例ベースでいくつも知っています。

背景としては、大企業もネットビジネス対応、デジタルマーケティング対応をしないといけないという市場の変化や、新卒市場において優秀層が新卒でベンチャーに行くセグメントが一定量を超えて、無視できない人数になってきていることもあると思います。

第二新卒や転職市場において、1社目ベンチャーだった若手をリクルートやネット系大手企業が採用しようという動きもありますし、実際に前職が零細ベンチャーだろうが、2社目で1000人以上の大手に転職できている例は実例として増えてきています。

実際に会ったことがある経歴としては、新卒で20名規模のベンチャー→200名規模のベンチャー→外資戦略コンサル、新卒で50名規模のベンチャー→2000名規模のIT上場企業、新卒で200名規模のベンチャー→1万人規模の上場大企業、新卒で50名のベンチャー→外資戦略コンサルなどの例もあります。

まとめると、「大企業からベンチャーには転職できるけど逆は無理」という話をしたり顔でしている人がいたら、それって本当ですか?と聞いてほしいです。そして、もし新卒で大企業に入って転職したことがない人が、同様の内容の発言をしていたら、「大企業からベンチャーに簡単に転職できると言うあなたは、なぜベンチャーに転職しないのですか?」と聞いてほしいです。きっと、その人は、転職しない理由をすらすらと挙げることができるでしょう。それを見たら、「あ、大企業からベンチャーに転職するのって難しいんだな」と気づけるんじゃないでしょうか。

東洋経済オンラインで経営共創基盤の安井さんという方のコラムでも、「大手からベンチャーは転職できるけど、逆は無理」という話が本当なのか?という点が論じられているので是非併せて読んでみてほしいと思います。

最後に。私はベンチャー企業が好きですし、スタートアップやベンチャーが新しい事業を起こし、産業構造を変えて、新しい産業を創ることにつながり、社会が良い方向に革新され続けられるようになればいいなと思っています。

もちろん、就職は人それぞれの意思決定なので、ベンチャーやスタートアップに向かない人もいると思いますし、まず大手に行った方が良い人も多いと思っています。ただ、世の中の大多数の意見として、誰でも彼でも「まず大手に行くべし」という圧力が強すぎるのはもったいないことだなと思います。最初からスタートアップやベンチャーで挑戦して、めきめき活躍するかもしれない事業家・起業家タイプのポテンシャルの芽を摘んでしまう可能性があるからです。

そんな想いもあり、本当はスタートアップやベンチャーで働きたいけど、まずは大手企業へと考えて、挑戦心を失うリスクを知らずのうちに取っている若者をこれ以上増やしたくないなという気持ちで書きました。

一人でも多くの勇敢な選択の後押しにでもなればうれしいです。

以下追記(2017.03.10)

大学生・大学院生の読者の方で、上記考えが本当なのか?とか疑問に思ったり、または共感していただけたなら、是非Goodfindを使ってみてください。

社会人の方でまさにベンチャーへの転職を考えていてこの記事を見つけた方は、ベンチャー転職・スタートアップ転職に特化したエージェントサービスGoodfind Careerに相談してみていただけるとうれしいです。

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