サンフランシスコに引っ越すときに知っておくと良いこと

2017–12–13 JST になりました.mixi の OB/OG の方たちによる ex-mixi Advent Calendar 2017 の13日目を担当します.この記事では,日本からサンフランシスコに引っ越すことになったときに,どういうことを知っておくと良いかを解説します.あくまでも筆者個人の経験を通して得たものなので,すべてがこの通りにすればよいと言うものではありません.また筆者が移住したのは 2016 年なので,制度や仕組みが変わったりしている可能性もあるのでご留意ください.しかし,どなたかの参考になれが幸いです.

自己紹介

mixi には,2010年から2013年まで在籍していました.たんぽぽグループ解析チームの一員として,Hadoop/Hiveなどを利用した大規模データ解析基盤の構築やデータ分析などデータなにがし全般を担当してました.今や日本のウェブ業界においてもデータサイエンスやデータドリブンといった言葉も一般的になった今日ですが,当時その立ち上げのフェーズに関われたのはとてもエキサイティングでした.

現在は,サンフランシスコで machine learning engineer として働いています. そのようなキャリアが現在築けているのも,優秀で尊敬できる同僚たちと mixi で働けた経験に寄るところも大きいと思います.実際 ex-mixi の方たちの中には,その後サンフランシスコやシアトルなどの西海岸で働いている方たちもいます.そういう方たちが身近にいることで,自分のキャリアの可能性を信じてチャレンジし続けることが重要なんだと考えることができています.

日本出国前にやること

まず海外生活の前に日本でやっておかなければならないこと,やっておいた方が良いことを解説します.

海外に転居するときに,日本の会社の駐在員で行くケースとアメリカの会社に籍をおくケースがあると思います. 駐在員で行く場合は,会社がいろいろサポートしてくれるでしょうし,健康保険などの悩みも少ないと思います. 筆者はアメリカ現地法人の採用のケースなので,少しハードなそちらのケースを前提に説明します.

住民票

海外に転居をするとき,住民票を抜くかどうかが一つ大きな判断です.

  • 抜くことのメリット
  • 住民税を払う必要がない
  • 国民健康保険料を払う必要がない
  • 抜くことのデメリット
  • 国民健康保険から脱退するので日本での医療費が10割負担になる

結婚している場合は,本人の住民票を抜いて,配偶者の住民票は配偶者の実家に移しておくなどの組み合わせも考えられます.

国民年金

日本の住民票を抜いて海外に転居するとき,国民年金は任意で加入できます.1年分の一括払いをすると少しだけお得です.

日本の銀行口座

  • 国際キャッシュカードの発行
  • メガバンクの口座の開設
  • 海外送受金のためのマイナンバーの登録

多くの場合,アメリカに移住したときドルによる資産がありません. そういう自体に備えて,アメリカでも日本の口座のお金をおろせるようにしておくのも一つの手です. 住信SBI や新生銀行などは国際キャッシュカード対応ができます. 残念ながらメガバンクは最近国際キャッシュカードの発行をやめてしまったようです.

ここで気をつけたいのは,住信SBI や新生銀行は利用する顧客の住所が日本国内のみであると規約で定めています. 新生銀行に,海外に引っ越すので国際キャッシュカード発行のために口座を申請したいと,窓口で正直に言うと丁重にことわられます. また三菱UFJ銀行は海外居住も認めているので,海外から送金するケールを担保するためにも,ひとつ口座を作っておくことをおすすめします. どの銀行が海外居住も認めているかを調べてみると良いでしょう.

あわせて,ドルを円に変えたいというようなケースがあります. 日本の自分の口座にアメリカから送金する場合は,たとえ海外の自分の口座からといえどもマイナンバーがないと送金できません. 日本の住民票を抜いてアメリカに引っ越す場合は,マイナンバーを返納しないといけません.必要な銀行の手続きはマイナンバーがあるうちにやっておきましょう.

金融資産

多くの証券会社は海外居住者の利用を認めてません. 証券会社によっては,口座の解約を進められるようです. 基本的には株や投資信託は全解約する必要があります.また確定拠出年金は日本に居住する人を対象としているので,拠出することができなくなります.

契約の変更ができない代わりに口座を維持できるようなケースも有るようなので,契約している証券会社や保険会社などに問い合わせましょう.

日本のマイナンバー

日本の住民票を抜くようであれば,マイナンバーを返納する必要があります. 上記の通り,マイナンバーが必要な手続きは返納前に全て行いましょう.帰国した際には,同じ番号が再度使えるようになるようです.

確定申告

会計年度の途中でアメリカに引っ越したとき,初年度は日本の確定申告をする必要があります. 海外から確定申告をする方法は,主につぎの2つだと思います.

  1. 海外からでも郵送で申告できる体制を準備
  2. 親類が代理申告できるように申請

なお,アメリカでも確定申告を行わないといけません. その際に,アメリカでの収入と日本の収入の両方を提示しないといけません. 日本の源泉徴収票などのコピーは,あらかじめとっておくのがよいでしょう.

ちなみに住民票を抜かなかった場合は,確定申告をしに日本に帰る必要があります.

日本の住民税

1/1 時点で日本に住民票がある場合は,翌年度の住民税が発生してしまいます. したがって,12/31 までに出国できる場合は出国しましょう.

国際免許証と無事故証明書の取得

国際免許証と無事故証明書があるからといって,アメリカでの運転免許が無試験で取得できるというわけではないですが,あれば便利なので取得しておくことをおすすめします.

国際免許証は身分証明の補助としても利用できます. たとえば,Citibank の口座開設のときに,その時点で私は Social Security Number を持っていなかったので,パスポートと国際免許証で身分証明ができ口座開設ができました.

無事故証明書は英文で発行できます. アメリカで車を取得することを検討するのであれば,自動車保険に加入するときに資料として利用できるかもしれません.

引っ越し

アメリカへの引っ越し利用できる日本の引っ越し業者は,だいたいつぎの2社です.

  1. ヤマト
  2. 日通

日通はサポート内容が確かに良いですが高いです.ヤマトはプランも豊富なので,ヤマトが個人的におすすめです.

日通は日本での梱包からアメリカでの開封までやるというプランしか基本的にないようです. 引っ越しをするにあたって,日本で家具を処分してアメリカで買い直すというケースもあるかと思います. この場合,新居で家具が揃ってない状態で,すべて開封されてしまうというリスクがあります. その点ヤマトは,新居側での開封などを行うかなどのプランを柔軟に組めます. 見積もりは無料で行ってくれるので,頼んでみると良いと思います.

ヤマトのもう一つの利点は,サンフランシスコで荷物を1ヶ月無料でプールしておいてくれることです. アメリカでの新居がすぐに決まらないケースもあります. 日通はプールするのに最初からお金がかかるので,その点でもヤマトは優れています.

船便での荷物の到着には,税関の荷物検査も含めて 45 日程度です. 先に必要なものは航空便で送るなどできますが,当然料金が高くなります. はっきりいうと,家具などはアメリカで新たに買うのが安上がりです.

引っ越し時点で当然新居の住所が決まってないケースもあります. そのようなときは,ひとまず会社の住所を手続き上の住所にして,新居の住所が決まり次第引っ越し業者に連絡するということもできます.

アメリカでのクレジットカードの発行

アメリカではクレジットヒストリーがないと,新しくクレジットカードを発行するのが難しいです. JAL USA Card, ANA Card USA はアメリカ発行のクレジットカードを移住する前に申請できます.

利用金額に応じてマイルが溜まるので,たとえば家賃 $3,000 の部屋をクレジットカード払いで行うと,毎月 3,000 マイルたまります. つまり12ヶ月で 36,000 マイルが貯まります. JAL のケースだと,日本とサンフランシスコ間の往復チケットが 50,000 マイル(2017年12月時点)で交換できます. したがって,その他生活費をクレジットカードで支払うようにすると1年で1往復のチケットに交換できます.

駐在員で滞在される方は,会社から福利厚生として日本に帰省するための往復便が支給されると思います.しかしアメリカ現地企業に採用された場合は,そのような福利厚生がないので如何にお金を節約するかのハックが重要です.

Amazon.co.jp の海外配送

Amazon.co.jp でも海外への配送ができます. 東南アジア向けの海外配送と異なり,北米への配送は配送料が掛かってしまいますが,どうしてもほしい物があるときは海外配送もひとつの手です.もちろん物によりますが,早いと発注から1週間も掛からずに荷物を受け取ることができます.

サンフランシスコに引っ越したらやること

アメリカに引っ越したらやることを解説します.

携帯電話の契約

家の契約などに電話番号が必要になるので,アメリカに来たら まず携帯電話を契約 しましょう. キャリアによっては,後述する Social Security Number (以下 SSN)がないと契約できないというケースもあるらしいです. またクレジットヒストリーがない場合は,プリペイド方式で払います.

Social Security Number: SSN

SSN がないと給与の受取ができないケースもあるので,SSN も真っ先に申請しましょう. 近くの Social Security Office に行けば,Social Security Number の申請を行えます. 発行されて郵送されるまでには,4週間から3ヶ月掛かるケースもあります. 発行までに掛かる時間は,Social Security Office に依存するところもあるようです. 話によると,申請に行った翌日には申請した Social Security Office に行けば SSN を教えてくれるという話も聞きました. サンフランシスコ市内の例で言うと,チャイナタウンにある Social Security Office は郵送まで比較的早いようです.

SSN がないと給与の振り込みが基本的にできませんが,会社に給与を小切手で発行してもらうことで SSN がなくても給与を受け取れるという話を聞いたことがあります. 会社の経理の人が経験したことない,あるいは知らない場合は対応してくれないということもありますが,とりあえず会社の経理の人に相談してみるとよいでしょう.

銀行口座の開設

賃貸の契約時の支払いは Cashiers Check で支払うケースが多いようです. Cashiers Check は支払う金額分が銀行口座にないと発行できない小切手です. つまり,賃貸の契約までに銀行口座と支払いに必要な分の金額を用意しておく必要があります.

銀行口座の契約時に気をつけないといけないことは,支店によって口座開設に SSN がないと対応してくれないというところがあります. 私は Citibank の口座を開設しましたが,245 Market St, San Francisco, CA 94105 の支店は SSN がなくてもパスポートと国際免許証で口座開設ができました. 一方,99 Post St, San Francisco, CA 94104 の支店は SSN がないと口座は開設できないとあしらわれました.

また合わせて銀行のデビットカードも発行しておくとよいでしょう.

日本からの送金

口座を開設しても,ドル資産がないという場合があります. そういうときは,日本の口座からアメリカの口座に送金することになります. 日本の銀行は海外送金のサービスが残念過ぎるので,送金に困ることもあります. そういうときは,Transferwise などの送金サービスを利用するのも良いでしょう.

また「日本出国前にやっておくこと」でも書きましたが,日本の銀行にマイナンバーを忘れずに届け出て,海外送金に対応できるようにしておきましょう.

アメリカの健康保険

ご存じかと思いますが,アメリカは国民皆保険ではありません. また日本と違うのは,契約している保険によって保険対象の系列病院が限られます. 家選びをする前に,住みたい賃貸物件の近くにどういう病院があるのかはおさえておきましょう.

筆者の会社では,Kaiser と Anthem という保険会社が選択できました. Kaiser の保険に加入すれば,Kaiser 系の病院でしか保険が適用できません. Anthem の保険に加入すれば,Anthem 系の病院でしか保険が適用できません. どちらの保険会社が自分にあうのかを検討する必要があります.

Kaiser と Anthem の違いについて簡単に説明します. Kaiser はいわゆる総合病院型です.サンフランシスコ市内であれば,たとえば University of California San Francisco の病院が Kaiser 系です. 一方,Anthem は診療科目によって病院を選べたり,かかりつけ医を選べたりします.

また保険にもプランが別れており,掛け金によって保険の適応のされ方が変わります. Network, Copay, Coinsurance, Deductible, Out-of-pocket maximum についての解説は,一読すると良いでしょう.

筆者は Kaiser 系の保険に加入しています. 理由としては,診療科目によって行く病院を調べたりするのが面倒くさいので,総合病院で一括で済ませられるようにしたかったためです. 住んでいる場所から Kaiser 系の病院まで歩けるのもポイントでした. 加入している保険が適応できる病院がアクセスしやすい場所にあるかどうかは重要だと思います.

賃貸契約

サンフランシスコでの家の探し方の解説をします.

家賃の変動

日本と違って家賃の価格が日々変動します. 契約を結んだタイミングで,契約する期間に応じて値段が決まります.日本のように2年更新で契約するというのではなく,最初にどれぐらいの期間入居するのか自分で決める必要があります.値段は短い契約期間の方が家賃が高いのが一般的です.自分が住んでみたいと思う部屋が,日々どういう風に家賃が変動するのか日本にいるときから見ておくと良いでしょう.

賃貸の契約期間

日本では,2年更新で解約したいひと月前に不動産会社に通告するというのが一般的です. しかし,サンフランシスコ(アメリカ全般?)の賃貸契約では,最初に入居する契約期間を決めます. もちろん apartment などによって契約の方針はことなるのですが,契約期間満了前に部屋を出ていきたいというとき,つぎの入居者を自分で見つける必要があります.

たとえば,入居時に 13 ヶ月の契約をしたとします. しかし,8ヶ月目で部屋を出たいというとき,5ヶ月分の契約が残っているのでその期間自分の代わりに入居してくれる人を自分で見つける必要があります.

つぎの入居者を自分で見つける場合のほかには,契約期間満了前に部屋をでるとき一月分の家賃を払うペナルティを設ける契約などもあります.

家の探し方

家の探し方,契約の仕方としては,大きく2つの方法があると思います.

  1. 新規に apartment や condominium を契約
  2. 契約期間の途中で出ていきたい人を見つけて,その契約を引き継ぐ

新規契約に apartment や condominium を見つけるときは,つぎのような不動産検索サイトが役に立ちます.

Trulia では,Crime Heatmap や家の近くの交通量などを可視化してくれます. 家の付近の環境がどういうものか判断するのに非常に役立ちます. また不動産検索サイトによって情報の見やすさが異なるので,いろいろなサイトを見比べてみるとよいでしょう.

もうひとつの,契約期間の途中で出ていきたい人を見つけて,その契約を引き継ぐ場合では,サンフランシスコでは craigslist というサイトで行われるのが一般的です. ルームメイトなども見つけられるかもしれません.筆者はあまり詳しくないので,まわりの人に聞いてみてください.

契約時のデポジット

クレジットヒストリーがない場合は,契約時のデポジットを多めに取られます.たとえば,家賃の2ヶ月分前もって払う場合などがあります. もちろん住む部屋の賃料によりますが,筆者の契約時は $8,000 ぐらい必要でした. したがって,ドルの準備はかなり余裕をもって行っておきましょう.

入居前までにやること

  1. 電気ガス水道の契約
  2. 賃貸の保険

電気ガス水道の契約

入居時の条件で電気ガス水道の契約を済ませる必要があります. サンフランシスコでは Pacific Gas and Electric Company (PG&E) と電気ガス水道の契約を行います.

PG&E と契約をするためには,基本的に住所が必要なので住む場所が決まってからじゃないと申請できません. したがって,入居前は相当バタバタするので気をつけましょう.

賃貸の保険

日本でも賃貸契約したときに,不動産管理会社で火災保険などの契約を行います. それと同じようなことを,入居する前に前もって行います. つまり不動産管理会社などを挟まずに,個人が保険を契約するということです.契約するプランの指定は,apartment であれば指定してくれると思います. 該当するプランを提供している保険会社であれば,大差はないでしょう.

おわりに

日本からサンフランシスコに引っ越すのは結構大変です.不安やわからないことや慣れないことも多いですし,金銭的にも体力的にも精神的にも疲弊します. しかし,世界中の優秀な人材が集まるその場所で働けることは,筆者にとっては大きなチャレンジであり,大きな喜びです.

この記事に記載したことはベストプラクティスでもなく,筆者個人の経験に基いて得られた知見です.ご自身のケースだとどうなるかの確認は,決して怠らないでさい.しかし,これからサンフランシスコで働く方たち,サンフランシスコで働きたいと思っている方たちに,この記事が少しでも参考になれば幸いです.