ブロックチェーンの発明から10年が経つ。これからはユースケースを作っていく時間だ

yuzushioh
9 min readDec 30, 2017

クリスマスにQiitaのアドベントカレンダーを公開する予定が、この記事を読んで急遽内容を変更。結局2017年最後の締めブログになってしまった。

内容は「なんでブロックチェーンは10年経った今も何のユースケースもないの?実は誰もブロックチェーンなんて求めてないんじゃない?」ってお話。詳細な内容はしゅうくんのTweetを引用させていただくのでこちらを一度読んでみてください。

そもそも10年というのは十分な期間なんだろうか?

先ほどのブログのタイトルにもあるように、ビットコインは2008年のリーマンショック後にサトシナカモトという匿名の人物により論文が公開され、2009年の1月から運用が開始された。あと1年で10年が経つわけだが、ブロックチェーンはまだ実用化はされていないし、ブロックチェーンがベースの仮想通貨はバブルかのごとく(おそらくバブル)どんどん高騰している。ひどいことに「仲介者挟むことなく安価に送金ができる」がうりのはずのビットコインの送金手数料は$20周辺をうろうろしているざまだ。

Everyone says the blockchain, the technology underpinning cryptocurrencies such as bitcoin, is going to change EVERYTHING. And yet, after years of tireless effort and billions of dollars invested, nobody has actually come up with a use for the blockchain — besides currency speculation and illegal transactions.

こう言われてしまうのも理解できる。

ブロックチェーンは「インターネットに次ぐ革命を起こすだろう。」と言われことが多い。そして僕自身も(ネット世代でインターネットが出た時は生まれていないが)インターネット並みの影響を社会に与えることになると思っている。ではこのインターネットは発明から10年ほどの期間でで実用化されて、社会を大きく変えただろうか?そんな事はなかったはずだ。

実際、1961年にパケット通信の論文が出てからインターネットが商用化されるまで、約24年もの時間がかかっている。当時と環境が明らかに違うので完全に比較することはできないが、まだインターネットが実用化されるまでにかかった時間の半分も過ぎていない。

ビットコインは使い物にならない

bitcoin is not actually that good a payment system

ビットコインを送金して、確実に受け取るまでには最低でも約10分の時間がかかる。これはどれだけ高い手数料を払っても同じだ。

そもそもビットコインは1秒間にたった7個のトランザクションしかさばけない。これはVisaに比べるとゴミのように見える。さらに送金手数料は$20をうろついていて、銀行で送金するより高い。$5払うのに$20の手数料を払っていたら本末転倒だ。決済システムとしても使い物にならない。

そんな事みんなわかっている。

2017年に入り、仮想通貨への熱が生まれ始め、取引する人が一気に増えた。年の半ばにはICOのブームもあり、ビットコインだけでなくイーサリアムなどの他の通貨でもスケーリングの問題が一層深刻視された。格段に増えたトランザクションをさばききれず、手数料がどんどん上がったり、ネットワーク自体を圧迫しすぎてしまった。

かといって、開発者たちはこれらの問題をまったく軽視していない。ビットコインではトランザクションのサイズを減らすためのSegwitや、マイクロペイメントを高速で行うことができるLightning Networkといった技術が開発がされ、イーサリアムの開発者のヴィタリックも数年かかるかもしれないがスケーリングの問題を解決する。と断言している。

12月に入ってすぐの頃に公開されたLightning Networkをメインネットで利用してる動画を見たときは衝撃を受けた。これまで最低約10分かかっていた送金が一瞬で完了している。たった一年でこの進化だ。

ブロックチェーンはまだ沢山の課題を抱えているが、着実に解決されようとしていっている。

もう少し時間がかかってもいいんじゃないか?

これからはユースケースを作っていく時間だ

「何なのか?」より「何ができるのか?」が大切だと思う

ここからは僕の意見

2017年で流通額や時価総額だけでなく、ビットコインや他の仮想通貨を持っている人口は格段に増えた。これによって沢山の問題(スケーリングやスキャム、バグなど)は生まれたが、確実に前に進んでいる。

しかし、これらの問題がすべて解決されればブロックチェーンや仮想通貨は実用されるのか?それは違う。

2018年は仮想通貨を手にする人を増やすだけでなく、それ自体の使い道、ユースケースも考えていかなければならない。

小さなところから仮想通貨やブロックチェーンを使える環境やサービスを作っていかないといけない。実際一般人が問題なく使えるモバイルウォレットすら今のところ世界に存在しない(僕はCopayユーザーですが、誰でもこれを使えるとは思えない)。本当の0からすべてを作っていかないといけない。

余談ですが最近感動したサービスはyoursCryptoKittiesです。

yoursはMediumのような記事を投稿できるサイトですが、有料の記事の売り上げが全部BCHで入ってきます。(記事を投稿するのに10セントかかる)

CryptoKittiesは最近話題になったイーサリアム上で動くゲームで、猫を育てたり、配合させたり、売ったりするゲームです。

是非使って見てください!

未知なる2つの難題

しかし、ユースケースを作っていく上で乗り越えないといけない大きな二つの難題があると僕は思う(僕の経験の浅さが起因しているかもしれないが)。

  1. ブロックチェーンを使ったプロダクトはネットワーク効果を生みにくい
  2. 分散型の仕組みだけでは単純に10xの改善が見込めない

例えばビットコインで決済ができるUIまで全く同じのメルカリがあって、売る時の手数料が無料だったとする。販売側の利用者は使うかもしれないが、誰もビットコインを持っていないこの世の中で誰がその商品を買うのだろうか?

ただのニワトリタマゴ問題のように見えるが少し違う。沢山の販売者がブロックチェーン版メルカリを利用するからといって、購入者はわざわざビットコインを手に入れてそっちで買おうとはならない感じがする(もしかしたら手に入れるかもしれないが)。もしこれが正しいなら先に仮想通貨を持つ人を増やす必要があり、一筋縄ではない。

またメルカリやUber, Airbnbとサービスを利用していて、そこまで困ることがあるだろうか?手数料が無料だといいのにな〜。くらいしかパッと思いつかない。

でもここはまだ誰も踏み込んだことがない領域で、やってみないとわからない。そもそも無料でこれらと同じサービスが利用できるならそれに越したことはないはずだ。

CEO of GoldmanSachs

ビットコインやイーサリアムのスマートコントラクトなど、ブロックチェーンはこれまでできなかった事を可能にしてくれた。これはインターネットと同じで、インターネットはただの「世界中にすぐに手紙を送れる」便利な物で決してない。今まで存在しなかったものは初めは誰でも疑うし、既存の概念に当てはめようとしてしまう。自分もそうだった。経験にとらわれない斬新な発想をしていきたい。

最後に

僕が実際にブロックチェーン・仮想通貨の業界に身を置くようになったのは半年ちょいほど前のことだ。実際に業界に身を置くと情報の量が圧倒的に違い、半年前とは知識量もわくわく度も桁が違う。

今後これらがどう社会に影響を与えていくかを実際にやりながら見ていけるのが一番楽しみだ。ブロックチェーンが社会をどう変えるかはまだ誰もわからないし、これが良い事なのかもまだわからない。でも可能ならその世界を自分たちで実現して、どうなるのかを実際に見たい。

VitalikのグッとくるTweet

少しでも可能性を上げれるように2018年も頑張っていきたい。

やりたいことができている時がやっぱり1番楽しいなぁ。

普段からお世話になってるみなさん、一緒にここまで来てくれた方々、2017年お疲れ様でした。

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yuzushioh

Interested in cryptocurrency, blockchain, and smart contract. iOS developer