入学の希望あふれる君たちへ〜高校と大学で違うこと

大学に入学が決まったみなさん,おめでとう!

残念ながら希望がかなわなかった人は苦しいだろうけど,この挫折は,一所懸命に取り組み続ければ,かならず未来につながるので焦ることはないという言葉を贈りたい。(私も,うん十年前に大学受験で第1志望がかなわず,大きな回り道をすることになったが,一所懸命に頑張っていたら何十年も経て天職に就けた。ただし最初思い描いていた夢とは違ったけど)

さて,今日は高校と大学の大きな違いについてお話しする。それは結論を言うと,「先生から言われたことを教わる」から「自ら学ぶ」「研究する」に大きく姿勢を変える必要があるということだ。

まず,高校までだと時間割は基本的にはみんな同じように決まっていることだろう。もちろん,理系コース,文系コースを選んだり,美術とか音楽とかの選択科目を選んだり,多少の選択はあったと思う。でも時間割のほとんどは,みんなが必ず習う科目(必修科目)で選択の余地はない。

ところが大学では,学生が一人一人時間割を自分で決められて,学期の初めにどの科目を受けるか,履修申告をする。もちろん,みんなが履修しなければならない必修科目はある。でも必修科目と同じくらい,あるいはそれ以上に,選択科目がたくさん用意されている。

学生は,シラバスという,授業科目のカタログを事前に読んで,興味ある授業を選択していく。大学や学部によっては学期の最初に2週間程度お試し受講ができる制度がある。私の所属する北九州市立大学国際環境工学部にはその制度はある。ちなみに文系の北方キャンパスの学部にはこの制度はなくて,学期前に授業科目を選ばなくてはならない。

授業開始前にシラバスを読むことは,とても大事だ。授業の内容について,詳細に渡りていねいに説明している。専門用語で説明されていてわからない授業科目もあるかもしれない。でもインターネット全盛の現代ならば,キーワード検索すれば専門用語がどのような意味なのかを知ることができる。授業について,想像力を膨らましてみよう!また1年生の科目だけでなく,上級生の科目についても調べていこう。気になる専門用語は事前に調べよう。紹介されている教科書や参考書も Amazon や Google で調べてみよう。事前にこのことをするだけで,知的好奇心のスイッチが入るだろう。

そもそも何でその大学に入ろうと思ったんだろうね。偏差値で決めましたとか,得意科目で決めましたとか,そういう人もいるだろうね。でも何かしら,その大学や学部で教える内容に興味があったから選んだんじゃないかな。なりたい自分がそこにあると思ったんじゃないかな。情報系の学科を志望したんだったら,たとえばゲームを作れるようになりたいとか,そんな風に思ったんじゃないのかな。受験勉強で忘れてしまったかもしれないけど,もう一度その初心を思い出そう。初心に帰ってシラバスを読んでみたら,大学で学ぶことに興味を持つんじゃないかな。

高校と大学の違い,2つ目の話。大学では専門的な内容が多くなる。理工系の場合には,座学ではない実験・演習科目がとても多くなり重視されている。たとえば,数学や物理の時間に微分積分や力学・電気について公式などを暗記したかもしれない。大学では,微分積分で計算をして力学や電磁気の現象を説明するような感じで統合していく。それは機械系や電子・情報系の学科だったら,シミュレーションをしていき,実際に機械や電子回路,プログラムを組んで,動く「もの」をつくったりする。

理工系の実験・演習科目は座学にはない独特の楽しさがある。今まで単にうわべの知識でしかなかったことが,実際に目に見える「もの」が動くので,より深く理解できる。そして,手を動かしたりコンピュータを駆使して計算する能力だったり,実験機材を操作するスキル,「もの」などの成果物を作るスキルが身につく。おそらく他の分野でも,そのような醍醐味が違う形で存在するだろう。

高校と大学の違い,3つ目の話。理工系の多くの場合,4年生になると研究室に配属される。文系ではゼミの場合が多いだろう。理工系では4年生に卒業制作を行う場合もあるが,卒業研究の場合も多い。私の所属する学科の場合は4年生に卒業研究を行う。

研究というのが馴染みがないかもしれない。今までの経験だと夏休みの自由研究くらいだろう。研究の大事なことの1つは,教科書に書かれていないような未知の(そしてもしかすると世界初の)ことについて,科学的なアプローチを使って詳細を明らかにすることだ。未知の問題を発見し解決することは「これをやれば必ずできる」という方法が存在しない。ただし,それぞれの専門分野で編み出された定番となるアプローチはある。大学の先生の1つの顔は教育者としての顔だが,もう1つが研究者としての顔,すなわち,このような「未知の問題を発見し解決する」ことについての専門家だ。

君たちの中には,将来研究者になる人もいるだろう。理工系だとエンジニアになるという人も多いだろう。君たちは将来,何かしらの仕事に就くことになる。その仕事には,いつも決まった作業=ルーチンワークを行うということもあるかもしれないが,「未知の問題を発見し解決する」ことが求められることもしばしばある。コンピュータや人工知能が人間を凌駕しうる時代には,この「未知の問題を発見し解決する」能力を身につけることが,とても大事なことだ。

そういう話を聞くと「先生の言われたことを教わる」から「自ら学ぶ」「研究する」に大きく姿勢を変えたくなるだろう。大学は,そんな君たちを大歓迎する。

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