【書評】情報革命の可能性を引き受けた思想 フロリディ著『第四の革命』

ビジネス書のように読みやすく、それでいて哲学的に深い本です。

この本で最も重要な概念は、副題にも入っている「インフォスフィア(情報圏)」です。

著者は、「インフォスフィア(情報圏)とは我々を取り巻く情報の総体である」「現実とはインフォスフィアの別名である」と述べます。ヴィトゲンシュタイン風に言えば、「世界は情報の総体である」というような世界観です。そこから、倫理や政治や経済や環境についての様々な議論を展開していきます。しかし、議論は発散することなく、前半で提示された基盤の上に、一章ずつ積み上げられていきます。

この本の前半(「哲学編」と呼ぶことにします)では、「情報革命によって、我々人類の自己イメージが書き換えられつつある」という大きな問題が論じられます。「我々にとって歴史とは何か」「我々が生きる環境とはどのようなものか」「我々とは何者か」といった人類にとって重要な哲学的問題について、情報革命は新たな回答を求めており、著者はそれに応えようとしているのです。

そして後半(「倫理編」と呼ぶことにします)では、より実戦的・政治的な問題が論じられます。「我々はどのようにプライバシーを概念化すべきか」「我々は知性をどのように捉えるべきか」「我々は技術をどのように用いるべきか」「我々は政治の概念をどのように更新すべきか」「我々は環境に対してどのような責任を負っており、何ができるか」といった倫理的な問題が論じられます。

そのような内容の本ではありますが、この本は、万人に開かれたビジネス書のような文体で書かれています。ICT、クラウド、IoT、ビッグデータ、AIなどのキーワードや事例が無数に登場することから、読者はクリス・アンダーセンやニコラス・カーの本を連想するかもしれません。

この本は、著者のルチアーノ・フロリディ教授が、一人で様々な問題について縦横無尽に語っている本です。そして、読みやすいビジネス書のような文体で書かれています。したがって、フロリディ思想の入門として最適な一冊でしょう。この翻訳によって、ルチアーノ・フロリディ教授の読者が日本にも増えることを期待します。