東京と福岡の地図を重ねることから見えてきた共通性と、福岡空港の「異物」性


「お台場から東京を眺めるように、博多湾から福岡を眺めてみたい」と思い立ち、福岡の地図を180度回転して、博多湾と東京湾が重ねてみました。それを眺めてみると、いろいろな想像が湧いてきました。

背景

福岡出身・東京在住の私が、福岡の地図を眺めながら、ふと「この地図の向きを変えたら、東京に似てるんじゃないか」と思いついたのがきっかけです。

先行研究

(知りません。ご指摘頂けると助かります)

手法と手順

  • グーグルマップで東京の地図福岡の地図を開きます。
  • 同縮尺にて、博多湾と東京湾、天神と銀座が重なるように二つのマップの中心点を調整します。
  • それぞれの画面をキャプチャします。
  • 福岡の地図を180度回転します。

下図がその画像です:

東京都心の地図と、180度回転した福岡の地図

結果

とくに共通性を見いだせるのは:

  • 銀座と天神(消費の中心)
  • 皇居と大濠公園(旧城郭)
  • 代々木競技場と博多の森球技場(スポーツ・レクリエーション)
  • お台場とアイランドシティ(人工島)

いずれも互いに近いところにあります。

また、政治の拠点について考えてみると、永田町・霞ヶ関と福岡市役所は、いずれも都心の最中心部にあります。一方、東京都庁舎と福岡県庁は、少し外れたところにあり、興味深いです。なぜ近くに無いのかなと。

東京と福岡の地図(グーグルマップ)を重ねて、地名やランドマーク名の注釈を入れた図。

地図を重ねることから前述のような共通性が見えてくるのは、ある程度は当然です。どちらも「中核都市」として共通の都市機能を持っていますから、抽象的な位置関係(トポロジー)のレベルでは共通点があって当然でしょう。スケール感を問わない観点での共通性は、「都市のイメージ」における共通性とも呼べるでしょう。こういう意味で「東京都福岡は似ている」という感覚なら、以前からありました。

今回の新たな発見としては、具体的な配置(ジオメトリー)レベルでも、存外に似ていたということです。つまり、「都市のスケール感」も近いと思いました。もちろん「東京」のほうが全体としては大きな都市なのですが、今回のように都心部に注目すれば、どちらも「同じような広さのなかに収まっている」と感じられました。

福岡空港という「異物」

両都市の差異としては、福岡空港に注目せざるを得ません。圧倒的なスケール、圧倒的な存在感です。福岡空港は、きっと「福岡という都市のイメージ」の中で大きな位置を占めているはずです。それについて少し考えてみます。

人々は福岡空港について語るとき、「福岡は空港から都心まで近くて便利」というメリットの言葉を語りがちです。一方で、「負の面」はあまり語りません。しかし、確かに「負の面」も存在するのです:

福岡空港は旧日本軍による接収、米軍による再接収により建設された。昭和 47 年、米軍基地が日本返還となる際、当協議会は土地の引渡しを求めたが、「福岡に空港がなければ、今後福岡都市圏の発展はない」と説得され、住民は空港と共存共栄を図ることに至った。
一方、国に対して航空機騒音など様々な問題について対策を講じるなど求めてきたところだが、未だ道半ばである。今後とも、周辺環境対策については、原点に立ち返って、空港を設置管理する国が責任をもって対応すべきである。
〔出典:第3回福岡空港運営検討協議会 関係者意見聴取第1回目 議事要旨

福岡空港は「矛盾を抱えつつ発展してきた都市のイメージ」を象徴しているのかもしれません。

また、もしかしたら福岡も、沖縄のように「米軍基地の街」になっていたかもしれません。その想像力は、福岡市民にとって、沖縄問題を身近に感じる契機になるかもしれません。

〔関連:12月8日、真珠湾攻撃の日、アメリカと敗戦について未来志向で考える

今後の検討課題

  1. なぜ福岡の中心部には空港があり、東京にはないのでしょうか? 重なった地図で見れば、福岡空港の位置に、東京では国立競技場があります。そこに何らかの意味を見出すことはできるでしょうか?
  2. 『都市のイメージ』のフレームワークでは「パス」「エッジ」「ディストリクト」「ノード」「ランドマーク」という5つの概念を用いて分析します。今回は「パス」の分析をしませんでした。もし「パス」の観点を掘り下げると、何が見えてくるでしょうか?
  3. 港から発展してきた都市は、こういう形をとりやすいのかもしれません。有名な『アースダイバー』も、海岸線と洪積層/沖積層に注目する理論でした。このような観点でほかの都市も分析してみると、どのような共通点や差異が見えてくるでしょうか?

情報建築家からは以上です。