「若い読者のための世界史」(エルンスト H. ゴンブリッチ)

美術史家エルンスト H. ゴンブリッチによる世界史の本。彼の処女作。

著者を案内人に、読者は原始から現代までを鳥のように俯瞰して旅する。この世界で起こってきたことが、多くのフィクションよりも興味深く驚きに充ちている。
古代ローマの繁栄、ルネサンスの繁栄、基本的人権の獲得、その偉大なる発展の途中で、先人達が同じような失敗と悲劇を繰り返してきたことに改めて気づかされる。
歴史を学ぶのは先人の成功から学び、同じ過ちを繰り返さないためである。しかし、そんなことはお構いなしに、人類の営みはただただ面白い。

この本をゴンブリッチは25歳のときに書いたという事実に驚く。毎日1章ずつ書き、それをその後彼の奥さんになる女性に読み聞かせたという。二人称へのやさしい、思いやりのこもった語り口にも納得。