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National Park Volunteer Interview in Canadian Rockies
3000m級の山々の連なる国立公園でレンジャーボランティア
国立公園ボランティア留学インタビュー
今年10月に米国カリフォルニア州で発生した大規模な山火事はアメリカ史上でも例を見ない甚大な被害を起こした事でも話題となったが、2017年の北米の夏は雨不足と乾燥からWildfireという単語が毎日のニュースから絶える事がなく、風向きによっては空が煙で覆われる事も珍しくなかった。
もちろん自然発火も多いのだが、山火事の約5割から4割の原因が人為的なものだと言われており、それもタバコやキャンプ場以外での火の不始末であるそうなのだから人間の道徳心とは一体なんなのか深く考えさせられる。人間が原因だとしても、まさか自分が原因で巨大な山火事が発生するという事までは想像しにくいものなのだろう。ふと、日本の夏に増殖する、海岸沿いに無残に捨てられた一度しか使ってないだろうと思われるテントやBBQのゴミを思い出してしまった。その時、その瞬間さえ良ければ良いという人は少なからずともいるのだ。
しかし、世の中は「知らなかった」で済む問題とそうではない問題があり、山火事は間違いなく後者に入る。国立公園のパークレンジャーという仕事は多岐に渡るのだが、自然に対する情熱や熱い想いを内に秘めた肉体派の仕事であり、各地のキャンプ場では自然の中での作法や知識を子供達へ叩き込む、さしずめ自然界のリーダー的存在を担っている。
事前研修が行われるカナダ西海岸の都市バンクーバーからはカナダのロッキー山脈行きのシャトルバスやツアーバスが定期運行が行われているのだが、その実態は山越え約800Km、車で約12時間はかかる道のりである為、週末2、3泊などの旅行で気軽に行ける場所ではない。
その為、バンクーバー空港からとロッキー山脈の麓であるアルバータ州のカルガリーという街まで行き、そこから車で約2時間走るのがツアー観光客の一般的な道のりなのだが、留学生のほとんどはバスツアーに参加し道中の景色を楽しんだり、友達と英会話の練習に励むのが定番だ。長時間、寝食や感動の景色を共感する事によって自然と会話も弾むようになり、お互いの文化の違いにに気付きはじめる。
これでもかと続く道を地図を照らし合わせると、飛行機では味わう事のできない距離感を感じる事ができ、カナダという国の大きさを改めて痛感する事が出来るのも陸地を移動する醍醐味。
あまりに広大な国土の為、国内で時差のあるカナダはロッキー山脈周辺になるとマウンテンタイムなるものが存在し、州境でも何でもないところで時差が発生し時計を変えなければならない。最近のiPhoneを中心としたスマートフォンはGPSを探知し自動的に時間の設定が変わるので便利なのだが、アナログの時計を持っていなければ、時差が変わった事にすら気づかないかもしれないくらいだ。
▼事前の語学研修を終えたら
東南アジアなどの地域で行われている環境保護やボランティア活動はどちらかというと日本人を対象に、通訳やガイドさんと帯同して参加する数週間程度のビジネス的なボランティアや現地の村に体験ホームステイというイメージが強いが、それとは全く対称的に英語圏の先進国カナダで行われるボランティアプログラムは日本人や観光客向けではなく、現地のカナダ人学生やネイティブスピーカーへの参加も推奨しており、この部分がアジアや途上国で行われるボランティアとの決定的な違いである。
「英語」という共通言語のみを使用して、約1ヶ月間、4週間の共同生活をするのは非常に新鮮な体験は、多くの事を考えるキッカケを与えてくれ、自然だけでなく、自分自身と立ち向かう大切な機会であると言って間違いない。
少しでも多くの事を吸収し、不安を減らす為のキーワードは、またしても「英語力」であり、参加前のビデオ英語面接が行われ、その後語学研修先のバンクーバーで再度、英語力のチェックが行われるという徹底ぶりである。こういった環境は少なからずとも良い緊張感を作り上げ、じわじわと英語力を向上させてくれる。普段は使わない登山やアウトドア、環境関係で使う単語のボキャブラリーを増やしながら、週末にはバンクーバー周辺の山をハイキングすれば、体力作りはもちろんストレス発散にも良いだろう。
そして、いよいよ事前の語学研修を終えると、3000メートル級の山々を超え、目的地であるカナダ、ロッキー山脈を中心として国に指定されたバンフ国立公園へと向かう夜行バスに乗り込む事になる。
ターミナルを出発する日の空気感も、このバスの旅路も、しばらく心に焼き付いて離れない事だろう。早く目覚めた目をこすりながら外を見れば「運良く野生の動物が!」なんて事が起こっても全く不思議ではない大自然の中へと進んで行く。
▼5人でいると「何の集団?」と珍しがられる
ボランティアは5人組で同じロッジの男女各部屋に分かれ、共同生活が行われる。国籍制限は定めておらず、ヨーロッパ方面からの学生にも人気のボランティアなのだが、今回インタビューに協力頂いたYuccoさんが参加したチームは、フランス人、中国人、オーストラリア人、そしてYuccoさんを含めた日本人2名の5人組、まさに多国籍軍だ。
食事は自炊の為、スマホのアプリを使い各自の支払いを管理してスーパーでの買い出しをして、毎日あーだこーだと文化の違いや感覚の違いを肌で感じたり、そうかと思えば、1人ネイティブのオーストラリア人の彼女は、まるでトラブルになるのが分かっていたかのように、食事に関してはひとりで作り、自分で計算をして徹底した自己管理をする人もいるようで、小さな社会が面白い。
全体行動が中心の日本であれば、1人でも和を乱す人がいれば非難されるのが当たり前だが、欧米の社会では宗教や食事の好みや哲学など考え方は人それぞれであり、「みんなと違う事」をして<輪>を作らなかったとしても、お互いに敬意を示し協力しあう事が前提であり、決して<和>を乱すという意味ではない。
このボランティアに参加したオーストラリア人の学生は、メルボルン周辺の国立公園でレンジャーとして就職を希望しており、その経験値を積む為、今回のカナダ環境保護ボランティアに参加したとの事だった。彼女の第一言語は「英語」であるのは当然の事だが、<環境保護>という一つのキーワードをもとに世界中から集まった、アジア系4人+ヨーロピアン1人の男女5人組は目立つのか、観光客などから話しかけられる事もしばしばだそうだ。
中でも、好奇心旺盛、東南アジアでのボランティア経験も相まって元気で物怖じしない年長さんのYuccoさんはみんなを引っ張るお姉さん的存在になるわけなのだが、ここで大きく差が出るのが「英語」のスキルの違いではなく、「経験」や「度胸」、そして「好奇心」の大きさの違いだったりする事を目の当たりにする。
当たり前の事だけれども、アメリカ人だって、カナダ人だって、オーストラリア人だって、全員がお喋りで大声で喋るわけではなく、シャイで引っ込み思案な人だっているのだ。これは頭の中では分かっていても、実際に体験しないと理解できない感覚だと私は思う。
“例えるなら、泣き顔を見せた事のない威厳のある父や母の泣く場面を見てしまったかのような、分かっている事ではあるのに、実際に目にすると全く違う感覚が体の中を走る。”
昭和の終わりの日本経済バブル期にかけて海外旅行客が一気に増えた世界遺産のカナダロッキー山脈、そしてバンフ国立公園はカナダをあまり知らなくても親世代で知らない人はあまりいないだろう。宝石のように美しいレイクルイイーズから定期運行するバスでバンフの街に来れば、昔の日本の名残を感じられ、日本人観光客も見かけるが、数十年前とは変わって今はどこもかしこも中国人観光客で溢れている。今と昔では日本と中国の立場が逆転している事をはるか遠く離れたカナダの山間で気付かされる事になる。グローバリズムの波というのは、こんな山奥にまでやってくる。
バンフといえば温泉が有名だと言われるが、日本とは異なり水着着用で男女混合、そしてホットタブのような大きなプールがひとつあるだけで、箱根ユネッサンスのような期待は全く出来ないし脱衣所はびしょびしょなのでサンダルも忘れてはいけない。
熱めの湯が好きな日本人にとっては物足りないくらいが、長めにゆっくりするには丁度良い欧米人向けの温度設定なのだろうか。利用客のタイプは、あからさまな観光客とバキバキに鍛えられた体が特徴の登山やロッククライミングを目的としたアウトドア愛好者にまっぷたつに分かれるのが一目瞭然だ。それでも登山後の温泉なら、水着のホットタブスタイルでも十分に嬉しい。
どこの国に行っても「温泉」と聞いては黙っていられない日本人の血が騒ぐのか、バンフ・ホットスプリングにある小さな売店には日本人のワーキングホリデーの学生達が歴代で働いているようでカフェのキッチン内には日本語の指示書があり、休憩時間には熱心に英語を勉強する様子が垣間見られる。こんな山奥の温泉で素敵な蒸気に囲まれて過ごすワーホリ生活というのも悪くなさそうだ。
▼国立公園内での生活環境
2017年、そして来年2018年も継続的に募集される事となった、バンフ国立公園のパークレンジャー、環境保護ボランティアプログラムは、2017年からレイクルイーズとバンフの2箇所開催となるのだが、レイクルイーズのような静かな観光地に対して、ロッキー山脈のそびえる谷間に広がる村のバンフのボランティアプログラムは高級ホテルやブランド・ショップが立ち並び、観光客の増加から物価高騰が進んだ結果、滞在費用の大幅な変更が行われる事となってしまった。
確かに徒歩圏内で何でも揃うバンフの街での生活に対して、レイクルイーズのボランティアプログラムの生活は更に離れたエリアにあり、自由が効かないがその分大自然の中心にある。
レイクルイーズチームの宿泊施設は長期滞在型共同部屋があり、季節労働者などが長期滞在生活をしている。併設されているホテルにはレストランや小さな酒場もあり、ほとんどのホテルスタッフも一緒に住込みで生活しているので休みの時やBBQをする時などに仲良くなるそうだ。
キッチン施設では買ってきた調味料や食材を各自で分け、洗濯機・乾燥機もあるから、一通りの生活にこまる事はなさそうだ。都市部に比べればWifiは残念なスピードだけれども、自然の中に身を長くおけばおくほど感覚も研ぎ澄まされてくる。
▼世界遺産で行われるフィールドワーク
8月は4週間、ロッキー山脈の国立公園内に位置するレイク・ルイーズという場所でのインターナショナル・ボランティア・プログラムに参加していました。
仕事は外来種の草花を抜いたり、ペンキ塗りをしたり、リサイクル回収をしたりと簡単な作業で、8割方はメンバーとハイキングをしたり、コーディネーターのDanさんに連れて行ってもらって観光名所を見て回ったりと大自然を満喫して過ごしていました。
国立公園(Parks Canada)の取り組みやそこで働く方々の考えに触れ、自然環境保全とは何か!?を改めて考えさせられました。
まず何よりも自然を楽しむ事、それと同時に適度な距離感をデザインする事、そしてそれが守られる様に教育し続ける事。今はそんな風に解釈しています。
今回のチームのコーディネーターのDanさんは、レイクルイーズリゾートのスタッフで冬は数十人の部下を従えて、リゾートマネージメントを行うのが本職との事でまさに山の中で生きる人間の一人。冬のスキー場の地図を見てしまうと、冬にスノーボードに来てしまいたくなる程うっとりする雪質が容易に想像出来る。
ボランティアプログラムはワーキングホリデービザを利用して来る方も多いのだが、こういったところでコネクションを作っておくと、ローカルのスキーリゾートで仕事をするチャンスを掴みやすくなってくるのは必然である。ボランティア経験だけでなく、その次のステップとして季節的なものや短期的なものでも良いので職務経験を積めるステップに進む事が出来れば、これ以上ない素晴らしく<エコな>ワーキングホリデーの過ごし方だ。
より楽しい留学、より充実したワーホリにするには?
言うまでもなく、英語力が海外での生活の質を左右するのは間違いない。そして行動力・原動力ともなる体力、そして最低限のパソコンやスマホを操るデジタル力がある事によってストレスなく移動や仕事探し、情報収集が出来る。SNSを利用して英語で手に入れられる情報は無限に広がり、だからこそ情報の正しさを判断する為の英語力が必要となる。
留学カウンセラーは留学に一緒に行くわけでもないし、保護者でもなければ友達でもない。留学やワーホリの手続きはやろうと思えば自分でも出来るか。
しかし、TwitterやInstagramなどのSNSやネットで見つかる体験談や個人の話が全ての人に当てはまるわけでなく、中途半端な情報だけで渡航をすると痛い目を見る事もあるし、むしろ思ったようにいかない事がほとんどなのが現実だ。少しでも現地での生活を快適に、有効活用できるようにするのが留学カウンセラーの役割であり、いくつもの国や都市、制度と学校の質、環境や雰囲気、現地の人の種類を見てきた体験を生かしたプランニングは、自分では気づかなかった引き出しを開ける作業にも似ている。だから、カウンセリングという言葉が使われるのかもしれない。
無料留学相談・留学カウンセリング・留学進路相談、呼び名は何であれ、次の活躍の場を英語環境でと考えている人がいれば、闇雲に検索をするのだけではなく、是非無料個別相談(カウンセリング)を受けてほしい。申込をするかしないかはその場で決める必要はないし、留学に行く事を決める必要もない。
その際に参考にしたブログやサイトで興味を持ったのであれば、是非そのサイトの運営者に興味がある事を伝え相談をしてほしい。
Mediumの留学インタビューでは、主に現地に滞在している体験談をもとに現地レポートインタビューを紹介します。こんな面白いプログラムがあるのか!こんなに素敵な学校があるのか!海外留学・英語教育に関わり続ける毎日で出会う「留学の形」の一部を皆さまと共有できれば幸いです。
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