遠くの街から。

訃報が届いた。創業時から当社の活動に共感してくださっていた方が急逝されたという。

創業当時、まだ実績も何もない我々は描いた理想の世界の実現に向かってがむしゃらだった。我々の青臭い想いに共感してくれる方も少なからずいた。一方で、冷ややかな態度で「金にならないことやってるね」、「そんなんでどうやって食べてくの」と言われることも多かった。(今も変わらずそういうことを言う人はたくさんいる。)

でも、どんな言葉を投げかけられようが、創業間もなく理想に燃えた我々にとっては屁でもなかった。うるせぇ今に見てろ、と。

そんな折、あるイベントでその方に出会った。柔らかな笑顔が印象的なおじさんだった。
事業の話を色んな方にしてきた経験上、とくに年配の方からは一笑に付されることが多く、その時もちょっと身構えてお話したのを覚えている。

ところが話してみると今まで出会ったおじさんとはちがった。我々が青臭く語る世界観に真摯に耳を傾け、共感してくださった。気負って頭でっかちの我々の言葉をいくつもの的確な質問で交通整理してくださった。
そして最後には応援してますと言ってくださった。

ありがたいなぁと温かい気持ちになったことを思い出した。あの時の言葉でどれだけ勇気づけられたことか。

あぁ、これからもがんばろう。

訃報を受けた時、窓の外は土砂降りの大雨だった。南国の雨はつかの間街中を洗い流したあと、何事もなかったように静かにあがった。雨滴のついた街が陽の光を照り返して輝いている。光が射し込むので、目を伏せた。