Ryo Tanaka
Aerial Partners
Published in
7 min readJan 20, 2019

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みんなが意外と気づいていない、ビットコインの3つの実需

Photo by Jordan Rowland on Unsplash

ビットコインには実需がないと言われます。ビットコインではコーヒーを買えないじゃないかというような批判です。

また、ビットコインは多くの取引をさばけない「スケーラビリティ」の問題があるので、多くの人が使うようになるとお金として機能しないという批判をよく耳にします。

しかし、待ってください。それって本当でしょうか?

ビットコインが大量の取引をさばけないと言っても、大きな価値の移転を、少ない取引数で行う場合には、十分実用性があるのではないでしょうか。

実は高額決済に使われているビットコイン

例えとして、3つの使いみちを考えてみましょう。

  1. まず、アルトコインを買う場合を想像してみましょう。ビットコインを使って、世界中の取引所からアルトコインを買うことができます。ドルを基軸として世界中の国で原油をやりとりするように、ビットコインはアルトコイン決済の基軸になっています。この市場は、すでに数十兆円規模となっており、小国のGDPをしのぐ大きさになっています。これに対し、投機にすぎないという指摘もありますが、イーサリアムのICOもビットコインで行われていることを忘れてはいけません。人類に有用なプロジェクトにこれだけの投資が集まるのは、ビットコインだからこそじゃないでしょうか。こうした投資では、1度の取引で移転する価値が大きく、ビットコインは十分実用に耐えます。この点は、古くからビットコインの普及に貢献されてきた大石さんのブログでも指摘されています。http://doublehash.me/3-story-for-crypto-future/
  2. もし自分が、自国通貨の価値が不安定すぎて、子供たちの代まで通貨が価値を保てるか信じられない国に暮らしていたらどうでしょうか?日本で暮らす我々は、世界的に価値の高い安定した通貨を持った特権階級ともいえる国に住んでいます。そのため日本人としてはなかなか想像ができませんが、自国通貨を信じない国は世界では普通に存在します。例えば、ベネズエラやアルゼンチンの人に聞いたら、自国通貨よりビットコインを選ぶ人が多数いるのが事実です。自国通貨が数年後に価値を保ててると信じられないほど不安定だからです。ドルや日本円は特別で、これらを日常的に使えるのは世界でも数%の特権階級だけなのです。自国通貨が不安定な国では、将来のための貯蓄として、ビットコインが現実的な選択肢となっています。貯蓄ですので、頻繁な取引は必要なく、ビットコインは十分使えます。
  3. 他国で働く労働者が自国の家族に国際送金する場合を想像してください。日本にも、多くの方が働きに来ています。私の義父も、中国から日本に来ている外国人の1人です(義父のストーリーはALISに書いています)。こうした人々はビットコインで国際送金しています。私の友人も、アフリカの家族に仮想通貨を使って国際送金しているそうです。もし銀行など既存の仕組みを使って送金すると、「自国の銀行→自国の別の銀行→〇〇→〇〇→〇〇→送金先の国の銀行→送金先の家族の銀行」のように、複数の機関を経由することになります。送金には数日かかり手数料は数千円〜数万円、手違いで届かないこともしばしば発生します。日本国内の送金からは想像がつきにくいのですが、これが事実です。家族への送金は、月に1度とかの頻度でまとめて行うため、取引の回数は少なく、価値の移転は大きい取引となります。こうした取引はビットコインは得意なのです。

このように、

少ない取引の回数で、

大きな価値の移転ができる

ようなユースケースでは、ビットコインは十分に使えるお金といえます。

ビットコインは少額決済に向いているという話題が多いですが、現時点ではむしろ逆で、高額決済に向いているといって良いでしょう。

Photo by Sam Truong Dan on Unsplash

イーサリアムも同じ課題がある

ビットコインだけではなく、イーサリアムもスケーラビリティの課題を抱えています。

イーサリアムで複雑なスマートコントラクトを実行しようとすると、実行のためにかかるガス代(手数料)が高くなりすぎて、まともに使えないという課題です。

それではイーサリアムは全く使い物にならないのか?というと、それは違います。

実際には、「少ない取引回数で、大きな価値の移転ができる」ケースでは、イーサリアムは既に使われているのです。

その最たる例はICOでしょう。ICOは1度の取引で移転する価値が大きいので、ETHによる新規コインへの投資が2017年から2018年初頭ぐらいまで盛り上がりました。

そのほか、クリプトキティ(イーサリアムのブロックチェーン上に記録したネコを交配したり売買できるゲーム)が、ĐAppsとして流行しました。これも、取引回数は多くないので、実際に使われたわけです。イーサリアムでĐAppsを作るには早すぎるという意見もありますが、実際にはごく簡単なものなら実装することは可能です。

イーサリアムで次に使われるのは?

イーサリアムの次の利用法として、証券型トークンによる資金調達(STO)が注目されています。証券型トークンの中でも、1回の取引額が大きくなるようなもの、例えば不動産を証券化したトークンなどは注目できます。

イーサリアムはアップデートが遅れがちです。実際にPoSやPlasmaといったスケーリング技術が実装されるのがいつになるかは予測できません。

しかし、「少ない取引回数で、大きな価値の移転ができる」ケースを考えて、そこに張ることができれば、いまの時点でも有用なユースケースを作ることができるでしょう。スケーリング技術が実装される前にできることを考えると同時に、スケーリング技術自体にも貢献していく。スケーリング技術が実装されたらすぐに乗っかることができるように準備していくという姿勢が重要ではないでしょうか。

僕たちAerial Partnersは、いまブロックチェーンが何に使われていて、次のユースケースがどこに生まれるかを考えています。そこで必要とされるってなんだろう?を掘り下げていき、みんなに使ってもらえるプロダクトをつくっています。

ブロックチェーンは次にどんな使われ方をするでしょうか?ぜひ一緒に議論しましょう。

▽興味を持ったらこちらから連絡ください

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Ryo Tanaka
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