結局スクラムってなんなの?日本のパイオニアから学ぶアジャイルの歴史
アジャイルひよこクラブ主催者のはらぱんこと、もふもふ原田です。2017/12/21に開催されたイベント「結局スクラムってなんなの?日本のパイオニアから学ぶアジャイルの歴史」のレポートを書いていきますね!
https://agile-hiyoko-club.connpass.com/event/70580/
余談ですが、今回は会場に3人の「原田」さんが揃っていたようです。年に1人会えるかどうかくらいの原田さんですが、一気に3人が集まって得した気分です!
メインスピーカー:原田 騎郎さん
スクラムの起源の話を昔に遡って時系列で解説。
実は歴史は古く、「アジャイル」よりも前から存在していた概念だった。手法としての「スクラム」は知っていましたが、どういう進化を辿ってきたのかは知らなかったので興味深いお話でした。
- 1988年、アメリカではウォーターフォール型開発が定番だった
- 1989年、日本企業は世界の時価総額トップ独占だった。今はAppleやFacebookなどが独占している。
- 昔の製造業の話
- マネージャーとワーカーで組織を作り、階層型の組織を作った。結果、当時はめちゃくちゃうまくいった。
- 製造ラインを構成することで、従業員一人一人が全ての仕事を出来なくても、自分の役割をまっとうすれば価値を出せるようになった
- ソフトウェア開発を製造工場と同じようにやろうとしたが、うまくいかなかった
- その結果、経験的プロセス、つまりは決まったことを決まったとおりにやるのではなく、経験から学び組織を強くする方法論へ進化した
- 専門分業化をやめて、多能工である人をうまく機能するようにしよう
- そうして、各地のチャレンジャーが、自分たちがやってみてうまくいったパターンを持ち込み、方法論としてまとめようとして議論し合意した結果が「アジャイルソフトウェア開発宣言」
経験から学ぶスクラムは、それ自身も経験から学び進化し続けているという。きっと1年前のスクラムと今のスクラム、更には来年のスクラムは、それぞれ違うものになっているんだろうなーと思った。
LT1 しみずさん(koki-Shimizu) チームのスプリントバックログ
「アジャイルとは何か? => 常に改善し続ける状態である」という定義。バックログ、カンバンが進化していく様子が楽しい現場を物語っていました。
LT2 やまぐちさん(tyamaguc07)
現場でペアプロを導入してみた話。実際やってみた上でのメリット・デメリット。プロジェクトの背景を共有したり、ノウハウを共有したりするのにペアプロが役立ったという話。
LT3 庭野さん(kosuke-)
情報に誰でもアクセス出来る状態、開発に集中できる環境を整える、ペアプロ・モブプロなどの話。
LT4 及部さん(takaking22)
2015年のアジャイルひよこクラブのイベントでニワトリ枠で登場いただいた及部さん。いつもお世話になっております。
https://agile-hiyoko-club.doorkeeper.jp/events/20557
モブプロいいぞって話と、アジャイルがうまくいくチームとうまくいかないチームの境目は何か?という話。「失敗を次にいかそうと考えられる」というメンタルモデルはうまくいくが、「環境や方法のせいにしてあきらめる」のはうまくいかない。
恒例のお悩み相談タイム(一部抜粋)
Q. 監査で必要なのだが、ペアプロ、モブプロはレビューの記録をどう残せばいい?
A. ソースコードにレビューコメントをコミットしておきましょう。そこから自動生成すれば良い。
Q. メンタルモデルの話、「環境や方法のせいにしてあきらめる」というのはその人の育った環境に根付いているのでは?どうやって変える?
A. 変える必要はないよ。そういう思考パターンを持っているということを自覚させてあげるだけでいい。
Q. 見積もり、レビューコストを含めると実際と合わなくなる。それも含めてちゃんと見積もった方が良いのか?
A. ストーリーひとつずつチーム全員でやるべし。そうすれば見積もりは当たるようになるよ。
Q. 開発者って朝弱いよね。デイリースクラム11時にしたんだけど来てくれない。どうしたら時間通りに来てくれる?
A. 絶対いる時間にやる。定時内の夕方とか、ランチタイムの直前とか。あとどうしたら来てくれるか直接メンバーに聞いても良いんじゃない?
Q. アジャイルを取り組もうとしているが、ベンダーとの契約ってどうしたら良いのか?
A. 準委任契約がいいよ。請負でやる場合は、最初は3ヶ月とか短い期間で区切って、その後に準委任に切り替えるとかが良い。
Q. 予算の都合でスクラムマスターとPOを兼任することになった。うまくやる方法は?
A. 欲しい人がPOに立ってもらえるように説得しよう。事例はあるけど兼任は体壊すよ。作るものの責任と、プロセスの責任を持つのが厳しいよ。
次回予告
次回は2018年2月に開催予定です。テーマが決まり次第connpassにアップしていくのでお楽しみに!