Agile459でオンライン勉強会を2年続けてきたやり方の紹介
Agile459のふつうのオンライン読書会はこんな感じ
Covid-19の影響で軒並勉強会がオンラインに移行しつつありますが、Agile459では2017年よりオンライン読書会を定期的に開催してきました。
その進め方はこれまで紆余曲折・試行錯誤してきましたが、オンライン勉強会を行う人が増えてきたため、これまでの経験を一旦まとめることで、何かの役に立てばよいと考えました。
Agile459の文脈
Agile459は四国四県にまたがって活動しているコミュニティです。四国はひとつの島ではありますが、県同士の距離が離れているため、四国から人が一箇所に集って勉強会を行うのはかなり移動コストがかかります。
Agile459の中心メンバーは現在は愛媛県と香川県に集中していますが、両県で行き来しようとすると片道車で2時間かかります。
勉強会の後に懇親会を実施する際も、アルコールなし、一次会で退散という形がメインになります。たまに宿泊して時間を気にせず懇親会に参加する強者もいますが、コスト的になかなか厳しいものがあります。
また各メンバーは他の勉強会にも参加したり主催したりするケースが非常に多く、大きな移動が絡む勉強会は予定を空けるにも一苦労です。一言で行ってしまうと持続的ではありません。
もちろん、年に数回は一同に介してのイベントも行いますが、定期的に実施するにはオンラインでの勉強会が最適であると判断して、2017年から実施することになりました。
読書会をオンラインで実施する
Agile459の場合は、オンライン勉強会は読書会を開催しています。
テーマとなる書籍を決めて、その書籍を少しづつ読み進めています。
読書会自体のやり方もいくつもありますが、今回は読書会をオンラインで行う際にこれまで陥いった罠とどう解決してきたかを紹介していきます。
事前にコミュニティの皆にこれまでの工夫や変遷を書きだしてもらったScrapboxがあるのでよろしければそちらもご覧ください。
Agile459のオンライン読書会のポイント
切れないオンラインミーティングツール
当初はAppear.in(現 Whereby)を使い、途中でSkypeを使ったり、Hangoutsも検討しましたが、最終的にはZoomに落ち着きました。
これは筆者(@kkd)がZoomの回線品質に惚れこんで有料ユーザーになったことも大きい理由の一つです。
有料ユーザーがホストになって利用すると制限時間なしで利用できるためです。後にAgile459のメンバーでもう一人有料ユーザーが増えたので今ではAgile459の勉強会やミーティングはすべて時間無制限のZoomを使うようになっています。
Zoomは無料プランだと40分で切断されるため再度接続し直さないといけません。もちろんSlackなどで接続URLを共有しておけば無料利用でもZoomを使って続けることは可能ですが、再接続に伴なう時間を考えると、誰かが有料ユーザーになっておくことの価値は高いです。
Zoomはミーティングの録音、録画も可能なので、記録を撮っておきたい時も非常に便利です。
回線品質の確保
当初はオンラインミーティング環境を構築している人と、そうでない人で環境のバラツキがあり苦労しました。
自宅にお子さんがいる場合、お子さんの声や乱入などがあるケースがあります。それを嫌って外のカフェや漫画喫茶、カラオケルームから接続する場合もありましたが、そういった場所のフリーWifiは回線品質がよくないことが多かったようです。
そのためノイズがあっても自宅のように品質が安定した場所からの接続を皆選ぶようにしているようです。
ノイズ対策
背後にノイズが入る環境の場合は自分が発言する時以外はミュートにしておいてノイズが入らないようにします。
また会話の最中にどうしても入ってしまうお子さんなどの割り込みは、逆に他のメンバーが気にせず暖かく見守ることで気にしないようにします。(とはいえ、自分が子どもがいる側だと気にしちゃいますけどね。)
最近ではPC上でのノイズキャンセラーのKrispなどが出てきているので使ってみるとノイズについての困りごとは減りますね。
帯域を節約することも
音声が途切れる、聞き取りにくい、という問題はネットワーク回線の質だけでなくにも依存するかもしれません。音が途切れやすい場合はビデオはOFFにして対応します。
Zoomの場合グループHD映像をOFFにすることで、帯域を節約することができます。
よいヘッドセット
マイク、スピーカーなどのヘッドセットが会話の質を左右します。
筆者は以前は有線派でしたが、今は無線(Bluetooh)で行っています。別にUSB接続のマイク単体も持っていますが人と離すときはもっぱら無線でネックスピーカーを使っています。
逆に無線のペアリングが面倒で有線に戻した人もいます。このあたりは環境によって合う合わないものを選んでいくのがよいですね。
有線もライン入力とUSB接続の二通りがありますが、ライン入力はアナログゆえに安定する一方でノイズが入りやすいという場合があるので注意します。
指向性マイク
マイクがちょっとした周囲の雑音を拾ってしまいがちです。ノイズが多くなると勉強会の最中に気になってしまうので、マイクは無指向性よりも指向性の方が周囲の音を拾いにくいです。
接続テスト
また音声がどう聞こえているか自分ではわからないので接続テストをするのがおすすめです。
自分一人でテストする場合は、PCとスマホで接続しスマホ側のマイクをミュートにして音がどう聞こえるかを試してみるとよいでしょう。
正直なフィードバック
自分でマイクテストはできるというものの、やはりミーティングが始まってしまうと自分の声がどのように相手に聞こえているかがわかりません。
よかれと思って音声品質が悪くても我慢してしまうと、相手は自分の音質が問題ないと勘違いしっぱなしになってしまいます。そのため品質が悪い場合は正直なフィードバックを行う方が以降の改善に繋がります。
会の最中にフィードバックするのが難しいのであれば、最後にふりかえりの時間を設けてそこで音質についてのフィードバックを交換します。
あらかじめ参加者に正直なフィードバックを行うことを共有しておくとよいでしょう。
リアルタイム複数人編集可能なメモ
勉強会はリアルタイムでメモを皆でとりながら進めています。
歴史的には、HackMDを最初に使って参加者全員でリアルタイムでログをとっていました。当時はHackMDはリアルタイムでMarkdownテキストを参加者全員で編集できましたが、ログを整理して保管しておく機能がなかったため、別途Github Wikiへ転記していました。
この手間が案外かかるのでScrapboxを使ったほうがいいのではということになり移行しました。
ScrapboxはWikiをより高機能にしたようなサービスですが、参加者全員でリアルタイムに編集できる点、WYSWIG的にも編集できる点が既存のWikiクローンよりも優れていると感じます。
上記の特長だけであればGoogle Documentも候補に入りますが、それ以外にもページがタグ付けなどを行うと自動的に整理されていく点、参加者がCtrl+iというショートカットで自身のアイコンを気軽に挿入できる、タグをつけておくと自動的に整理してくれる、タブインデントによる簡単なリスト化という点が気にいっています。
またScrapboxはコミュニティ利用の場合は無償というのもいいですね。
Agile459の読書会のScrapboxをみてもらえると雰囲気がわかるかもしれません。
全員で記録 〜 現れてくる読書会メモ
読書会の前は、一応各自が読んで感想や疑問点を記入しておくことになっています。とはいえ読む時間がとれなかったりする場合を考慮して、本を読んでいなくても参加できるようにしています。
その場合は、読書会の中で読む時間を設けるようにします。
また読書会の準備で書くだけでなく、読書会中もリアルタイムに各自がロギングを行います。一応書記の役割も設けますが一人ですべての発言を記録しようとすると大変なので、極力自分の発言は自分でメモするようにしています。
このためScrapboxを用いて全員で読書会ログを作りあげていくという感覚になっています。
読書会が終ると自然とその時間になにが話されたかの記録がのこっているのでコミュニティの資産となります。
その他運営的なもの
役割のサインアップ
読書会の最後に次の役割をサインアップしておきます。ファシリテータ、イベント立ち上げ、次回のScrapboxページ作成、といった感じです。
各担当はイベント立ち上げや、Scrapboxページ作成については読書会の後にさっさとやってしまいます。ファシリテータは次回の読書会の進行を行います。
遅めの開始時間
読書会は元々は隔週の19:00スタートでした。しかし実施していく中で19:00だと自宅に到着できなかったり夕食がとれなかったりすることがわかってきました。
逆に夜遅くすると眠くなってしまう(特に年配の自分などw)というデメリットもあります。
最終的には開始は20:30スタートで、終了を22:00にして90分で実施するようにしました。この時間だと大抵は帰宅できて自宅の回線で参加できる確率が上がりました。時間も2時間は長く感じる人も、90分ならそれほど疲れることなく楽しく終えることができると個人的には感じています。
隔週定期開催
勉強会は隔週開催で曜日固定(水曜)のリズムで行っています。月1では間隔が長く、毎週では忙しないので隔週になりました(だっけ?)。
参加できる時とできない時もありますが、コミュニティのslack内で司会の調整などを行って開催のリズムを崩さないようにします。
まとめ
ざっとAgile459のオンライン読書会のやりかたをまとめてみました。文章で書かれてもピンとこない人もいるかもしれませんね。
そういえば4/8にオンライン読書会をやります。本がなくても「にぎやかし枠」で参加できますのでご都合のよろしいかたは是非。