【世界の高齢化:高齢化のスピード】
おはようございます!Akita Age Lab、研究連携担当の工藤です。前回の高齢化の世界地図に続いて、高齢社会に関する「へー、そうだったんだ!」というような内容をお届けします。今日は高齢化のスピードについてのお話。
今日の図は、65歳以上の人口割合が総人口に対して、7%から14%、14%から21%、21%から28%の、3つの割合に増加するのにかかった年数(または将来的にかかる年数)を、高齢化が見られる22カ国についてリストアップしたものです。それぞれの国名の横のカッコ内の数字は、具体的な期間を表しています。国連の定義で、ある国の65歳以上人口が7%以上になった状態を「高齢化社会(Ageing Society: 高齢化がはじまっている社会の意味)、14%以上を「高齢社会(Aged Soceity:高齢化した社会の意味)というものがあります。この図ではこれに習って、7の倍数をとっています。*ただし、この国連の定義自体も随分以前に作られたものなので、今日の特に先進国での高齢化の状況には合わなくなってきています。そもそも7や14という数字に科学的根拠はないようです。
個別の数字も大事なのですが、ここでは大まかな傾向だけ見ていきたいと思います。まず、第1ステージ(7%から14%)については、フランスで115年、スウェーデンで85年など、全体の傾向として欧州で比較的緩やかな高齢化が起き、表の下半分のアジアや南米の国々では、その1/2から1/5程度の期間で急速に高齢化した(またはこれからする)ことが見えてきます。第2ステージ、第3ステージと見ていくと、今度は欧州でも高齢化のスピードが加速化し、全体として第1ステージの半分ほどの期間で次の高齢化期間に入っていきます。アジア・南米の場合を見てみると、元々短期間で起きる第1ステージよりもさらに短い期間で高齢化していくことがわかります。
フランスや北欧の国々のように、80〜100年ほどの期間をかけて第1ステージの高齢化を経験した国では、将来的に必要になる制度やコミュニティ形成の準備期間が十分にあったと言えそうです。一方で日本をはじめ、アジアや南米の国々では、四半世紀以下の期間で高齢化が進みます。同時に多くの国がまだ経済発展の途中にあるので、そもそも対策を検討することに消極的になりがちです。短期間で将来的に必要になる医療や介護をはじめとした社会保障制度などの整備が必要ですが、それ以上に、既にある社会インフラ、特に地域コミュニティや家族のつながりを積極的に活用していく必要があります。そんな地域づくりをこれから高齢化するアジアや南米でどう進めていくのか?秋田から発信できることが多いと思っています。