デザインと利便性で差別化を果たした安全グッズ「Rhoost」

赤ちゃんが1人で歩き始めたときには、家の中であってもヒヤヒヤすることがたくさんある。濡れた手でコンセントを触って感電しないか、はしゃぎまわって家具の角にぶつかって怪我をしないか……そうなると平穏だった家の中も一気にデンジャラスゾーンに見えてしまうものだ。

これらの問題には、それぞれの家具に安全グッズを取り付けるという対策が一般的だという。たとえばテーブルの角にはぶつかっても大丈夫なようにコーナーガードを設けたり、キャビネットを簡単に開かせないよう、鍵を取り付けたりといった具合だ。

今回ご紹介するのは、そうした赤ちゃん対策専用に特化した安全グッズを販売して需要を取り込んだECサイト、「Rhoost」だ。2009年米国にて設立された同サイトは、ただ「赤ちゃん」の安全性に特化するのみでなく、ある価値を加えることで、本来の利用者である両親からの支持を得ている。それはいったいどのような価値なのだろうか。

動き回る赤ちゃん対策に絞って考えられた安全グッズを販売

Rhoostによると注意すべき「危険ゾーン」はコンセント穴、ぶらさがっているコード、家具の角部分、階段であり、赤ちゃんが好奇心と積極性を持ち出す3~6ヶ月ごろが取り付けるのにちょうど良い時期だという。こうしたポイントに絞った商品展開を行っているのが、同サイトの特長だ。

Rhoostが「革新的だと思っている」とおすすめしているのが、机などの家具の角につけるコーナーガード、4個入り14.99ドル(約1800円)だ。小さな子どもの頭の高さは、ちょうどテーブルの高さと同じ程度になるため、頭をぶつけることが多いが、同製品はその際の危険性を和らげることができる。

製品はただ安全なだけでなくテーブルや机を守ることも考えられており、ネジの類は不要。バンドを使って机の角に装着するため家具に傷を残すことなく、簡単に取り付けることができる点も大きな強みだ。

サイトの一番人気は安全コンセントカバー。コンセント穴の保護用としてよく見られる製品だが、同サイトの場合は爪を立てても取ることができない、強固な構造となっている。ではどのようにして取り外すのかというと、「機器のプラグを隙間から差し込んで持ち上げる」のが正解。そのためにサイド部分にはプラグを差し込むための隙間がついている。ちょっとしたアイディアだが、よく考えられた製品だ。

またブランドのひもを束ねる安全グッズ8.99ドル(1080円)も重要なアイテムのひとつ。実は子どもがブラインドの紐に首をひっかけて死亡する事例はけっこう多く、この製品はそうした不幸な事故を予防する効果があるのだという。

この他にも爪切り、子どもがドアに指を挟まないようにするドアガード、子どもが扉を勝手に開かないようにするための扉のロックなども販売しており、家の中の安全を確保するためのグッズはRhoostでほとんど揃いそうだ。

とは言え、小さな子どもが家の中で動き回って危険、というのは今はじまった話ではない。現にこれまでも、子ども用対策の安全グッズは数多く販売されてきた。同サイトのグッズと既存製品には、どのようなちがいがあるのだろうか? そこには創業者が、そして他の多くの両親が「不満」と感じていたある要素があったようだ。

コンセプトは忙しい母親でも簡単に扱えること

Rhoostの創業者はVianka Perez-Belyea(写真左。以下ベリーアー)氏。ボストン大学にて生物学を専攻し、その後は医療機関で10年以上働いてきたという人物だ。

創業のきっかけは、ベリーアー氏の娘が生後6ヶ月になって歩き始めようとしたときのこと。担当する医師から「あなたの娘は非常に活発で、もう少し成長したら家中を自分で歩きまわるようになるはず。だから子どもが危険な目に合わないよう家を安全な環境にする必要がある」という忠告を受けた。

そこで近所のモールに行ったり検索して安全グッズを調べてみたものの、満足いく製品を見つけることはできなかった。どの製品も機能性が低く、BPAという有害物質を含んでいるものもあり、安全を確保できるかどうかが不安だったからだ。

また家具を傷めそうなものばかり揃っていることも不満だった。大抵の製品にはネジが同梱されていて、がっちりと装着するしくみになっている。テーブルのコーナーガードであれば、製品を取り外すときにはねじ穴の残る「美観の損なわれた」状態となってしまう。また設置するのにも手間はかかるし、取り外すのも大変だ。

そこでベリーアー氏は親友でMBAを取得したばかりのTavinder Phull(ファル)氏と相談し、自分たちの望んでいるような安全グッズをつくることにした。たとえばコーナーガードでは昔ながらの天然接着剤、エラストマーを使用することに決定。これにより家具を傷めることも汚すこともなく、しかも簡単な作業でぴったり固定できる製品に仕立てることができた。

製品のコンセプトは「忙しい母親でも簡単に扱えること」。ただ子どものいる家庭に向けた安全度の高い製品というだけでなく、デザインがスタイリッシュで設置しやすく、しかも家具を傷めないという使い勝手の良さを前面に押し出したのだ。

“私たちの目標は、親が自分の子どもと楽しめる時間を持てるような製品、そして製品にかかる手間や心配ができるだけ短く済むような製品をつくることにあるのです。”
 — Rhoostのサイトより

こうしたコンセプトに基づいた設計により、同サイトのグッズは全て取り付け、取り外しが簡単となり、手軽に持ち運べるという利点も生まれた。そのため、休暇でおばあちゃんの家に行くとき、ホテル、友人宅などにも簡単に持っていけるようになった点も魅力のひとつだという。

「それは仕方ない」と思われていたデメリットに着目する

Rhoostの成功の鍵は赤ちゃんや小さい子どもに対する安全性の配慮と、家具や手間を犠牲にしないで使える機能性を両立させたことにある。

安全性だけを考えた場合、ネジなどを使ってより固定に万全を期すやり方は正しいはずだ。しかしそのことが取り付けづらい、取り外しづらい、家具を汚す、傷めるといった不満にもつながっていた。Rhoostはこの不満を拾いあげ、家具を傷めずに使えるという選択肢を提示した。家具が犠牲にならない、取り付け、取り外しも簡単となれば、リスクや心理的な負担もぐっと低くなり、一度購入してみようと考えた人も多かったのだろう。

ちょっとした工夫のようだが、より良い安全グッズをと考えると、どうしても安全性を確保することに頭が行きがちで、なかなか考えつかないことなのだろう。本来の役目を果たすために仕方ないと思われていたデメリットに着目し、改善したことは、同サイトが教えてくれる一見小さいながらも大きなヒントだろう。

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