リフト券を格安で購入できる「Liftopia」

今日は少々気が早いが、スキー場に関係するECサイトを見てみたい。日本ではITとは無縁のスキー場だが、米国ではホテル業界、旅行業界とおなじようにITの活用が進んできている。そのきっかけとなったのが、リフト券の事前販売サービス「Liftopia」だ。

今日、航空業界やホテル業界では事前予約を行うことで割引を行うサービスはかなり一般的になった。こうした事前割引サービスは他の業種にも多く適用されてきており、たとえば当日乗るリフト券でも「早割」や「リフト券+食事券」などの形で割引販売し、できるだけ一定の顧客数を見込もうという試みが行われているようだ。

ただ顧客によっては、事前購入することで割引するのは良くても、確実に指定した日にちに行けるか分からない人、あるいは絶好のコンディションの日にスキーを楽しみたい、という人もいる。今回はそうした幅広いニーズに応えるべく、柔軟なシステムのリフト券予約を取り扱っているサイト、「Liftopia」をご紹介したい。

販売しているリフト券は窓口よりもかなり割安な価格になるだけでなく、一定の金額を上乗せしたプランを選ぶことで、一回だけ日にちを変更、あるいは何回でも日にちを変更するなど、複数のプランを選択できるのが特長だ。

2005年に創業。スキー場のようにコンディションが大きく影響する商材に対して柔軟なシステムを構築し、着実に実績を重ねることで規模を拡大してきた。

飛行機やホテルでは当たり前なことがスキーリゾートでは行われていない

Liftopiaの共同創業者はEvan Reece(写真左、以下リース氏)とRon Schneidermann(写真右、以下シュネイダーマン氏)の2人。

リース氏らはともにHotwire.comというホテル予約サイトの売上増強マネージメント部門に勤めていて、予約状況のデータ分析の仕事をすることで、時期によって顧客の需要が変わること、価格によって売上を伸ばすことができるプライシング戦略を学んだという。

リース氏らは長年のスキー愛好家でもあり、ある時はネバダ州タホ地区にスキー旅行に行こうと計画していた。しかし当日になってタホが例年に比べて雪不足という情報が入り、雪の状態が完璧でないのならと、旅行を取りやめることにした。

しかし旅行をとりやめたあとで、2人はふと考えた。

“もし、事前にリフト券を購入していたら、雪不足だからといって行くのを止めただろうか?”

たいていの場合、リフト券は窓口販売で、しかも即日以外は利用できないというシステムを採っている。これは言い換えれば、当日の利用客の数により、大きく売れ行きが上下するということでもある。天候が悪い、雪のコンディションが良くない、シーズンでない、などの条件によってお客が来なければ、販売数はがた落ちになってしまう。

そこで2人は、飛行機やホテル、ツアー申込などですでに行われているような、より柔軟で動的な価格設定のある「事前予約リフト券」を作ってみてはどうかと考えた。たとえば返金不可、変更日の変更もなしとした事前購入チケットをつくる。それのみだとお客はコンディションによって日付を変更できないというリスクがあるが、その分安くすることで、「より安いリフトチケット」を求めている顧客を取り込めると考えたのだ。

徹底的にデータを分析し、プライシング戦略にこだわる

Liftopiaがより柔軟な価格システムを実現するために採った方法は、バリューチケット、バリュープラス、フレックスチケットの3種類の価格のチケットを提供する、というやり方だった。

バリューチケットは返金不可、日付も完全固定と自由度はもっとも低いが、窓口購入の最大85%オフが可能で、あらかじめ日付を決めてスキーに訪れる客にとってお得になる価格設定だ。

バリュープラスはそれより料金はややあがるものの、1回だけ日付変更が可能。またフレックスチケットは3種類の中でもっとも金額が高いが、日にちを何度でも変更することができ、絶対にスキーには行くが、できるだけ良いコンディションの日になるべく安めに買いたい、というこだわりのあるスキーヤーに向いた料金設定となっている。

料金は変動制で、予定日よりも早めであればあるほど価格は安くなる。またLiftopiaの説明によると、事前に買えるディスカウントのリフト券は限定販売しているため、顧客は売り切れる前に買おうという意識が働く他、当日のコンディションが悪かった場合でも、顧客は割引で購入できたのだから……と、雨や雪不足などの可能性は料金に織り込み済みと認識する顧客が多いという。

“このシステムを使う事で、顧客は新しいリゾートを発見し、お金を節約することができる。僕たちは、スキーはみんなが思ってるほど高くなくてもできる、と世界に訴えていくつもりなんだ”
 — リース氏

また2012年には、リゾート側が予約状況を見ながらリフト券の価格を自由に設定して販売できるプラットフォーム「Cloud Store by Liftopia」もスタート。客数の少ない日にはよりディスカウント率を大きくして集客できるようにし、よりフレキシブルな料金体系を提供できるシステム作りもはじまった。

他業界のビジネスモデルをまねしつつ、プライシングにこだわる

Liftopiaはスノースポーツをする顧客とリゾート側向けに一定の工夫がなされているが、そのビジネスモデルは決して珍しいものではない。にもかかわらず、なぜ今まで他の業者は「リフト券の予約」に着手してこなかったのだろうか。

その背景には、ひとつはリフト券を予約制にするという考え方が盲点だったこと、もうひとつは主要なリゾート地がチケットにおいて、こうした予約制のシステムを取り入れることが、どれだけの効果をもたらすのかと、懐疑的に見ていたことがあったようだ。

このサービスをはじめるにあたって、Liftopiaは自分たちと提携してくれるリゾート地を見つける必要があった。そこで候補にあがったのが、こうした新しい取り組みにも理解を示してくれそうなシリコンバレーにほど近い、ネバダ州タホ地区のリゾート地だった。

ところが案の定、実際にオファーしてみると、名のあるリゾート地は総じて彼らのアイディアに良い反応を示さなかったという。

“多くのオーナー達は、新しい取り組みに手を出すことにはうんざりして、気が進まないという状態だった。それは、これまでに彼らのライフスタイルのサポートを約束する、というような話が何度もあり、その度ひどい目にあわされてきたからなんだよ”
 — リース氏

そこでLiftopiaはまずは目に見える実績を作る事が大事だと考え、全国に散らばる小規模なスキーロッジと手を組むことにした。2006年度はなんとか7つのパートナーを獲得。その後は着実に成果をあげることで勢いを得、主要リゾートにも実績とどのように成功するかのデータやノウハウを示すことができた。

こうして信頼と実績を築いた結果、現在では米国とカナダの600あるリゾートのうち、なんと半数と契約を結ぶまでになったという。リース氏は自分たちが成功した理由は、「チケットの日付は変えられないもの」という概念を変えるべく、人々に訴えかけたことだと語る。

“僕たちがここまで成長することのできた理由は、購入したリフト券がある特定の日のためのものだけではない、と人々に理解させたことにある。1月13日の日付のチケットを購入しても、その日だけ使えるんじゃなく、11月1日にも変えられますよ、というようにね”
 — リース氏
今日は少々気が早いが、スキー場に関係するECサイトを見てみたい。日本ではITとは無縁のスキー場だが、米国ではホテル業界、旅行業界とおなじようにITの活用が進んできている。そのきっかけとなったのが、リフト券の事前販売サービス「Liftopia」だ。

今日、航空業界やホテル業界では事前予約を行うことで割引を行うサービスはかなり一般的になった。こうした事前割引サービスは他の業種にも多く適用されてきており、たとえば当日乗るリフト券でも「早割」や「リフト券+食事券」などの形で割引販売し、できるだけ一定の顧客数を見込もうという試みが行われているようだ。

ただ顧客によっては、事前購入することで割引するのは良くても、確実に指定した日にちに行けるか分からない人、あるいは絶好のコンディションの日にスキーを楽しみたい、という人もいる。今回はそうした幅広いニーズに応えるべく、柔軟なシステムのリフト券予約を取り扱っているサイト、「Liftopia」をご紹介したい。

販売しているリフト券は窓口よりもかなり割安な価格になるだけでなく、一定の金額を上乗せしたプランを選ぶことで、一回だけ日にちを変更、あるいは何回でも日にちを変更するなど、複数のプランを選択できるのが特長だ。

2005年に創業。スキー場のようにコンディションが大きく影響する商材に対して柔軟なシステムを構築し、着実に実績を重ねることで規模を拡大してきた。

飛行機やホテルでは当たり前なことがスキーリゾートでは行われていない

Liftopiaの共同創業者はEvan Reece(写真左、以下リース氏)とRon Schneidermann(写真右、以下シュネイダーマン氏)の2人。

リース氏らはともにHotwire.comというホテル予約サイトの売上増強マネージメント部門に勤めていて、予約状況のデータ分析の仕事をすることで、時期によって顧客の需要が変わること、価格によって売上を伸ばすことができるプライシング戦略を学んだという。

リース氏らは長年のスキー愛好家でもあり、ある時はネバダ州タホ地区にスキー旅行に行こうと計画していた。しかし当日になってタホが例年に比べて雪不足という情報が入り、雪の状態が完璧でないのならと、旅行を取りやめることにした。

しかし旅行をとりやめたあとで、2人はふと考えた。

“もし、事前にリフト券を購入していたら、雪不足だからといって行くのを止めただろうか?”

たいていの場合、リフト券は窓口販売で、しかも即日以外は利用できないというシステムを採っている。これは言い換えれば、当日の利用客の数により、大きく売れ行きが上下するということでもある。天候が悪い、雪のコンディションが良くない、シーズンでない、などの条件によってお客が来なければ、販売数はがた落ちになってしまう。

そこで2人は、飛行機やホテル、ツアー申込などですでに行われているような、より柔軟で動的な価格設定のある「事前予約リフト券」を作ってみてはどうかと考えた。たとえば返金不可、変更日の変更もなしとした事前購入チケットをつくる。それのみだとお客はコンディションによって日付を変更できないというリスクがあるが、その分安くすることで、「より安いリフトチケット」を求めている顧客を取り込めると考えたのだ。

徹底的にデータを分析し、プライシング戦略にこだわる

Liftopiaがより柔軟な価格システムを実現するために採った方法は、バリューチケット、バリュープラス、フレックスチケットの3種類の価格のチケットを提供する、というやり方だった。

バリューチケットは返金不可、日付も完全固定と自由度はもっとも低いが、窓口購入の最大85%オフが可能で、あらかじめ日付を決めてスキーに訪れる客にとってお得になる価格設定だ。

バリュープラスはそれより料金はややあがるものの、1回だけ日付変更が可能。またフレックスチケットは3種類の中でもっとも金額が高いが、日にちを何度でも変更することができ、絶対にスキーには行くが、できるだけ良いコンディションの日になるべく安めに買いたい、というこだわりのあるスキーヤーに向いた料金設定となっている。

料金は変動制で、予定日よりも早めであればあるほど価格は安くなる。またLiftopiaの説明によると、事前に買えるディスカウントのリフト券は限定販売しているため、顧客は売り切れる前に買おうという意識が働く他、当日のコンディションが悪かった場合でも、顧客は割引で購入できたのだから……と、雨や雪不足などの可能性は料金に織り込み済みと認識する顧客が多いという。

“このシステムを使う事で、顧客は新しいリゾートを発見し、お金を節約することができる。僕たちは、スキーはみんなが思ってるほど高くなくてもできる、と世界に訴えていくつもりなんだ”
 — リース氏

また2012年には、リゾート側が予約状況を見ながらリフト券の価格を自由に設定して販売できるプラットフォーム「Cloud Store by Liftopia」もスタート。客数の少ない日にはよりディスカウント率を大きくして集客できるようにし、よりフレキシブルな料金体系を提供できるシステム作りもはじまった。

他業界のビジネスモデルをまねしつつ、プライシングにこだわる

Liftopiaはスノースポーツをする顧客とリゾート側向けに一定の工夫がなされているが、そのビジネスモデルは決して珍しいものではない。にもかかわらず、なぜ今まで他の業者は「リフト券の予約」に着手してこなかったのだろうか。

その背景には、ひとつはリフト券を予約制にするという考え方が盲点だったこと、もうひとつは主要なリゾート地がチケットにおいて、こうした予約制のシステムを取り入れることが、どれだけの効果をもたらすのかと、懐疑的に見ていたことがあったようだ。

このサービスをはじめるにあたって、Liftopiaは自分たちと提携してくれるリゾート地を見つける必要があった。そこで候補にあがったのが、こうした新しい取り組みにも理解を示してくれそうなシリコンバレーにほど近い、ネバダ州タホ地区のリゾート地だった。

ところが案の定、実際にオファーしてみると、名のあるリゾート地は総じて彼らのアイディアに良い反応を示さなかったという。

“多くのオーナー達は、新しい取り組みに手を出すことにはうんざりして、気が進まないという状態だった。それは、これまでに彼らのライフスタイルのサポートを約束する、というような話が何度もあり、その度ひどい目にあわされてきたからなんだよ”
 — リース氏

そこでLiftopiaはまずは目に見える実績を作る事が大事だと考え、全国に散らばる小規模なスキーロッジと手を組むことにした。2006年度はなんとか7つのパートナーを獲得。その後は着実に成果をあげることで勢いを得、主要リゾートにも実績とどのように成功するかのデータやノウハウを示すことができた。

こうして信頼と実績を築いた結果、現在では米国とカナダの600あるリゾートのうち、なんと半数と契約を結ぶまでになったという。リース氏は自分たちが成功した理由は、「チケットの日付は変えられないもの」という概念を変えるべく、人々に訴えかけたことだと語る。

“僕たちがここまで成長することのできた理由は、購入したリフト券がある特定の日のためのものだけではない、と人々に理解させたことにある。1月13日の日付のチケットを購入しても、その日だけ使えるんじゃなく、11月1日にも変えられますよ、というようにね”
 — リース氏

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